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   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

       「QKM e-ラーニングを是非お役立てください!」

                       2017年3月31日発行 第78号

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≪ 第78号 目次 ≫

 ・はじめに

 ・QKM e-ラーニング 『ISO 9001:2015規格解釈コース』リリース

 ・QMSサロン報告  『監査という窓から見える風景』
        〜QMS監査から見えてくるもの,見えないもの〜

 ・QKMアクティブラーニング報告 『改めて あなたのQMSを可視化する』

 ・異業種見学会報告 『ヤマトホールディングス 羽田クロノゲート』

 ・ISO 9001関連の最新動向

 ・TL 9000コーナー 『2017 Leadership Summit 
                & Work Group Meetings』報告

 ・知識活用型企業への道 『QMSにおける知的資産運用への取り組み』

 ・第5回 JAB マネジメントシステム シンポジウム報告
       『2015年版の運用後に検出された課題とその対応』

 ・関連規格『改善活動の要員・組織認証の国際規格
        ISO 18404 国際動向シンポジウム』のご報告

 ・編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに ─────────────────────────────────── 今月,北陸新幹線に乗って早春の富山に行ってきました。2泊3日で富山の食や 歴史や工芸品を富山の皆さんの地元愛たっぷりのお話でDeepに楽しむことがで き,よいリフレッシュになりました。中でも富山湾を介しての立山連峰の景色 は圧巻で,雪の壁のようにも見え,とても感動的なものでした。 さて,本日は先月始まったプレミアムフライデーの2回目ということになりま すが,皆さんには特別なご予定はありますか? 一方で,企業では年度末の決算日でもあり,いち早くプレミアムフライデーを 一週間前倒しにすることを表明された企業もあるとのことです。 祝日とは異なり,制度に馴染んでいないところもありますが,できることであ れば,休暇を消化してリフレッシュができるといいですね。 3月は節目の月でありますが,皆さんにとっての2016年度はいかがでしたか? QMS委員会では,何といってもQKM e-ラーニング規格解釈のISO 9001:2015 へのリバイスです。3月13日のリリース早々2週間の時点で3桁を超えるという 順調なすべり出しです。会員企業でのISO 9001:2015の規格解釈の学習に是非 お役立てください。 それでは,メルマガ78号をお届けいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKM e-ラーニング 『ISO 9001:2015規格解釈』リリース ─────────────────────────────────── 会員の皆様には大変お待たせ致しました。今月13日より,QKM e-ラーニングの ISO 9001:2015規格解釈の受付を開始いたしました。 ISO 9001規格解釈は,2003年のサービス開始から,規格全体を正しく理解して いただくことを重視してコンテンツを開発してまいりましたが,2015年版では 大規模な改訂であるとともに,組織の自律性・主体性のある事業と一体化した QMSを構築し運営することを求めた規格であることから,単に規格の解説だけ では十分ではないという難しさがあり,QMS委員会の総力を結集して開発を いたしました。 QMS委員会では,TC176国内委員会参画による規格開発側の知見,MBA等関連 する領域の識者の知見,企業での製品・サービスの企画〜開発〜リリース〜 サービスのライフサイクル全般から得られる知見などを活かし,また,過去の 各種イベントのアンケート等の分析結果より,審査や製品実現重視の傾向であ ることに加え,QMSに対して,「システムであるということ」「マネジメント システムの本質とは何か」「トップマネジメントがやるべきことは何か」とい う視点を加えて,規格改訂の背景と狙い,重要ポイント,各箇条の解釈,規格 要求事項が実際どの業務を示しているかなど,箇条間の繋がりや,業務との繋 がりを十二分に考慮することで,充実した解説といたしました。 これにより,初めてISO 9001を学習する方から内部監査員からトップマネジメ ントまで,幅広い階層に規格の本質を理解いただける内容となっております。 是非,社内教育カリキュラムとして組み入れる等の幅広くお役立ていただけれ ばと思っております。 受付開始より2週間の時点で3桁を超えるエントリーがあり,順調な滑り出しと なっており,感謝申し上げます。QKM e-ラーニングサービスでは,受講状況に 応じて受講枠の調整をしながら運用をいたしますので,安心して受講申し込 みをすることができます。 なお,大口の受講申し込みにつきましては,会員企業間の受講機会の公平性を 保つために,平準化の調整をさせていただく場合がありますことを予め承知お きください。 さらに,ISO 9001:2015規格解釈では,修了条件に理解度テストの合格に加 え,アンケート回答を加えることで,受講者の皆様からのフィードバックによ るさらなるブラシュアップを図ることを考えております。 