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   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

     「イベント満載。QKMアクティブラーニングを是非ご活用ください」


                      2015年 9月30日発行 第69号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第69号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・異業種見学会のご案内 『キッコーマン株式会社』
 ・QKMアクティブラーニング第一弾のご案内
  「ISO 9001:2015の入れ方」
 ・QKMアクティブラーニング第二弾の予告
   吉川先生によるBSCセミナー・・・今年は12月下旬に開講します!
 ・ISO 9001関連の最新動向 〜 ISO 9001:2015 - Just published!
 ・TL 9000コーナー  「TL 9000 セミナーのご案内」
           「クエストフォーラム ベストプラクティス」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・コラム「読書法」
 ・編集後記

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●はじめに
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今年の9月はひと足はやい秋の訪れと,秋雨前線の影響で関東地方では雨量と
ともに極端に少ない日照時間で,例年のような秋らしさとは異なるものであり
ましたが,最後には,中秋の名月に,満月がより大きく見えるスーパームーン
のおまけ付で,この後はいつもの秋にもどる予感を感じます。

帳尻合わせという訳ではありませんが,QMSに携わる私たちにとって今年最大
の関心事である“ISO 9001:2015”が当初の予定通りに発行されました。
この意義については「ISO 9001関連の最新動向」のコラムで解説いたしますの
で是非ともお読みください。

また,QMS委員会では,今年一番の目玉ともいうべき「QKMアクティブラー
ニング」の展開をして参ります。組織のQMSはISO事務局が必要な知識を備え,
プロアクティブに活動する推進役となる必要があり,そのための学びの場を
提供するものです。記念すべき第一弾は,ホットな“ISO 9001:2015”にも関
連し,基本的なテーマと致しました。

皆さまの忌憚のないご意見・ご要望を賜りながら,「QKMアクティブラーニン
グ」が価値ある活動となるよう育ててまいりたいと思います。
末永くよろしくお願いいたします。

それでは,メルマガ69号をお届けいたします。


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●異業種見学会の案内 『キッコーマン株式会社』
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既に会員の皆様には,9月9日の募集案内メールで通知しておりますが,今回の
異業種見学会は,「しょうゆと言えばKIKKOMAN」と言われるほど世界に浸透し
たブランドを持つキッコーマン株式会社を見学いたします。

キッコーマン株式会社は,1950年代にはしょうゆの国内需要の伸びは期待でき
ないとして,食品業界としてはいち早く海外進出を決意し,米国市場にその活
路を模索しました。そこでは「完成した日本のしょうゆ文化」の押し売りでは
なく,現地の食材や料理との組み合わせ,現地の人々の味覚を尊重した新しい
価値を創り出す地道な活動の積み重ねがありました。

今回の見学では,「しょうゆ」造りの現場見学に加え,『食文化の国際交流』
と題したアカデミー(講演)をいただき,現地の食文化を尊重し,消費者本位
に根ざしたキッコーマンのものづくりの一端を知っていただければと思います。
是非,多数の会員の皆様にご参加いただけます様,ご案内申し上げます。

 日時 :2015年10月16日(金)13:30〜16:00
 見学先:キッコーマン食品株式会社
 住所 :千葉県野田市野田110
     東武アーバンパークライン(旧 東武野田線)
     野田市駅下車 徒歩約 3分
     http://www.kikkoman.co.jp/enjoys/factory/noda.html
 アカデミー(ご講演):『食文化の国際交流』 
 講師 :深澤 晴彦 様(国際事業本部・海外管理部長)
 募集定員:30名

 申込期限:2015年10月2日(金)

まだ少し参加枠がありますので,ご参加を希望される方は,急ぎお申込みを
お願いいたします。


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●QKMアクティブラーニング第一弾のご案内
 「ISO 9001:2015の入れ方」
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お待たせしました!「QKMアクティブラーニング」第一弾の開催のご案内です。

6月の総会でもご報告したとおり,「QKMアクティブラーニング」はISO事務局
自ら必要な基礎知識を習得し,専門性を向上させるため学びの場として,今年
度に新設したものです。

会員の皆さまの関心事は何と言っても「ISO 9001:2015」だと思います。

今回の改正の意義については,この後のコラム「ISO 9001関連の最新動向」で
詳細に解説致しますが,品質マネジメントシステムの基本概念及び原則の記述
の大幅な見直しが行われ,これに基づいて,組織内外のコンテクストに動的に
適応できる能力,組織ニーズの的確な反映,パフォーマンス向上のための組織
的な学習が求められるなど,注目すべき点が多数あります。

改正ISO 9001を理解するためには,従来と同じように逐条解釈から始めるので
はなく,組織の目的・組織の状況,規格要求事項や組織の規定などの概念や原
則,それらの相互作用を全体的に捉える必要があります。

