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   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

 「”学習”は,あなたとあなたの会社を明るい未来に導きます!」

                       2018年1月31日発行 第83号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第83号 目次 ≫

 ・はじめに

 ・QKMアクティブラーニング(第10弾)/BSCの速報
   『バランススコアカードの基礎と構築まで』

 ・QMSサロン(第24回)開催のご案内
   『QMS内にある情報・知識の活用を考える』
   〜QMSにおける知識循環と知識展開について〜

 ・異業種見学会開催のご案内
   『独立行政法人 造幣局 さいたま支局』

 ・QKMアクティブラーニング(第11弾)開催のご案内
   『学習するマネジメントシステム』

 ・ISO 9001関連の最新動向

 ・TL 9000コーナー

 ・【連載】知識活用型企業への道
   『QMSにおける知的資産運用への取り組み』

 ・編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに ─────────────────────────────────── 早くも1月が終わろうとしておりますが,遅まきながら,今年もよろしくお願 いいたします。 ISO 9001:2015への移行期限まであとわずかとなりました。先日,某認証機関 の方から約6割の企業のISO 9001の移行審査が終了したとの話を伺いました。 これからという企業さんの健闘をお祈りいたします。 QMS委員会は,昨年12月に,早くも1,000名の受講者を超えたQKM e-L ISO 9001:2015規格解釈のコンテンツ開発とサービス提供に対して功労者表彰 を受けました。これは,充実した内容と会員に役立つ活動であった功労を評価 されたものです。また,これを受けてプレス発表をしたところ,今月17日の 電波タイムズ紙で,「CIAJ e-ラーニング教育サービス」の紹介記事が掲載さ れておりました。 さて,移行審査の結果については、伝え聞くところによれば,2015年版規格の 理解や事業とQMSの統合で見直しが必要な部分があるという指摘が少なからず あると聞いております。QMS委員会では早い段階で軌道修正をする必要が あると考えます。 2018年度のQMS委員会は,2015年版に移行した段階ではQMSはどうある べきかに焦点をあてて,各企業のQMSがよりマチュアになるためのサジェス チョンを与えられるような活動をしたいと考えております。 ISO 9001:2015は,より現実的な内容となり,マネジメント規格としての完成度 が上がったと理解しており,一方,規格解釈のe-Lコンテンツは,この規格を 正しく理解いただけるように総力を結集して開発しております。 移行審査をこれから迎える企業の方も,すでに終えられた企業のかたも,より 規格に対する理解を深めたいと思われる方には是非受講をお勧めいたします。 それでは,メルマガ83号をお届けいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKMアクティブラーニング(第10弾)/BSCの速報    『バランススコアカードの基礎と構築まで』 ─────────────────────────────────── 1月22日,23日の 2日間(大雪の中)で,横浜国大大学院名誉教授の吉川先生 によるQKMアクティブラーニング「バランススコアカードの基礎から構築まで」 を開催いたしました。 例年の状況をみると,日常業務ではマネジメントに関わっていないという声が 多く,今回は,「組織理解のための分析」と「意図した結果に向けたシナリオ 実現に対するマネジメント思考の体得」という演習の2つのポイントを全面に 出したプロモーションを行い,定番の吉川先生の直接指導による2日間の少人 数構成の恵まれた環境はそのままに,品質,SCM,設計等に携わる15名の方に 参加いただきました。 全体を通して,「グループ演習」は難しい/やや難しいとの評価が9割を占める 一方で,ほぼ全員の方から「満足」という結果を得ることができ,「ビジョン と戦略の策定」「戦略マップの作成」「戦略目標の策定」の3つで苦労したと いう結果が出ています。 また,講義は「良い」と評価するも,8割の方が「やや難しい」と評価されて おり,これについては,日頃マネジメント業務に接していないことが作用して いる可能性があると推測しています。 