QKM e-ラーニングのサービス概要は,以下のURLでご確認ください。  http://www.ciaj.or.jp/qms/7.html なお,QKM e-ラーニングのISO 9001:2008規格解釈は,規格が失効する2018年 9月までサービス継続をする予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QMSサロン報告 『監査という窓から見える風景』     〜QMS監査から見えてくるもの,見えないもの〜 ─────────────────────────────────── 3月9日に第21回「QMSサロン」を開催致しました。 QMS委員会フェロー 山本正様(MBA,Ph.D)をファシリテーターに迎え, 『監査という窓から見える風景』という趣のあるテーマで開催されましたの で,「一体何が見えるのだろう。今まで見たことのない風景が見えるのかな」 と,とても楽しみに参加しました。 最初に,山本氏から,なぜ“風景”という言葉を選んだのかの説明がありまし た。監査という型にはまった言葉を使っているが,では,監査で何を見ている のか考えると,“会社の風景を見ているのではないか”という投げかけがあり ました。 「監査では,規格の適合を見ている。しかし,監査は適合と不適合だけではな い。規格に適合したら,その先に何があるのか,適合だからどうしたのか,単 に認証したから良いというものではない。」 「監査から見えてくるさまざまな風景を理解することは,企業活動を支援する ために有益」とのことでした。 確かに,内部監査では不適合箇所を発見したらその点の是正や改善,水平展開 として予防処置活動をしたりと,悪いところを良くする行動は取りますが,適 合の場合は,トップへの報告として,(組織の)規定に従った行動をしている という程度で終わってしまうのがほとんどの企業行動かと思います。 その先の行動でも,良い点を他組織に水平展開するということ位でしょう。 “適合したその先を見る,監査という窓を通して見る”など深く考えたことが なかったので,スタートから気付きを得られました。 基本的な疑問に立ち返るため,「なぜQMSを構築するのか?」について話合い ました。マネジメントは,製品品質の時代,仕事の質の時代を経て,現在では 不確実性の時代へと進んでいるということで,リスクと機会への柔軟な対応能 力が必要ということでした。 組織の固有の知識を体系化する,文書化で知識の見える化をする,組織に知識 の展開をする,これらはISO 9001:2000発行を契機に盛んになりました。 日本のマネジメントは2000年版以前から,見えない知識(インタンジブルス) を扱ってきたことは,皆さん良くご存知でしょう。 この,組織知,阿吽(あうん)の呼吸などの知識は,同じことを繰り返してい るだけでは組織として立ち行かなくなるというところまで深く考えて, QMSを扱っている組織はどれだけあるのでしょうか? 山本氏は,「不確実性の時代」では,“マネジメントシステム”という名の もとで,決まったことをやっていれば良いという時代ではなくなった。昨年 良くても今年良いかは分からない。だからISOでは“リスク志向の考え方”を しなさいと言っている。すなわち,“組織にてリスクと機会を考慮しなさい。 世の中が変わっているのに変われないのはあなた方の責任です。“と言って いる。とのことでした。 そこで,変わるための取り掛かりとして,QMSの窓から見えてくるものとし て,前回に引続き,クラスター分析を使ってISO 9001:2015規格要求事項の再 確認をしました。 再確認するにあたり,ISO 9001:2015に使用されている主要語彙の関係性を分 析し,大きく分けると3つの郡から成り立っているということでした。 1)「情報」の窓;(神経系)  多くのQMS要求事項に展開されるものであり,文書化した情報や記録などQMS  を体系化するための基盤をなすクラスターである。 2)「システム」の窓;(頭脳系)  「情報」および「プロセス」クラスターと連携し,マネジメントに関連する  多くの小クラスターを含んでいる。どのようにマネジメントしていくかが,  「システム」という言葉になっている。 3)「プロセス」の窓;(筋肉系)  組織活動の本質。「情報」クラスターと対をなす。  プロセスは,情報クラスターの中にある。プロセスは情報と綿密である。 このQMSの窓では,内部監査で見ている部分は,主に「プロセス」の窓であ り,情報クラスターと対を成すことから,プロセスの適合性の確認監査をし, 情報を確認するというやり方が一般的であるということでした。 事務局の立場としては,毎回の内部監査では,監査プログラムを立てていつも 違う取り組みをしていると思っていましたが,実際のところQMSの窓を通すと (ロジカルに分析されると)いつも同じ窓からしかQMSを見ていないのかもし れないと考えさせられました。 次に,「共起分析(*)」で,「組織」活動を取り巻く多様な窓を考えまし た。何のためにQMSをするのかという視点がないから,監査結果のまとめもボ ケるので,パフォーマンスを挙げるためにどう活動しているかに集約して内部 監査をするなどの工夫の説明がありました。  *数量化分析の一種で,ファジークラスター分析である。   共起ネットワーク分析ともいう。 これらの分析を踏まえ,「監査という窓から見る風景」を考えました。 例えば,ビール消費量の増加は,夏場の平均気温と関連するか?という問いに 対して,実際のデータを分析すると,そのような相関関係はなく,相関の因子 は可処分所得がプラス要素であり,消費者物価指数がマイナス要素で影響して いるという事実が見えてきました。 