ロゴ

メルマガ

HOME→メルマガ

            

━ CIAJ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

 「平成から次の新しい時代へ向けより柔軟なQMSを目指そう!」

                      2018年12月27日発行 第88号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第88号 目次 ≫

 ・はじめに

 ・QKMアクティブラーニング(第13回)報告
   『リスクをモデリングする(QMSからのアプローチ)』
    2018年12月17日開催 
 
 ・QKMアクティブラーニング/BSC(第14回)予告(リマインド)
   〜バランススコアカードの基礎から構築まで〜
    2019年1月17日(木)〜18日(金)(2日間)開催予定 

 ・ISO 9001関連の最新動向 〜アゾレス総会報告〜

  ・TL 9000コーナー
      『TL 9000説明会』報告 2018年11月26日開催

 ・【連載】知識活用型企業への道
   『QMSにおける知的資産運用への取り組み』

 ・編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに ─────────────────────────────────── 讀賣新聞によれば,読者が選んだ今年の「日本10大ニュース」では4つがスポ ーツに関するものでした。 ・1位 平昌五輪で日本は冬季最多13メダル(2月)羽生結弦選手が右足のケガ    で出場すら危ぶまれていたなか連覇を達成 ・3位 日大アメフト部選手が危険タックル(5月)スポーツの負の部分,体育    会系活動の上下関係がパワハラ ・4位 テニス・大坂なおみが全米オープン優勝(9月)四大大会で日本人初 ・9位 大谷翔平,メジャー新人王に(11月)投手と野手の二刀流で大活躍 第3位は大変残念なニュースでしたが,スポーツという決められたルールの中 で通常では想像もつかない鍛錬を経たであろうことを想像し,その先の栄光を 勝ち取る姿に感動してしまうのだと思います。 さて,私たちの仕事を振返ってみると,スポーツと同様に多くのルールに沿っ て製品・サービスを実現し,お客様満足の獲得,企業目標の達成を目指してい ます。昨今,AI導入によるサービスの開発や自動車の自動運転技術の研究・実 現など企業をとりまく技術や環境は加速しながら変化をしています。 こういう状況下では,「いままでこうだった」は通用しないのだと思います。 私たちはこれらに対して「何が変わったのか」「何をどこまでやればよいのか」 「こういう考えでよいのか」「やるべきことはやりつくしたか」を徹底的に追 及することが求められているのではないでしょうか? 平成から次の時代が始まる年を迎えるにあたり,新しい時代に相応しく「変わ っていく」「変えていく」ことをしっかりと見定めて行動していきたいと思い ます。 それでは,メルマガ88号をお届けいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKMアクティブラーニング(第13回)報告   『リスクをモデリングする(QMSからのアプローチ)』 ─────────────────────────────────── 12月17日にQKMアクティブラーニング第13回として,株式会社イノベイショ ン代表取締役 山上裕司 様を講師に「リスクをモデリングする(QMSからのアプ ローチ)」というテーマでワークショップを開催いたしました。 タイトルは期待通り,山上講師ならではのユニークなもので,テーマへの興味 と共に,組織のMSの改善のヒントに活用したい,そして「また,山上講師の 話を聞きたい!」という方々16名にお集まりいただきました。 講義では「リアリティをもつ,リスクの姿対応への視点」を学習目標とし, 「リスクマネジメントを担っている,私達がリスク」を切り口に「多様なリスク を理解する(描写する)」を探っていくことから始まりました。 山上講師は要所要所で,このような「はっと」する気付きに繋がるワードを心 地良いけれども,凛とした声で参加者に語りかけられ,「リスクの姿を描く際 前提条件を小さく考え過ぎないこと。また意思を持つ持たないでリスクの姿が 違うことを認識すること」,「何もないことが管理されているという誤解 に陥りやすい」,「リスクは実際に繋がっているものを意識することが大切」, 「リスクを考える際,そもそも何が本来大事か考えることが一番重要」という 言葉をいただきました。 