なお,最終的には全員が「BSCの構築方法は概ね理解できた」,また,9割近く の方が「受講前の期待を達成した」との感想を頂き,これは2日間を真剣に学 んでいただいた結果と考えます。 全体の評価としては,「学んだBSCの考え方や作成プロセスを,すぐに確認し 活かせる,演習を重視したカリキュラムでBSCの理解が深まった」「他社の方 との議論や協働作業を通じ,考え方や文化の違いを含め新たな気付きを得た」 「人的交流を深められた」「改めて戦略から戦術に至る,繋がりと検討順序の 大切さを認識した」など,演習・コミュニケーションがキーワードに挙げられ 演習を通じた「BSC理解」の成果は得られたものと判断しています。 この演習では,冒頭に書いた2つのポイントを受け,まず,組織像を明確に したうえで,どのようなビジョンをもってその組織を変えていくかを決め, 次にそのための戦略より戦略マップを作り,ビジョンと戦略の因果関係を明確 にして実行施策への落とし込んでいく手順で,原理的に確実にビジョンを達 成することを学びます。日常の業務で,このレベルの計画を行うチャンスは 必ずしも多いとは言えませんが,BSCのこの思考の繋がりと見える化を重視 した考え方は,日常業務の様々な場面で活用することができ,ビジネスリテ ラシーの向上も図ることができます。 マネジメントの必要性が年々高まる今,若手の人財育成カリキュラムとして, 是非導入をご検討下さい。 吉川先生からは,「一人でも多くの方に学びに来ていただきたい」とのメッ セージをいただいており,次年度も継続して開催の予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QMSサロン(第24回)開催のご案内    『QMS内にある情報・知識の活用を考える』    〜QMSにおける知識循環と知識展開について〜 ─────────────────────────────────── 「QMSサロン」は,日頃QMSの推進・改善に取り組んでおられる会員の方々に, QMSを含めた諸事項についてさらなる可能性と価値を創造するために,一歩踏 み込んだ議論ができるステップアップの場として開催しています。 第24回は,以下の通り開催いたします。  <QMSサロンの概要>  ・日時: 2018年2月23日(金)14:00〜17:00  ・ファシリテーター:山本 正 氏(QMS委員会特別委員)  ・テーマ:『QMS内にある情報・知識の活用を考える』        〜QMSにおける知識循環と知識展開について〜 改訂された品質マネジメントシステム(QMS)規格のISO 9001:2015に準じて 多くの組織が新規格へ移行されたと思います。 そこで,今回はQMSについて必要とされる知識の獲得に関し,組織の内外にある 「知識の循環と知識の展開」に目を向けて「情報・知識の活用」を考えたいと 思います。 特に,既に移行審査を通過した組織に対して,「組織の知識」と関連する内容 がQMSに組み込まれ,機能していることを見直し,より成熟したQMSにしていた だくために,皆様と意見を交わしたいと考え,今回のサロンを企画しました。 QMSサロンは,自身の勉強目的のみならず,会員間コミュニケーション, リレーションを築くことにも最適な場です。 是非,皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●異業種見学会開催のご案内    『独立行政法人 造幣局 さいたま支局』(2/27(火) 13:40:現地集合) ─────────────────────────────────── 毎回好評を戴いております異業種見学会は『独立行政法人 造幣局 さいたま 支局』を見学いたします。造幣局では,我々国民の貨幣に対する信頼の維持と 国民生活の向上を使命とされ,貨幣の偽造に耐えうる高度な技術を有しながら, それらが仕様通りできることが当たり前品質となっているなかで,どのような モノ作りをされているのか気になるところです。 また,ISO 9001:2015を取得されているとのことで,QMS委員会としてはその 点も気になるところです。 これまでも見学先候補に挙がっておりましたが,今回,ようやく見学の機会を 得ることができました。概要は以下の通りです。    <異業種見学会の概要>  ・日時: 2018年 2月27日(火)13:40〜16:00  ・見学先:造幣局 さいたま支局  ・住所:埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-190-22  ・最寄駅:JR宇都宮線・高崎線・京浜東北線「さいたま新都心」駅下車,      東口より徒歩約12分    ・募集定員:30名  ・申込期限:2月13日(火) 募集案内は準備が整い次第ご連絡いたします。