すなわち,個々の要求事項を断片的に取り込む「語呂合わせ」のQMS設計では
なく,全体を俯瞰し,組織の目的に適合した形で取り込む「目的志向」のQMS
設計が求められています。つまり「ISO 9001:2015の入れ方」をこれまでの延
長線上で考えるのではなく,今こそ,大きな発想の転換が求められていると言
えます。今回のQKMアクティブラーニング第一弾の注目点は,まさにここにあ
ります。

記念すべき第一弾には,今年3月にワークショップ形式のQMS戦略セミナーの講
師として高い評価をいただきました株式会社イノベイション代表取締役 山上 
裕司様を再びお招きします。

山上様は,「組織のコンテクストの意義と活用」「マネジメントシステムの内
部監査の価値」などのテーマで講演活動を行うとともに,コンサルティングを
通して数多くのQMSの現場を指導されています。
また,超ISO企業研究会のメンバーであり,JIS Q 9005/9006 改正検討委員会
の委員も務められ,今回の改正ISO 9001にも深い造詣を持たれています。

今回のQKMアクティブラーニングに参加していただくことで,他の改正セミナ
ーでは得ることのできない目から鱗の気付きが得られるとともに,会員企業の
ISO事務局との意見交換により理解が一層進むものと確信しております。

是非,多数のご参加をお願いします。

 講座名:QKMアクティブラーニング
         「ISO 9001:2015の入れ方(仮題)」

 日時 :2015年11月20日(金) 14:00〜17:00
 場所 :情報通信ネットワーク産業協会(JEI浜松町ビル3階)
 講師 :株式会社イノベイション 代表取締役  山上 裕司 様

 募集案内は 10月上旬に配信の予定です。


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●QKMアクティブラーニング第二弾の予告
 吉川先生によるBSCセミナー・・・今年は12月下旬に開講します!
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毎年,秋〜初冬にかけて開催している QMS戦略セミナー「バランススコアカー
ド(BSC)の基礎から構築まで」は,受講者の感想として,実業務に参考に
なる要素が多いとの意見を頂戴しています。今年度の教育事業の再編により,
装いも新たに“QKMアクティブラーニング”として開講することになりました。

また,今年度は以下の日程で開講いたします。

 講座名:QKMアクティブラーニング
         「バランススコアカードの基礎から構築まで」

 日時 :【1日目】2015年12月21日(月)10:00〜16:00
     【2日目】2015年12月22日(火) 9:00〜18:00
 場所 :情報通信ネットワーク産業協会(JEI浜松町ビル3階)
 講師 :横浜国立大学大学院名誉教授 吉川 武男 様
 募集定員:16名(予定)

今年もケーススタディの時間配分を多くして,BSCの国内第一人者である
吉川名誉教授の直接指導による小人数定員制 2日間コースのセミナーとして,
会員の皆様にとって役立つ内容を網羅して開催いたます。

10月はじめに講師の吉川先生と具体的な内容の調整を行い,詳細は募集案内
(メール通知)ならびに,11月末に発行の次回のメルマガにてご案内の予定
です。

ISO 9001:2015では,よりパフォーマンス(業績)の向上が求められ,組織の
リーダーシップとして各階層の長の役割が強化されるとともに,リスクに基づ
く考え方も併せて一貫したプロセスのもとで顧客満足を向上させていく内容に
改められましたが,より確実な目的達成のシナリオ構築を学ぶことができる
BSCを是非チャレンジしてみませんか?

乞うご期待!!


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●ISO 9001関連の最新動向 〜 ISO 9001:2015 - Just published!
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会員の皆様には,既にご承知のこととは思いますが,ジュネーブ時間の9月23日
にISO 9000:2015ならびにISO 9001:2015が発行されました。

1.ISO/FDIS 9000:2015ならびにISO/FDIS 9001:2015の投票結果

 9月9日に投票が締め切られ,FDISに対する投票の結果は殆ど反対のない状況
 でありました。詳細は以下のとおりで,ISO 9001に至っては反対ゼロでの
 IS発行となりました。

 <FDISに対する投票結果>
  ISO/FDIS 9000:2015  賛成:56,反対: 2,棄権: 3
             Pメンバ賛成投票率: 56/58 = 97% ≧ 66.66%
             全メンバ反対投票率: 2/68 =  3% ≦ 25%

  ISO/FDIS 9001:2015  賛成:80,反対: 0,棄権: 5
             Pメンバ賛成投票率: 75/75 = 100% ≧ 66.66%
             全メンバ反対投票率: 0/80 =  0% ≦ 25%

 また,日本規格協会より,ISの発行の追加 及び,既に開示していた規格な
 らびに書籍の一部発行時期の一部前倒し変更が公開されました。これにより,
 若干ではありますが,規格ならびに関連書籍の入手が早まることになりまし
 た。