日々の仕事で課題と向き合う時も,「価値観を軸にすると過不足が見えやすい」 「価値感に対して活動や意図する結果が適切かを常に意識することが大切」。 の重要性を問いかけています。 受講者アンケートでは,「活動〜価値観の流れを逆から見直す"妥当性確認"的 なアプローチが重要と感じた。」,「自分の中で新しいアプローチ方法のきっ かけが見つかった様な気がする。」,「リスク検知にはアウトプットは共益の 意識をもつこと大切なことがわかった」等の評価をいただきました。 また,「ISO9001:2015の序文が問うQMSとは何かという本質を 体感することができた」という意見もありました。 これらの貴重なご意見は,次回以降の企画に反映させていただきます。 また,QKMアクティブラーニングへのご意見,ご要望がありましたらQMS 委員会宛にお知らせください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKMアクティブラーニング/BSC(第14回)予告(リマインド)    〜バランススコアカードの基礎から構築まで〜  ─────────────────────────────────── 2018年9月28日発行 第87号で予告させていただきましたが,今年度も,2019年 1月17日(木)〜18日(金)(2日間)に,2003年より開催しているバランススコア カード(BSC)講座を開催いたします。 国内第一人者の横浜国立大学大学院 吉川武男名誉教授の直接指導が受けられる 恵まれた環境での学びの機会です。申込期限は,1月7日(月)迄となっています。 定員制のため受講を希望される方は,お早めにお申し込み下さい。 <以下,再掲> 日本的経営にも通じるBSCの基礎の講義と,グループ学習形式のケーススタ ディで構成され,全体の7割を占めるケーススタディでは,様々な業種におけ る業績向上課題への組織の分析から戦略的に再生のシナリオを描き,チームで ディスカッションを重ねてBSCの基礎から構築までの7ステップをバランス よく学ぶことができるよい機会です。 AIの導入をはじめ組織を取り巻く外部環境が加速度的に変化し,目的志向で 様々な階層でのマネジメントがさらに重要となる時代において,組織理解の分 析と意図した結果に向けたシナリオ実現のマネジメント思考を体得することが できます。 セミナー参加者が自分の思考(創造力・問題解決力・意思決定力・コミュニケ ーション力など)がどこまで出来ているかを体感,また社外の人の考えに触れ ることで新たな気づきを得ることもできます。 BSCの考え方は,目標を立てるための思考の繋がりや検討手順の大切さ,問 題に対してどの様にアプローチしていくかということを学べ,QMSのみなら ず,日常業務の遂行・改善すべてに役立つビジネスリテラシーの向上も図れる ことから,業種や年齢を問わず参加いただけます。 会員企業のなかでは,十数年にわたり人財育成のカリキュラムとして導入して いただいている会社もあります。私企業ではないQMS委員会ならではの企画 による人材育成プログラムとしての活用を是非ご検討下さい。 <次回の開催> ・2019年1月17日(木)〜18日(金) (2日間) ・講師: 横浜国立大学大学院 名誉教授 吉川武男様 ・テーマ:『バランススコアカードの基礎から構築まで』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ISO 9001関連の最新動向 〜アゾレス総会報告〜 ─────────────────────────────────── 今回は,11月18日〜23日にポルトガルのアゾレス諸島ポンタデルガータで行わ れたISO/TC176の総会について報告を致します。 TC176では,ISO 90001:2015関連の作業は終え,ISO 9004:2018も発行(日本で は,JIS Q 9004:2018として12/20公示)し,ISO 10001,ISO 10002,ISO 10003 の定期見直しもほぼ終了しており,そのなかで,TC,SC1(概念及び用語), SC2(品質システム),SC3(支援技術)でそれぞれ会議が行われました。 話題の中心は,”Future Concept”と”附属書SLの改訂”の2つで,これは, 我々にとっても大きくかかわる話題となります。 (1) ”Future Concept” ”Future Concept”については,TF(Task Force)4で担当しますが,10年前に SC2で行った仕事を再度行うことが骨子のようです。 原案の作成では,次の4つのチームを作り活動することになりました。  