参加を希望される方は,各社の 窓口委員より,期限までのお申込みをお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKMアクティブラーニング(第11弾)開催のご案内    『学習するマネジメントシステム』(3/8(木) 14:00〜) ─────────────────────────────────── 「QKMアクティブラーニング」は,日頃,身近に接するものにスポットをあて, 考察し,モデル化などを行うなかで,全体像を認識したり,気付きを得たりと, 活用方法を体得することを“ハウツー”ではなく,自然体で体感する少人数の ワーク形式で行う,基礎的かつ実践的なスキルを学んでいく場です。 次回は,「システムの可視化」ツールから少し離れて,システムの時間軸に おける成長と変遷について,話題提供したいと思っています。 概要は以下の通りです。  <QKMアクティブラーニングの概要>  ・日時:2018年 3月 8日(木)14:00〜17:00  ・講師:山上 裕司 氏(株式会社 イノベイション 代表取締役)  ・テーマ:『学習するマネジメントシステム』   ISO 9001という規格が生まれ,その規格を満たすための組織のシステムも, ほぼ同じ時期にスタートしていることが多く,QMSという概念も20年を超えて きています。 そこで,組織それぞれのQMSの“履歴”を辿ってみると,今の時点において, 私達はQMSにどのような意図を与えているのでしょうか。そのために,何を しようとしているのでしょうか。 そこには,組織ごとの違いがかなりでてくるではないでしょうか。そのような ことを含めて,それぞれの組織のQMS運用の姿をリフレクトとできたらと思いま す。 募集案内は,準備が整い次第ご連絡をいたします。参加を希望される方は, 各社の窓口委員より,期限までのお申込みをお願いいたします。 ところで,QKMアクティブラーニングは,この回で11回目となりますが,山上 講師には,パイロット開催を含めて9回担当していただいております。 マネジメントシステムの専門誌である月刊アイソスの3月号(2/10発売)では, 山上講師執筆の『学習するマネジメントシステム』という特集記事が掲載され る予定です。また,そのワークショップの実例として,QKMアクティブラーニ ングの記事が掲載されています。 これからもQMS委員会は,山上講師と協働して,皆様のお役に立てる企画を 展開してまいります。 アイソスの購読と,QKMアクティブラーニングの受講で,改めてQMSに拘って みてはいかがですか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ISO 9001関連の最新動向 ─────────────────────────────────── 前号以降は,品質マネジメントシステム規格国内委員会は開催されておらず, みなさんに報告するホットな情報はありません。 前号で紹介したISO 9004は,報告の通りFDISに進み翻訳作業にはいりました。 今後の予定は,2018年4月のIS発行を目指して進んでいます。日本では,国際 一致規格(IDT)となるJIS原案を作成し,ISO 9004対応WGでJIS原案及び解説案 の作成作業を行い,国内委員会で審議・承認を行う予定です。 ISO 9004の規格名称は,「品質マネジメント−組織の品質−持続的成功を達成 するための指針」で,ISO 9001とのコンシステントペア(consistent pair:独 立でありながら整合のとれた一対の規格)ではなくなりました。 ここでは,規格名称の“組織の品質”という言葉が気になりますが,ISO 9001 と比べ,以下の★印のワードが追加されています。  ・組織のアイデンティティ:使命★,ビジョン★,文化★,価値基準★  ・リーダーシップ:方針,戦略★,目標  ・プロセスの運営管理  ・資源の運用管理  ・分析及びパフォーマンス評価  ・改善,学習及び革新★ 組織には,組織なりのアイディンティティを持つこと,運営においては戦略を もつことが重要視されており,さらに,学習と革新が必要な要素として加え られているところが特徴となっています。 これらは,皆様のQMSを成熟させるヒントになるかもしれませんね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●TL 9000コーナー ─────────────────────────────────── (1)2018年のカンファレンス予定  クエストフォーラムでは毎年,各地域でカンファレンスを開催しています。  