これは,実際の結果を左右する問題がかくれてしまい気温が高いのでビールが 売れるという正しくない結論を導いていることへの問題提起です。 この事例から言えることとして, ・内部監査では,問題を生み出している“かくれ層”を発見することが重要。 ・形式的監査は,QMSを形骸化させる“かくれ層”が見えなくなる。これは,  QMSへのリスクであり,脅威でもありQMSを満たすことの重要性が薄れてく  る。形式的監査が引き起こすインパクトを考えるべき。ということです。 内部監査の窓は,ISO 9001:2015の箇条9.2にあるとおり,「パフォーマンス」 「有効性」「適合性」があります。この窓と,「組織」活動を取り巻く多様な 窓(システム,プロセス,情報,資源,製品及びサービス,結果,リスク及び 改善)を組み合わせ,QMSの窓(情報,システム,プロセス)のどこから何を 見るのか,監査プログラムで決めていくことが必要だと分かりました。 まとめとして,山本氏より以下のお話がありました。 今回は,ISO 9001:2015の要求事項をクラスター分析および共起分析を行い, 逐条的規格適合監査とは異なる,「情報」,「システム」そして「プロセス」 を起点とした見方を提示してみました。 この視点は,マネジメントレビューを通しトップマネジメントに報告する包括 的情報として有益だと思います。 また,パフォーマンスと有効性を向上させるには,組織にまたがる課題を調整 する必要があるが,そのためには「原因と結果」にまつわる相互依存関係を把 握する必要があります。 不確実性が高まっている現状では,組織の役割や相互依存関係も常に変化しま すので,QMSの形も恒久的な正解はなく,変化してしく必要があります。 最後に参加者の感想として,以下が挙げられました。 ・共起分析が分かった。2015年版で内部監査をどうするか分かった。 ・内部監査で,町医者的感覚で定点観測して見ていく事が大事だと思う。 ・内部監査はさじ加減だと思った。 ・内部監査は過去の結果が大事だと思う。長く監査をすることで,かくれ層が  見えてくるのかなと思う。組織を取り巻く多様な窓を使ってみてみたい。 ・このような機会(QMSサロンへの参加)があってよかった。 ・内部監査でかくれ層を見つけることが出来るというのが分かった。 ・ISO規格をいろいろな面から分析しているのが役に立った。情報をどう分析  してトップに報告するか考えたい。 ・情報の窓;神経系,システムの窓;頭脳系,プロセスの窓;筋肉系という分  類が面白かった,視点を変えることが良く分かった。 今回のQMSサロンは,初めて,それも名古屋から駆けつけてくれた参加企業が ありました。内部監査を何とかしたいという熱い思いで参加されて,QMSサロ ンがプラスの情報を提供できたなら,気付きと次へのステップへの足がかりに なりますので,主催者としてもとても嬉しいことでした。 今回もまた,場を共有したからこそ得られる内容が多くありました。 毎回メルマガで,内容のダイジェストをお伝えしていますが,参加しているか ら味わえる素晴らしさまではお伝えできないのが残念なところです。 次回も新しい企業の参加を期待したいと思っています。 是非,メルマガ読者の皆様にも,“場に参加するからこそ腑に落ちる”感覚を 直接味わってもらい,自分の知識として持ち帰ってもらいたいと思います。 次回,第22回は,2017年6月23日に開催予定です。 QMSサロンは,自身の勉強目的のみならず,会員間コミュニケーション, リレーションを築くことにも最適な場です。新たな参加者を大歓迎します。 皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●QKMアクティブラーニング報告 『改めて あなたのQMSを可視化する』 ─────────────────────────────────── 3月21日に今年度4回目のQKMアクティブラーニングとして,株式会社イノベイ ション代表取締役 山上 裕司様をお招きし,『改めて,あなたのQMSを可視化 する』というテーマで開催いたしました。 タイトルは,山上講師ならではのユニークなもので,テーマへの興味ととも に,組織のQMSを有効なものにしたいという期待をもった方たち11名にお集ま りいただきました。 ワークショップでは,パン屋の事例が取り上げられました。最初に,パン屋を 始めるには「製造・サービス提供」というカテゴリーとしてどのような作業が あるかを列挙していきます。 例えば,材料を量る,生地を作る,発酵させる,形を整える,再度発酵させ る,生地を焼く,さます,カットする,包装するなどです。 この列挙を行っていくと,どんなパンを作るのか,設備はどうするのか,製造 分量はどれくらいかなどの視点が自然に気になってきます。これが,次のカテ ゴリー「生産管理・技術」の階層へと繋がります。 そして,列挙を繰り返すうちにターゲットとする顧客を決める市場調査や,売 り上げ目標を決める事業計画へと階層が上がっていきます。 最終的に,以下の4段階の階層が形成されます。  1.事業計画  2.商品企画  3.生産管理・技術  4.製造・サービス提供 この4つの階層を時間の単位でみると,事業計画は1年,商品企画は4半期,生 産管理・技術は毎週,製造・サービス提供は毎日の単位での活動となることが 分かります。この時間周期の相異がお互いのプロセスの考え方の相異の原因と もなり得るので,内部監査の周期もこれを勘案して決定し,内部監査をこの階 層を縦断するPDCAで行うと良いでしょう。 ISO 9001:2015は,この階層に当てはめることができます。ISO 9001の箇条対 応に組織を見るよりも,この階層対応でプロセスを見る方がより具体的で可視 化が容易です。 