Group1:customer experience,people aspects  Group2:change management,integration of manegement/business system  Group3:technologies for information,knowledge management  Group4:organization culture,ethics and integrity また,TC176議長の意向で,2020年 3月の発行に向けて急ピッチで作業を進め ることになりました(ISO 9001のsystematic reviewが2012年に実施)。 現状,以下のスケジュールで推進される予定です。  ・2019年 3月までに文書を作る  ・2019年 4月までにTF4の中のコメントを集める  ・2019年 5月にコアチームによるvertual meetingを開催する  ・2019年 6月に第2部の作成に進むかどうか,優先順位の低いコンセプトに   取りかかるかどうかの決定  ・2019年11月総会  ・2019年12月〜2020年 1月にTC176メンバに対してコメントを求める  ・2020年 3月発行 日本はアジアの代表として役割を果たすことを強く求められており,国内委員 会以下からはの3名がメンバとして参画することになりました。  Group1:中條委員長   Group2:棟近副委員長  Group3:須田委員(テクノファ) なお,ここでいう”Future”とは,systematic reviewの行われる2012年を目指 しているものと思われる。ICTにより環境が大きく変わる中では今後も動向を みていく必要がある。 ”Future Concept”は,会員企業においても自社のQMSにとってどのような 要素が必要なのかを意識して考えるべきではないかと思います。 (2) ”附属書SLの改訂” 附属書SLは,今春実施のJTCGによるアンケート結果も踏まえて,必要な部分の 明確化を目的とした限定的な改訂を行うことになりました。 附属書SLは,作成時点では,ISO 9001とISO 14001の2つのマネジメントシステ ム規格しかなく,5〜6名のメンバで対応していたが,現在では40規格あるので 各規格2名のメンバ選出をしても80名と多人数での検討となる。 TF4の議長は,これまでSC2の議長であったNigel Croft氏が努める。 既に,プロジェクト仕様書が承認され,年内にコアチームの編成とVertual Meetingを行い,以下のスケジュールで推進される予定です。  ・2019年 1月:メンバの指名  ・2019年 2月26日〜 3月 1日:アトランタ会議   ・Design Specの決定   ・"Risks and opportunities"の取り扱いが問題になると思われる  ・2019年 6月:Working Draftについてコメントを求める(9月まで)  ・2019年10月:コアチームによるVertual Meeting  ・2019年12月:会議   その後,TCおよびNSBによる投票とコメント  ・2019年12月:会議  ・2020年 5月:会議  ・2020年 8月:最終投票  ・2020年12月:TMBへの提出  ・2021年 2月:TMB会議  ・2021年 5月:発行 以上の2件については,今後もメルマガを通じて状況報告を致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●TL 9000コーナー 『TL 9000説明会』報告 ─────────────────────────────────── 恒例になりました「TL 9000 説明会」を11月26日にTIA 日本ハブ様と CIAJ QMS委員会で共同開催致しました。 当日は,9団体31名の参加があり,QMS委員会内部に留まらず,CIAJ会員と TIA日本ハブ会員から幅広く参加がありました。 初参加の方が14名と約半数で,TL 9000 をご理解戴く機会となりました。 セミナー内容:     1.TIA日本ハブの紹介     2.TL 9000要求事項の基礎(R6.0) 3.TL 9000測定法の基礎(R5.5) 4.TL 9000に関するWEB等の情報の見方, TL 9000認証取得プロセス 5.質疑応答 講師:吉崎 久博氏,小林 真一氏: TIA公認研修機関(株)テクノファ講師 川津一郎氏:TIA承認TL 9000トレーニングコース修了 今回のアンケートの結果からは 「ISO との関係性がスッキリしました。」 「測定法の狙いを理解することができました。」 「具体例を見せながらの説明は分かり易かったです。」  