そこで,2018年の主要な予定をお知らせします。  -Leadership Summit & Work Group Meetings (Plano, Texas) 1/29 - 2/1  -TIA Executive Board Meeting (West Coast USA) 3/5 - 3/6  -India Conclave (Location -TBD) 3/20 - 3/23  -APAC Conference (Shenzhen, China) 5/22 - 5/25  -Americas Conference (Plano, Texas) 6/4 - 6/8  -EMEA Conference (or Conclave) (Location TBD) 9月(TBD)  -TIA Executive Board Meeting (Washington, D.C.) 11/12 - 11/13 (2)TL 9000ガイダンス文書の更新(クエストフォーラム日本ハブHP)     ガイダンス文書の翻訳版が掲載されましたので,是非ご活用下さい。   ①TL 9000 認証機関のための実施規則R7.2  (関連Alert:17-006A)   ②TL 9000 認証機関の審査員のための資格及び経験要求事項R4.2                        (関連Alert:17-007A)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●【連載】知識活用型企業への道    『QMSにおける知的資産運用への取り組み』 ─────────────────────────────────── 年が明け,早くも1ヵ月が過ぎました。年の始まりは例年,初詣,カレンダー の切り替え,新たな日記帳の準備から始まります。また,年賀状を懐かしい 方々からいただくのですが,一緒に働いていた社員の子供さんが今年は受験 だとメモされていると,もうそんなに年月が過ぎたのかと驚きます。 また最近の新聞によれば,子供さんがなりたい将来像の一位が,これまでは サッカー選手などスポーツ選手であったのに対し,今回は学者・博士になった そうです。何か時代が変わってきたように思えます。 さて,年の始まりは日記帳が新しくなるので気分も一新するものです。 私の場合は社会人になってから書き始めた手書きの日記が,現在はパソコンに 代わり20年以上が過ぎました。 電子化したデータは検索が簡単なので,“あれはいつ頃だったのだろうか?” “あの頃何をしていたのだろうか?”など過去を振り返るときに便利です。 また,写真やビデオも同時に保存していますので,その時の様子もパソコンで すぐに見られます。過去を振り返るのにはとても便利です。 実際過去の日記を読んでいると,月日の流れの早さをつくづく感じます。 つい最近の出来事だと思っているものでも,何年も前の出来事であったりして 驚きます。同時に,一瞬ですが当時にタイムスリップすることができ,過去の 苦労さえも懐かしく思い出されます。 さて,歴史的に名を残した人々は“メタ認知能力”が優れており,日記を付け ている人はメタ認知能力が向上するという脳科学の説があります。 興味がわいたので,メタ認知能力とは何かを簡単に調べてみました。 メタ認知能力とは「人間が自分自身を認識する場合において,自分の思考や 行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること」と説明されており, メタ認知能力の育成は,学校教育において教科書による教育を超えた重要な 課題になっていると解説されています。 また,メタ認知能力の定義として,a) 能力を監視する知識,b) 知っている ことを知っていること,c) 認知していることの認知,d) 自分の理解している ことを理解すること,となっています。(Wikipedia) 少し禅問答のような定義になっていますが,自分自身の知識や能力を客観的に 自分が認識する能力だといえるでしょう。 他者の能力を客観的に判断するには,試験,実績,振る舞いなどを観察する ことで,ある程度判断することは可能です。 しかし,自分自身を評価するとなるとさまざまな心理的バイアスがかかるため, とても困難に思えます。行為者と評価者が同一人なので,かなり冷静でなければ 自分自身を判断することができなくなるわけです。 企業でも同じことが言えそうです。企業自身が置かれている立場や,所有して いる経営資源のレベルなどを,客観的に観るメタ認知能力がないため,やりたい ことと出来ることが食い違い,実現できないことがしばしばあります。 