ISO 9001:2015の箇条に組織の活動を合わせるという受け身や形式的なもので はなく,今存在する階層をレビューし,組織の方針,意図を達成するために階 層を俯瞰することで,どのような仕組みが必要かを常にレビューすることがで きます。 このQKMアクティブラーニングは,講義の時間帯の殆どがグループ討議と受講 者が考える作業ということもあり,受け身の聴講ではなく参加型の形式で, まさにアクティブラーニングに相応しい時間を過ごすことができました。 今回の受講者アンケートの結果においても,回答者全員から有益なことが得ら れたとの回答を得ています。 また,QKMアクティブラーニングへのご意見,ご要望がありましたらQMS委員会 宛にお知らせください。 次回のQKMアクティブラーニングは,2017年7月27日に開催予定です。 今回の受講者のアンケートは,以下の会員専用サイトからご覧いただけます。 是非,ご一読くださるようお願いいたします。  <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>  http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/170321.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●異業種見学会報告 『ヤマトホールディングス 羽田クロノゲート』 ─────────────────────────────────── 2月3日,34名の会員の方に参加いただき,東京都大田区にあるヤマトホールデ ィングス 羽田クロノゲートの異業種見学会を開催いたしました。 羽田クロノゲートは,「バリュー・ネットワーキング」構想の5つのエンジン のひとつとされており,陸海空のスピード輸送ネットワークと高付加価値機能 を一体化した羽田空港に隣接した総合物流ターミナルです。 今回の見学では,ヤマトホールディングス様のお計らいで一般の見学では見ら れないエリアの見学も含む,「バリュー・ネットワーキング」構想をはじめと するヤマトホールディングスの最新鋭の物流システムとセキュリティ設備を目 ・耳・肌で感じられる見学会となりました。 実際の物流コンベア上でめまぐるしく移動する荷物や箱に貼り付けられている バーコードにより,正確に仕分けされる状況はスゴイの一言では表せられない 状況であり感動すら覚えた次第です。 また,一般の見学では見られない医療機器の洗浄・メンテナンスでは,病院で 使用する医療用機械を洗浄・メンテナンスする設備と在庫を管理する場所も設 置することで,リードタイムの短縮と流通在庫の圧縮を可能にしております。 質疑のなかで,我々は物流のプロフェッショナルとして,会社の根幹である宅 急便ネットワークにグループ各社の様々な機能を組み合わせることで,今まで になかった付加価値の高い物流サービスを提供している専門化集団が行ってい るというお話が非常に印象的でした。 なお,参加者アンケートの結果,物流システムはメディア等で知っていたが, 実物を見るとやはり凄いシステムだと改めて感じた。本業を大事にしながら, その事業を通して得たニーズから,新たな顧客価値を模索し実際に事業として 立ち上げている等,大変満足のいく内容との回答をいただきました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ISO 9001関連の最新動向 ─────────────────────────────────── ISO 9001関連では,TC176/SC1のWG2及びWG3をTG(task group:タスクグルー プ)へ転化することの可否について投票が行われ,賛成:46,反対:0, 棄権:13で承認されました。詳しくは,詳細情報が入った段階で報告とさせて いただきます。 その他は,JIS化されていないTC176管掌の規格の定期見直しや,ISO内での 新PC (project committee:プロジェクト委員会)設置の検討,ISOと他機関と のリエゾン等の検討・投票などの話題はあるものの会員の皆様に報告するまで の内容の情報はありませんでした。次号の記事にご期待ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●TL 9000コーナー 『2017 Leadership Summit                 & Work Group Meetings』報告 ─────────────────────────────────── 1月30日〜2月3日にクエストフォーラムの2017年の年初会議(Leadership Summit & Work Group Meetings)が米国,テキサス州(プレイノ)で開催されま した。 欧米等から約50名の情報通信業界の関係者が集まり,2016年活動成果報告と 2017年の全体活動計画展開やWork Group毎の詳細な活動計画展開 (含むTL 9000 RHB/MHB改訂予定)等の会議がありました。 Work Group MeetingsからTL 9000要求事項と測定法の最新の改定計画が示され ました。   MHB(Measurement Hand Book) R5.5    - Release: 5/1/2017    - First Use: 7/1/2017    - Must Use: 12/1/2017   RHB(Requirement Hand Book) R6.1    - Completed Draft: 6/30/2017    - Release: 11/1/2017    - First Use: TBD(depends on comment)    - Must Use: 9/15/2018 また,今年度の「Regional Conference」は,    APAC:3月@深セン,中国    EMEA:5月@ニース,フランス    AMERICAS:11月ダラス の開催予定となっています。 