等 好評を博し, 「大変参考になり,また企画していただければと思います。」  の要望がありました。 次回開催は, 2019年上期を予定しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●【連載】知識活用型企業への道    『QMSにおける知的資産運用への取り組み』 ─────────────────────────────────── ご存知のように,2025年に再び大阪で55年ぶりの万博が開催されることが 決まりました。 思い出せば,最初の大阪万博は父親に連れられ見学しましたが,宿泊場所が なく苦労したという話を懐かしく思い出しました。 前回の万博テーマは「人類の進歩と調和」であり,今回は「命輝く未来社会の デザイン」とされ,長寿時代の豊かな人生の送り方について,人工知能(AI) と仮想現実(VR),ロボット技術などを活用し社会的にどのような将来が訪れる であろうかをモデル化してみようとするものだそうです。 最初の万博開催の時代は,海外旅行などは夢の時代でしたので,各国の会場で 見るものは全て目新しく,人類の進歩というテーマから未来技術の展示もあり, 本当にこのような時代が来るのだろうかとワクワクしながら見て回りました。 当時は有線電話の時代でしたが,片手で持てる程度の携帯電話が試験的に展示 公開されていました。そのような時代でしたので現在のように携帯電話がポケ ットに収まるほどに小型化し,だれもが持てる時代が来るとは想像することす らできませんでした。 しかし実際には,子供さんを含めほとんどの人が携帯電話を持つ時代となり, また通話以外のさまざまなサービスも提供され,当時の夢や想定をはるかに 超えたものが現実となっています。 一方,もう一つの夢である“人類の調和”はどうでしょうか。”勝ち組,負け 組“など差別的な風潮や貿易紛争などをみますと,さまざまなところで調和が 乱れているように思えます。それゆえ,目指してきた人類の調和を実現する にはさらに多くの努力と歩み寄りが必要だとみえます。 さて,このように考えますと今回の万博テーマ“命輝く未来社会のデザイン” とは,どのような世界なのか少し覗いてみたくなるものです。 まず日本の現状ですが,国内は長期の人口減少過程に入り,今回の万博終了の 翌年2026年には600万人以上も人口が減少すると予想されています。また, 高齢化率は2013年では4人に1人でしたが,2035年には3人に1人となると 予想されています。(平成24年版 高齢社会白書;内閣府) このようなデータをみますと,確かに日本は人類がこれまで経験していない 長寿社会に突入しつつあると思います。 このような世界が目前に迫っているため,近未来社会への対応として,車の 自動運転,AI技術,医療や新薬の開発,介護関連など長寿社会に必要とされる, さまざまな研究が急ピッチで行われ,すでに実証段階に入っているものも少な くありません。 また労働層減少の懸念に対する社会的対応として,技能を持った海外労働者の 受け入れを容易にする法令制定の議論が国会で盛んに行われておりましたが, つい最近国会で承認されました。 一方で,人口の高齢化に伴い社会保障給付費(年金,医療,福祉等の額)が 急増しており,少しでも給付金等の増加を穏やかにするためにも平均寿命だけ でなく介護費用がかからない,いわゆる健康寿命をのばす研究やワークショッ プが行われています。 このように長寿社会へのさまざまな視点がある中,最近放映されたTV番組「AI に聞いてみた 第3回健康寿命」が,“命輝く未来社会”とはいかなるものかに ついて示唆に富んだ内容となっていました。 この番組では過去の膨大なデータから介護を必要とせず健康寿命を保った人と, 介護が必要になった人との思考および行動の傾向を,健康な時点までさかのぼ りAIで分析し,健康寿命に関連しそうなキーワードをいくつか導き出しており ました。 その結果,一般的に言われている適切な運動だけでは,それほど健康寿命は 延びず,運動とともに友人やコミュニティ社会との接し方や,物事への好奇心 など,心理的な要素も大きく作用する結果となっていました。 このように運動,社会性,好奇心などいくつかの要素が調和し,初めて健康 寿命が延びると言われてみれば,やはり“そうなのか”と思い当たる点がいく つもありました。 さてこの番組に,昨年度(2017/6)当QMS委員会の特別講演で介護予防のお話 をうかがった近藤克則教授(千葉大学)が,予防医学の専門家として出演され ておりました。少しビックリしました。 