チャレンジは常に必要なのですが,企業の実現能力に,何が足りないかを 分らないままチャレンジするのは,勢いだけの蛮勇に近いものを感じます。 さて,メタ認知能力の定義を整理してみますと,“知る”,“理解”,“知識”, “認知”と同質の言葉を使い込んでいますので,まずはその内容を調べてみま した。 広辞苑によれば,知るとは「物事の内容を理解する」,理解とは「物事の道理を さとり知ること。意味をのみこむこと」,知識とは「ある事項について知って いること」,認知とは「事象について知っていること,ないし知識を持つこと」 となっています。 これだけ読むと混乱しますので,整理が必要です。まず,基底になる概念は “知る”ということでしょう。知ることにより理解が生じ知識が形成されます。 これはまさに,情報から知識が生成される過程です。 マニュアルで行動している人たちが,マニュアルの中身は知っているがその意味 を理解しているかどうかはわかりません。理解させずに業務を繰り返していると, 思考停止型社員を増産することになります。 さて,理解とは「意味を飲み込むこと」になります。飲み込むためには,その人 が正しいと信じるかどうかにかかわりますから,個々人の経験や信条と関わり 合いがあります。すんなり飲み込めたときに,本当の意味で理解でき,初めて その人にとっての知識が形成されます。 知識といえば例えば,地球を中心に宇宙があるとした天動説は紀元前の古代 ギリシャ時代から始まりました。地球が動いているようには観察者は感じられ ないのですから当然のことのように思えます。 地球が太陽を中心に運動していることに気が付くには,望遠鏡が発明され, より精密に宇宙を観察することができるようになる十六世紀まで待たなければ なりませんでした。観察し星々の動きをより精密に知ることにより,新たな理解 が生まれ,地球が太陽の周りをまわっている地動説が新たな知識となりました。 これには相当長い時間が必要でした。 このように考えますと知識を得るということは苦労するものですが,どの視点で 出来事を観察し,知るのかにより,そこから得られる知識の広さや深さ,焦点 が変わります。それゆえ,どのような道理を使って知識を得て認知しているかも チェックしておく必要があります。 これらを整理しますと,最初の知るという行為から理解が生じ,理解により 知識が生成され,その獲得した知識により認知が生じると考えることができ ます。これら一連の流れにより,メタ認知能力が形成されることになりそうです。 しかし実際の多くの業務や生活は,すべて道理で動いているわけではないので, 日常は経験的に学んだ感覚的知識で直感的に判断しているものも多くあります。 従来の出来事の延長線上の事柄であれば,それほど大きな問題もなく生産性も 向上するものです。しかし状況変化が激しい場合,すべての業務を直感的に判断 していたのでは安定しません。 そこで何らかの規範が必要になりますが,例えば品質マネジメントシステム規格 (QMS規格)のISO 9001:2015の要求事項に照らし,業務内容に弱点がないかを 認知する活動が必要になります。 QMS規格に準じれば,まず企業活動の各分野で「知る」という行為に対し,文書化 した情報が必要になります。いわゆるマニュアル化し,業務内容に秩序を与え 知らしめるわけです。その狙いは業務の質のバラツキを抑え生産性を向上させる ことにあり,決められたことを正しく行うことが求められます。 次に,業務にはマニュアル化できない部分が少なからずありますから,その部分 への対応は「理解」という能力が求められます。例えば,対人業務などは相手が 求めているものを理解し,行わなければなりませんから,マニュアルに無くても その場で瞬時に相手の求めているものを理解し対応する能力が必要です。 さらに,創造的業務,例えば設計・開発業務は,直感で行うことができません ので,道理を理解したうえでの専門的な「知識」が必要となります。実現しよう とする事柄に対し,そこに至ることを道理として理解し,すでに獲得している 専門知識と結合させ,新たな知識を形成する能力が必要になります。 これは知識創造の分野となります。 最後に「認知」ですが,改善とマネジメントにかかわる能力だとみています。 なぜなら何が問題なのかを認知できなければ,改善もマネジメントもできない からです。 認知能力は,その人の立場や知識の広さと深さが関連しますので,人により 認知される関心事が異なることになります。例えば,QMSの中でも現場の細々 とした事柄だけに注意が向いてしまう人々もいれば,プロセスアプローチの ように大局的に問題発生のメカニズムを認知し,システムとして改善を目指す 人々もいます。 