関連URL: http://www.questforum.org/news-events/calendar/leadership-summit-2017/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●知識活用型企業への道 『QMSにおける知的資産運用への取り組み』 ─────────────────────────────────── このところ,ビジネス環境が大きく変化するかもしれない政治的な出来事が次 々と起きています。また組織変更による変化もあるかと思います。これらの変 化に対し,ISO 9001:2015に準拠した品質マネジメントシステム(QMS)も, それなりに対応していかなければならないでしょう。 さて,新たな技術や知識を基盤にビジネスを行っている知識活用型企業では, 変化に柔軟に対応するため常に新たな技術や知識を獲得し準備しておく必要が あります。 一方,技術や知識は長い時間をかけ徐々に獲得されるものであり,また人々の 中に蓄積されるものなので,どこにどのような技術や知識が蓄積されているか 具体的に把握することは容易ではありません。 また昨今は,知識や豊富な経験をもつベテランが定年などで企業を離れるケー スも多くなってきています。このような場合,どのような知識と経験が企業か ら消えてなくなるか分からないものです。ゆえに,経験と知識をどのように継 承していくかが注目されています。 知識や経験を継承するには,OJTなど業務を一緒にこなしながら学習してもら うのが基本となりますが,同時に文書化した情報として“見える化”しておく こととも必要となります。多くの文書化した情報を内包するQMSは,知識や経 験を継承する仕組みのひとつと見ることもできます。 さて少し話を変えますが,企業が持っている経営資源(資産)には,大別すれ ば組織構造資源,人的資源,財務資源があり,さらに情報資源も最近重視され ています。 組織構造資源とは,簡単に言えば家屋,設備など社員が全員退社した後に社内 に残るものです。これだけではあまり価値を生みませんが,実際は手順書類, 基準類,コンピュータ内のプログラムなど知的資源が組織構造資源に組み込ま れることにより資産化され経営に貢献します。このように見ると組織構造資源 は,単なる設備ではなく人的資源の知識と経験とがハイブリッドしたものと見 てよいでしょう。 例えば,大手宅配企業の配送ハブセンターを最近見学させていただきました が,その中心的業務は荷物の仕分けです。100台ものトラックが刻々と荷物を 出し入れしていますから,膨大な荷物をかなりのスピードで識別・分類し,再 仕分けする必要があります。 人々の手で仕分けしていたら膨大な工数と時間が必要ですが,この工程に人は だれもおりません。 一方,これを制御するコントロール室は1〜2名の方がモニタリングし,不具合 がないかを監視している状態でした。設備を制御する多くのノウハウや知識 は,すでに制御コンピュータ内に集積され会社全体の配送システムとやり取り しながら一体化され機能しているのでしょう。経験や知識が組織構造資源に活 かされている例といえます。 しかし異常状況が発生した場合,その対応判断は人が行わなければなりませ ん。ゆえに,継続的に安定したオペレーションを行うには,いつでも不具合に 対応できる知識をもった人的資源が不可欠です。主役は設備であったとしても 人的資源が常に必要になるわけです。 一方,ユニークな製品を提供していく企業では,その活動は組織構造資源より も柔軟な思考ができる人的資源が中心です。知識やリテラシーと創発的能力が 企業競争力の源泉となりますので,データベース,高度なシミュレーションシ ステム,コミュニケーションツールなどの組織構造資源は人々の思考を支援す るために使われます。この場合,主役はあくまでも人的資源です。 いずれのタイプの企業でもお金という財務資源と情報資源が不可欠であり,こ れらは組織構造資源と人的資源を支える資源です。このように見てみると企業 活動は各経営資源のコンビネーションで支えられていると言えるでしょう。 さて話を戻しますが,ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム要求事項 (QMS規格)は,財務資源を除く各経営資源にかかわる事柄で構成されている と読み解くことができます。 例えば,文書化した情報である手順類,基準類などは文書化することが目的で はなく,人的資源が獲得した技術・知識および経験を組織構造資源に展開する 手段であり資産化していくことが目的です。また,人々の参画や教育訓練は人 的資源の育成にかかわるものと認識できます。さらに,コミュニケーションや 情報にかかわる要求事項は情報資源の活用にかかわるものと理解できます。 このように見ると,QMS規格は業務オペレーションに関する各経営資源の分配 とマネジメントの基本フレームワークと見なすこともできます。 一方,財務資源が抜けているためトップマネジメントや経営層のQMSへの関心 は比較的少ないかもしれませんが,QMSは財務的アウトカムを導く経営資源の ひとつです。 さて,全ての活動が文書化した情報に転換できれば話は簡単なのですが,実務 では文書化できないものが多々あります。それゆえ,文書化した情報だけでは 機能しない点があることを前提に現場活動を補完しなければなりません。 特に,曖昧さを伴う活動を補完することはむずかしいことです。