当時の話になりますが,改訂されたISOの品質マネジメントシステム規格 ISO9001:2015(QMS規格)では,プロセスアプローチ,PDCAサイクルの考え方 など業務の安定性と品質改善を軸とした再発防止の考え方に加え, “リスクに 基づく考え方”を鮮明に打ち出し,予防することの重要さを強調しておりまし た。 それゆえ,当時は介護予防という異色のテーマで講演をいただくことを疑問視 する声もあったのですが,予防という側面で参考になると提案した経緯を, 番組を観ながら思い出していました。 少し時間をさかのぼりますが,先生との出会いは偶然でした。たまたま在住 する市が“都市型介護予防”のワークショップの参加者を公募しておりました ので,個人的な興味で申し込んでみました。 ワークショップにはお年寄りだけが参加するのかと思っていましたが,実際は 年齢層も広く百人を超える人々が参加されておりました。その参加者の多さと 関心の高さにビックリしました。そのワークショップのリーダーが近藤先生で した。 先生と工業会での講演の打ち合わせしていた時,医学分野での研究には,AIや IoTおよび通信分野とのコラボレーションが強く求められており,当工業会で の講演は先生にとっても良いキッカケになるとおっしゃっていたことが印象的 でした。 実際,講演後に名刺交換された企業の中から,先生の研究室とコラボレーショ ンが始まったことを後日知りましたが,少しはお役に立てたかもしれないと 思っています。 さて,今回のTV番組出演や万博のテーマなどを見ると,当時もご多忙でしたが, さらに先生への講演要望が増えることは容易に想像できます。少し場違いな テーマでしたが,今になり振り返りますと,将来の姿を思い浮かべ,早めに この話題をご紹介したことは,正解だったかもしれないと思っています。 さて長寿社会に話を戻します。平成29年簡易生命表(厚生労働省)によれば, 日本人男性の平均寿命が81.09年,女子が87.26年と報告されております。 平均寿命が高いスイスの男子が81.5年,女子が85.3年ですから,国内男子は スイスとほぼ同等,女子はこれを超えており,明らかに日本は長寿大国に なったといえます。 一方,アメリカは男子が76.3年,女子が81.2年となっています。またアフリ カの最悪データを見ますと,男子59.1年,女子63.1年という国家もあります。 これをスイスの男子と比較すると,アメリカは5年も寿命が短く,アフリカの 最悪例では,なんと22年以上も短くなっています。寿命にも相当の格差がある ことがわかります。 この平均寿命の格差が生じている背景には,医療,経済,気候,労働条件, 食糧事情,政治,社会事情など複雑で複合した原因や理由があると思います ので,いくつかの対策を調和させ同時に行わなければ改善していかないだろう とみえます。 同じようなことが企業活動にも言えそうです。企業は製品およびサービスで 他社と差別化し成長しようと努力を積み重ねてきましたが,顧客層やビジネス 環境が急速に変化し続けている中,それに合わせいくつかの要素を変化させ, 調和させ,素早く実現していかなければ企業の健康寿命が損なわれるかもしれ ません。 それゆえ,少し大きな視点から企業活動の将来を考え始めることも必要だとみ えます。例えば,皆さんご存知の「持続可能な開発目標」(SDGs;Sustainable Development Goals)が掲げている17のゴールなどは,企業の将来の姿を予想 し対応を考えるとき,参考になるかと思います。 昨今は企業活動のゴールをSDGsのゴールと関連付け,企業の将来の姿を意識し ている企業が増えてきていると聴きます。その通りだと思いました。(経産省 後援WICIシンポジューム;2018) そのような話から,今回の万博の“命輝く未来社会のデザイン”とSDGsの “持続可能な開発のための2030アジェンダ”とは,同じ土俵にあるように思え ます。 2025年に万博で示される未来社会のモデル展示は,SDGsアジェンダの中間 レビュー時期にもあたるので,ちょうど良いタイミングだとみえます。 経済的にもポスト東京オリンピック(2020)として大坂万博(2025)に焦点を 合わせ,さまざまな企業が何らかの形で参入を計画するでしょうから,かなり ボーっとしている企業でもSDGsや万博のテーマを意識せざるを得ない時期に なったと思います。 先を読んで行動する能力は脳のある部分の発達状況に関連するそうです。その 能力を発達させるには,自分の立場から見るだけでなく,他の立場に身を 置いて考えることから始まるそうです。 他の立場で考えることで先が読めてくるとすれば,私たちが探求し続けている 品質マネジメントシステム(QMS)も少しは貢献できるかもしれません。 