QMSでは,前者を「処置」とし,後者を「是正処置」と識別しておりますが, 対処の程度は,その人の認知能力と関連するものとなります。改善と称し処置 ばかり行っている職場では,問題事象は変わるものの時間を経て同質の課題を 発生させる可能性が高くなります。 さて今回は,日記の話題からメタ認知能力という話題に展開しましたが, このように展開してみると,QMSに当てはまる部分が少なからずあることに気が 付きます。 企業活動全体を「知る」,「理解する」,企業活動についての「知識」を得る, および課題,改善点を「認知」する道具として,これからもQMSをうまく活用 したいものだと思います。 特に,ビジネス上の能力を監視する企業的メタ認知能力は,トップマネジメント をはじめ,現場のマネジメントの皆さんにも不可欠な能力だと思います。 QMSを通して蓄積された過去の記録情報やマニュアル化された知識を俯瞰して 本当に,これでよいのか自問自答し,気が付いた点があれば業務システムとして 学習と改善をおこない,少しでも未来に向けて企業を成長させていただければ と感じる次第です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記 ─────────────────────────────────── 私事ながら,今年の干支は「戌」で自分は年男となります。いつもは干支など 気にすることはないのですが,お正月や節分が近くなると「今年は良いことが あるかな」と勝手に期待をしてしまいます。 「知識活用型企業への道」では,”メタ認知能力”という言葉が取り上げられ ていました。自分が年男だということだけで,なぜ私は「今年は良いことがあ るかな」などと楽観的に考えてしまうのか,自分の思考を対象として客観的に 把握し認識する能力(メタ認知能力)が私に十分あるとすれば,今年を飛躍の 年にするために,自分に何が足りないかをすぐに認知できるのでしょう。 なお,残念ながら今の私の”メタ認知能力”は,そこまで到達していないよう です。 さて,2018年最初のメルマガはいかがでしたか。 企業では,「失敗を経験して乗り越えたものは成功者になれる」と言われます が,皆さんの会社では,このような場合にどうされていますか? 今回報告をした「QKMアクティブラーニング/BSC」では,『「グループ演習」 は難しい/やや難しいとの評価が9割を占めた一方で,ほぼ全員の方が「満足」 という結果を得た』とありましたが,受講者の皆さんが,チームワークよく ホワイトボードを囲んで議論して学ぶ姿は真剣そのもので,まさに困難をチー ムで克服し乗り越えていく姿に通じるものを感じました。 改めて,若手の人財育成に有用なプログラムであることを再認識しました。 今号では,以下の通り,QMS委員会の4つの企画記事を掲載しましたが,   ・QKMアクティブラーニング/BSCの速報,   ・QMSサロン開催のご案内   ・異業種見学会開催のご案内   ・QKMアクティブラーニング開催のご案内 それぞれに,いろいろな“学び”,“学習”があります。 QMS委員会では,各種イベント,QKM e-Lサービスをご用意するとともに, 何度参加しても「無料」という会員特典もあります。 TPOに合わせて参加いただき,使えば使うほどメリットが大きくなるQMS委員 会の提供コンテンツで,共に賢くなりませんか! 最後までお読みいただき,ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」── * 配信追加は下記にお知らせください。  mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp * 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会     QMS委員会メルマガ編集部  http://www.ciaj.or.jp/top.html  http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ) * 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(勝田 秀樹) * 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!  qmsmelg@ciaj.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C)2004-2018 CIAJ QMS committee All rights reserved.