曖昧さに対す る方法として最近話題の人工知能(AI)技術があります。そこで,今回はどの ようなアルゴリズムが動いているのか参考にしてみたいと思います。 人工知能の研究は50年ほど前に始まり生物の神経(ニューロン)を参考に ニューロン・ネットワークとして研究されたと聞きます。ところがネットワー クの規模が大きくなると学習がうまく進まない問題が発生し,解決できないま ま40年ほど研究が停滞してしまいましたと雑誌に書かれていました。しかし, この10年ほどでさまざまな課題も解決され,例えばディープラーニングと称さ れる手法で急速に人工知能が進歩したようです。 一連の人工知能を使った成果は,ビックデータの分析結果だけでなく画像認 識,音声認識など曖昧さを含む分野に利用され,さらには囲碁の世界などゲー ムの世界へと広がっています。曖昧さを分析し,見えない関係を浮き上がらせ る成果は驚異的です。コンピュータは疲れを知らずに試行錯誤し学習を重ねる ので,時として新たな世界を見せてくれるものです。 ここでQMSとして関心を寄せる点は,人工知能の発展を長期に停滞させたもの は何なのかです。 人工知能が自動学習するには意図した結果とコンピュータが出力した結果を比 較し,誤差をフードバック(誤差逆伝搬法)することにより学習させる仕組み です。(これを再帰的学習とすれば,他に統計的学習があります。) しかし,ニューロン(要素)が増加しネットワーク規模が大きくなるに従い, 誤差が上流に伝わらなくなり学習効率が落ちてしまう現象につきあたり停滞し てしまいました。 まるで,規模が小さい時はうまく行っていた会社が,規模が大きくなるにつ れ,うまく機能できなくなったようなものです。いかにフィードバックが学習 にとって重要であるかを端的に物語っています。 現在はこの自動学習を妨げる課題を解決したさまざまなアプローチが書籍等で 紹介されており,大学,研究機関および企業からオープンソースとして開放さ れています。 人工知能を家のコンピュータに組み込むことができる時代となっていますの で,最近では“人工知能”と記載するだけでコンピュータ関連雑誌の売り上げ が上がるそうです。その人気がわかります。 さて,のんびり感がありますがQMS自体もPDCAサイクルという学習モデルが組 み込まれています。これを効果的に機能させるヒントとして前述の人工知能が 直面したフィードバックが適切に伝搬せず学習できないという事例は参考にな ります。 自動学習の課題解決として面白いアイディアだと思ったのが,ネットワークす べての要素にフィードバックするのではなく,学習しないルートをあえて設け 上流に直接フィードバックするというアプローチです。 これは逆転の発想ですね。これによりフィードバックが途中の多くのニューロ ンで拡散し意味不明になることを防止し,またフィードバックが途中でブロッ クされないようにすることで,上流にフィードバックしやすくさせるもので す。 このアイディアは,QMSでも使えそうなアイディアです。QMSではプロセスアプ ローチを基盤にしており,各プロセスが優秀であるがゆえに問題(誤差)はプ ロセス内で処置されてしまう傾向にあるのでしょう。それゆえ上位のプロセス に問題がうまく伝搬されない傾向にあるのではないでしょうか。 一見,改善プロセスとしてプロセス内で処理が完結すれば良さそうに見えます が,問題がそのプロセス内で処置されるため,QMS全体の本質的改善に結びつ かず,部分最適の段階でとどまることでシステム的学習がうまく進まないこと を示唆しているように思えます。 もちろんQMSには,マネジメントレビューという大きなフィードバックループ がありますが,フィードバックループが長すぎ,また間隔があきすぎるので間 が抜けたものとなります。変化が短期間に起きる場合,あまり役立ちそうもあ りません。 またQMSは,前後のプロセスとのインプット—アウトプットモデルのプロセス 連鎖のイメージですから,フィードバックもせいぜい直接関係するプロセス間 に限定されるでしょう。 人工知能の研究からみて企業内に複雑な依存関係がある場合,無関係に見える プロセスにもフィードバックする必要があると考えることができます。 人工知能の働きには,隠れている関係(“隠れ層”と言います)を発見するこ とが重要な意味を持ちます。隠れ層の発見は人工知能が試行錯誤した後に,初 めて見えてくる要素ですから,単なる監査では隠れ層を発見するのは困難かも しれません。しかし,隠れ層を意識することはQMSでも意味あることだと思い ます。 なぜならQMSでは,どうしても文書化した情報をベースとしたスタティック (静的)で無表情な活動になりがちです。しかし,現場の活動はダイナミック (動的)なものですから,このギャップを意識しておくことが“隠れ層”の発 見に役立ちます。 また,このようなスタティックな状況の監査は,形式的なものになりがちで す。その様な監査を積み重ねると,監査対応だけすればよいとする考えも現場 に生まれQMS自体の形骸化をさらに深化させてしまう可能性があります。 その様な場合,形式的監査はQMSの改善ではなくQMSの形骸化への“隠れ層”と して作用すると理解できます。形骸化を避けるためにも現場のダイナミックス とQMSのスタティックな見方とを,うまく組み合わせて使っていきたいもので す。 今後の話しになりますが,ダイナミックスをとらえるには囲碁でいうところの “大局観”も含め人工知能が役立つでしょう。そして人工知能が企業の重要な 経営資源のひとつとして活躍する時代は,それほど遠い将来ではないような気 がします。