なぜなら対処療法的な処置の連続は,複合的な課題に対し効果も少なく継続 しないため,長期にわたり顧客に選ばれる製品やサービスを継続し提供して いくためにはシステムとして,未来志向でさまざまの要素を調和させる必要が あるからです。 残念ながらQMSが形骸化してきているといわれている現状を考えると,ほど 遠いものもあるとみえます。しかしもう一度,未来社会という大きなアンブレ ラの下に視点を移し,予想される事柄に対しプロセスを調和させシステムとし て機能させるQMSの原点に戻り,考え直す時期にあると思います。 さて最後になりますが,今年の流行語大賞に「そだねー」が選出されたことは ご存知の通りです。その肯定的で温かみのある語感が高く評価されたかと思い ます。なにかギスギスとした世の中,少しホットする語感があります。 その流行語大賞候補の一つにTV番組“チコちゃんに叱られる”で使われている 決めセリフ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」がありました。公営放送らしく ない語感が気になっていたのですが,何か“カッ”を入れられるような響きも あり嫌いではありません。 これを借用しますと,QMSを活用し未来社会を目指すとき,“ボーっとQMSして んじゃねーよ!”といわれそうな気がします。皆さんも“そだねー”と思われ るでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記 ─────────────────────────────────── 2018年もあと数日で終わりを迎えます。 会員の皆様にとって今年はどのような年でしたでしたか? 私自身を振り返ってみますと,一番の大事件は,スノーボードで転倒し肩の 腱板断裂したことで人生初めての手術・入院を経験したことです。 自分には怪我は無縁だとの過信が,過ちの元だと身をもって勉強しました。 若い頃のようにKKD(経験・勘・度胸)だけでは反射神経が追いつきません。 今後は,年齢を重ねたスポーツの仕方を考えたいと思っています。 さて,歳を重ねたと言えば『知識活用型企業への道』でも触れていた, 大阪が万博誘致に成功し,2025年の開催が決定したということでしょうか? 私の家のリビングにも,太陽の塔のオブジェがありました。 そこで,48年前当時の大阪で万国博覧会(大阪万博)でどんなものが話題に なったのだろうとちょっと調べてみました。 無線で電話ができる携帯電話の走りは先の記事に譲り,他に受け継がれている 技術で興味深いものを見つけました。 それは,万博で来場者の人気を集めた人間洗濯機(ウルトラソニックバス)です。 座ってカプセルの中に入ると,洗濯機のように水流で人間を洗ってくれるという 斬新(無精?)なものですが,その技術が,介護の世界で活かされていました。 編集後記の冒頭でお話しした通り,私は初めての入院で病院に11日間滞在して おりましたので,病院の浴槽を実際に見ました。もちろん,普通の風呂もあり ますが,大阪万博の出展品,人間洗濯機(ウルトラソニックバス)の技術を 現在の介護現場へ展開したものが,ベッドに横たわったままドボンとお湯に 浸って洗える大がかりな機械ベッドのお風呂でした。 その他にも,車椅子の方用の座って入れるお風呂など介護現場にコンセプトが 引き継がれていました。 超高齢化社会を迎える日本で心強い進化です。 昭和に芽吹いた技術が,平成で花開き,次の時代にはどんな便利な世の中に なるのか,本当に今後の技術の進歩が楽しみです。 最後までお読みいただき,ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」── * 配信追加は下記にお知らせください。  mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp * 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会     QMS委員会メルマガ編集部  http://www.ciaj.or.jp/top.html  http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ) * 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(勝田 秀樹) * 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!  qmsmelg@ciaj.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C)2004-2018 CIAJ QMS committee All rights reserved.