その結果,QMSという言葉は消えるかもしれませんが人工知能を組 み込んだマネジメントシステムが将来実用になるかと見ています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●第5回 JAB マネジメントシステム シンポジウム報告         『2015年版の運用後に検出された課題とその対応』 ─────────────────────────────────── 3月7日に有楽町朝日ホールで開催された『第5回 JABマネジメントシステムシ ンポジウム』に参加しましたので,概要を報告いたします。 テーマは『2015年版の運用後に検出された課題とその対応』で,2015年版への 移行審査を通して見えてきた「第三者認証制度の信頼性向上」について,3つ のワーキンググループ(WG)から検討結果の報告がありました。 1.挨拶:飯塚理事長  JABの使命として,「第三者適合性評価が社会に有用」とするために以下を  推進するとあいさつがありました。  ・認証基準の適切な適用への誘導  ・認証制度の有効活用  ・能力向上 2.基調講演『マネジメントシステムの第三者認証制度が目指すべき姿』             慶應義塾大学理工学部管理工学科教授 山田 秀氏  マネジメントシステム研究会(MS)のこれまでの活動を振り返り,社会から信  頼される第三者認証制度をめざす中期計画が示されました。  社会に信頼されるとは「認証の有無により行動を変えている」ことで,信頼  獲得には検討すべき項目は多数であるが,以下の5項目について一つ一つ丹  念に検討を進めると説明がありました。   ・規格:社会の声の代弁となる基準文書   ・組織の運用:事業目的に役立てる自律的な運用   ・認証審査:逐次審査から脱却し事業目的に応じて審査   ・認定審査:適切な認証審査かどうかの審査   ・制度の整備,発信:内容,有効性を社会へ発信 3. JAB MS研究会の報告:  WGメンバーは,運用組織,認証機関,認定機関,コンサルタント,及び学識  経験者で構成され,以下の報告がありました。  WG1:事業に活用できる2015年版QMS −移行審査の現場からの提言−   2015年版では,QMSの有効性の実証の必要性とリスクベース思考の適用を   促進していて,プロセスアプローチを考慮した審査により,QMSの   パフォーマンスの検証が的確に実施されれば,組織のQMSの有効性が明ら   かになり,組織にとっての事業に活用できるQMSであることが実感でき,   認証の価値の向上に繋がることが期待できます。   2015年版の審査で注目すべき要求事項の移行審査の事例として審査する   側,される側の立場から「指摘事項」と「ベストプラックティス」の紹介   がありました。  WG2:環境パフォーマンス向上に必要な組織の能力の検証   2015年版では,EMSの運用を通じて,組織の環境パフォーマンスを向上す   ることが強調されています。審査において,EMSの有効性を検証する観点   からプロセスの有効性に対して,プロセスアプローチの考え方に基づき,   組織と環境との関わりを検証することで,組織の環境パフォーマンス向上   に寄与できます。   プロセスアプローチを考慮した環境パフォーマンスの検証として,以下4   つの視点の紹介がありました。    ・内外の課題,利害関係者のニーズ・期待    ・リーダーシップ    ・リスク及び機会への取り組み    ・環境目標  WG3:2015年版に基づくマネジメントシステムを審査するための力量   2015年版の改訂規格の特徴(組織の状況からの展開/事業プロセスと要求事   項の統合/プロセスアプローチの強化...)から期待される審査の力量   は,今まで以上に“繋がりを見る力量”が求められています。   “繋がりを見る力量”とは,得た情報をもとに知識を引き出す“抽出量”   (情報と知識を繋げる)と,その知識を繋げオーディットトレイルを組み   立てる“構成力”の習得が重要となります。   事例として,箇条4から箇条6への繋がりの紹介がありました。    ・組織の状況→組織の課題 への展開(箇条4)    ・組織の課題→QMSの課題 への展開(箇条4)    ・QMSの課題→QMSの計画→リスク,機会の取り組みへの展開(箇条6) 今回のシンポジウムは,移行審査を通した具体的な事例の報告が多く,これか ら2015年版へ移行する組織にとって参考となる内容でした。一方で,「第三者 認証制度の信頼性向上」という観点では,「審査の力量の評価」など議論を継 続する必要があると感じました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●関連規格『改善活動の要員・組織認証の国際規格        ISO 18404 国際動向シンポジウム』のご報告 ─────────────────────────────────── 『改善活動の要員・組織認証の国際規格ISO 18404国際動向シンポジウム』 が,日本規格協会の主催で2月10日に開催されました。ISO 18404は,“プロセ ス改善における定量的方法−シックスシグマ−シックスシグマおよびリーン実 施に関する主要専任者の能力と組織の適格性”に関する第3者認証が必要な国 際規格で,2015年12月に発行されました。 シンポジウム当日は,“ISO 18404は日本にどんな影響があるのか?”, “ISO 9001とISO 18404はどんな関係があるのか?”という説明もありまし た。今回は,ISO 18404を担当するISO/TC 69/SC 7日本代表委員の石山 一雄氏 及びISO/TC 69/SC 7副議長のChris Harris氏の講演内容から,この辺りも含め てISO 18404の動向を報告します。 最初に,ISO 18404の源流となっているシックスシグマとリーンについておさ らいしておきます。シックスシグマは,現場改善から経営課題もカバーする問 題解決手法で,日本のTQMやトヨタ生産方式を参考にしたといわれています。 一方リーンは,コスト低減,カイゼン,作業標準化等の日本の生産管理手法を 参考に開発された,生産工程におけるムダを排除するための手法です。 このシックスシグマとリーンを併せ持ったリーン&シックスシグマ,即ち広義 のシックスシグマが,ISO 18404の源流になった手法です。 では何故,シックスシグマを国際規格にする必要があったのでしょうか? 現在,コンサルタントが教えるシックスシグマは,教える内容がコンサルタン トによって微妙に異なるために,シックスシグマを活用している世界各国の企 業で“シックスシグマの亜流”が多く発生しているとのことです。そこで,シ ックスシグマを国際規格とし,“世界中のどの企業,どのコンサルタントも同 じシックスシグマを活用できるようにする”必要が出てきました。これが,シ ックスシグマを国際規格にした主な理由です。 このことについてもう少し詳しく説明します。シックスシグマでは,ブラック ベルトやグリーンベルトと呼ばれる指導者を養成し,ベルト所有者がコンサル タントとして企業にシックスシグマを指導する仕組みになっています。また, ISO 18404には,ベルト資格の維持やシックスシグマの内容に関する要求事項 が記載されています。 つまり,ISO 18404の認証を受けたベルト所有者が,世界中の企業でシックス シグマのコンサルタントとして活躍することで,亜流の無い,国際規格として 統一されたシックスシグマを広めることが可能となるのです。 次に,ISO 18404の日本への影響についてです。多くの日本企業では,品質向 上活動や現場改善活動が行われているので,シックスシグマを導入する必要性 がないと従来から考えられてきました。しかし,近年は欧米の取引先からシッ クスシグマの導入を要求され,全部或いは部分的にシックスシグマを採用して いる日本企業が増加傾向にあるそうです。 また,ISO 9001とISO 18404との関係ですが,シックスシグマの手法を活用す れば,ISO 9001の①事実に基づく意思決定②品質目標を達成するためのプロセ スの構築③継続的改善の実践を,強力にサポートするツールになると考えられ ています。 以上,ISO 18404の動向について報告しましたが,ISO/TC 69/SC 7日本代表委 員の石山 一雄氏は次のように話を締めくくっていました。“日本ではシック スシグマの普及は低く,今後ISO 18404をどのようにして日本に取り込んでい くのかは,これから検討することになるだろう”。 しかし,現在はグローバル経済です。国際標準化の波は専門家の予測とは異な り一気に加速することも考えられます。1年後2年後にISO 18404が私達の活動 にどのような影響を与えるのか,少し気になるシンポジウムでした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記 ─────────────────────────────────── ひょんなことから,あるアイドルグループのプロデューサーの方の講演を聞く 機会がありました。 ステージ上の完成度がそれほど高くないうちにデビューさせてしまう,完成度 が上がっていく過程を見せることがビジネスになる,また,その過程でファン の裾野を広げていく,という主旨のお話があり,ちょっと特殊な世界だな,と 感じながら聞いていました。 完成度をできるだけ高めてから市場に投入するのが当たり前,という感覚から すると,どうしても馴染めないように思えたのです。 ところが,成長の余地のある素材を見抜いて素早く商品化し,商品の完成度を 上げながら市場を拡大し,商品の完成度がどの段階であってもビジネスとして 成立させ続ける,と言い換えられた時に,我々のビジネスにも似たような部分 があるような気がしてきたのです。 たとえば,新規格に追従しながら,まだ世の中にない新たな通信端末や計測機 器を,ある意味“手探り”で開発し,次々と市場投入しビジネスとして成立さ せ続ける企業の姿と,妙にシンクロしてくるのでした。 まったくの異業種,また,まったく興味のない分野でありながら,予想外に, 良い刺激と気づきをいただいた夜になりました。 せっかくのご縁ですので,私も一度,そのアイドルグループの公演に出かけて みたいと思います。 最後までお読みいただき,ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」── * 配信追加は下記にお知らせください。  mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp * 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会     QMS委員会メルマガ編集部  http://www.ciaj.or.jp/top.html  http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ) * 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(勝田 秀樹) * 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!  qmsmelg@ciaj.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C)2004-2017 CIAJ QMS committee All rights reserved.