 <日本規格協会の書籍発行予定>
  ・ ISO 9000:2015(原文)       :発行済
  ・ ISO 9000:2015(邦訳版)      :10/1発行(予定)
  ・ ISO 9001:2015(原文)       :発行済
  ・ ISO 9001:2015(邦訳版)      :10/1発行(予定)
  ・ JIS規格              :12月→11月(予定)
  ・『要求事項の解説』発行       :12月(予定)
  ・『新旧規格の対照と解説』発行    :12月(予定)


2.ISO 9000の変更について

 FDISの発行前後から,ISO 9001については認証機関,教育機関による各種セ
 ミナー開催,専門雑誌による特集記事の掲載などを通じてさまざまな情報が
 出されておりますが,一方で,ISO 9000については,品質マネジメントの原
 則が従来の8つから以下の7つに変更になったこと以外,殆ど情報が見当たら
 ない状況です。

 読者のみなさんもISO 9001がこれだけ変化があるとISO 9000はどのように変
 わるのかが気にかかっている方も多いのではないかと思います。

 当月は,そんな皆さんに変更の概要についてお伝えしたいと思います。

 今回のISO 9000改訂の主旨には,以下の3点があります。

 <ISO 9000:2015の改訂の主旨>
  ・ISO 9000:2005の発行以降に発行または改訂されたISO 9000ファミリー
   規格での用語・定義を更新すること
  ・別途改訂作業が行われていた品質マネジメントの原則(QMP)の改訂内容
   を反映しつつ,基本概念の記載を見直すこと
  ・ISO 9001の改訂に対応して,ISO 9000ファミリー規格の両立性及び整合
   性を向上させること

 今回の改訂では,品質マネジメントの基本概念及び原則に関わる記載が大幅
 に改訂されています。

 先ず,従来序文に記載されていた品質マネジメントの原則を中核に置き,
 QMSをより柔軟な形で構築し,発展させるための考え方に改めています。

 これを受けて箇条の標題が,「品質マネジメントシステムの基本」から
 「基本概念及び品質マネジメントの原則」に改められました。

 これらの背景には,この規格に規定する品質マネジメントの基本概念及び原
 則は,組織に,ここ数十年とは本質的に異なる環境からもたらされる課題に
 立ち向かう能力を与えるという前提の大きな変更があります。

 今日,組織が置かれている状況は,急激な変化,市場のグローバル化及び主
 要な資源としての知識の出現によって特徴付けられます。

 品質の影響は,顧客満足を超えた範囲にまでわたり,そうした影響が組織の
 評判に直接影響を与えることもあります。

 一方,社会においては,教育水準が上がり,要求が厳しくなり,利害関係者
 の影響力がますます強くなっています。ISO 9000では,QMSの構築・発展に
 用いる基本概念及び原則を示すことによって,より広範に組織についての考
 え方を提供しています。

 また,すべての概念及び原則ならびにそれらの相互関係は,全体として捉え
 るのがよく,それぞれを切り離して捉えない方がよいでしょう。ある概念ま
 たは原則が,もう一つの概念または原則よりも重要だということはありませ
 ん。

 いかなる場合にも,適用における適切なバランスを見つけることが重要である
 としています。

 具体的な構成は,基本概念,品質マネジメントの原則,基本概念及び原則を
 用いたQMSの構築・発展の3つで構成されています。

 以下,この3つについての概要を述べます。

 最初に基本概念についてですが,基本概念として以下の5つを挙げています。

 <ISO 9000:2015における基本概念>
  ・ 品質 (Quality)
  ・ 品質マネジメントシステム (Quality management system)
  ・ 組織の状況 (Context of an organization)
  ・ 利害関係者 (Interested parties)
  ・ 支援 (Support)

 このうち,支援については,QMSへのトップマネジメントの支援及び人々の
 積極的参加によって,十分な人的資源及びその他の資源の提供,プロセス及
 び結果の監視,リスク及び機会の明確化及び評価,適切な処置の実施を可能
 にさせるとしており,責任を持って資源を取得し,展開し,維持し,増強し,
 処分・処遇することで,組織がその目標を達成することを支援することを記
 し,人々,力量,認識,コミュニケーションが重要な要素として記載してい
 ます。

 ここでは,品質マネジメントにおける人の重要性を強調していると考えます。

 次に,品質マネジメントの原則(QMP)については,内容も変わり,各々に
 対して,説明,根拠,主な便益,取り得る行動(Possible actions)が示さ
 れていますが,ここでは各々の説明だけを紹介します。

 <ISO 9000:2015における品質マネジメントの原則の説明>
  ・ 顧客重視 (Customer focus):
     品質マネジメントの主眼は,顧客の要求事項を満たすこと及び顧客
     の期待を超える努力をすることにある。
  ・ リーダーシップ (Leadership):
     すべての階層のリーダーは,目的及び目指す方向を一致させ,人々
     が組織の品質目標の達成に積極的に参加している状況を作り出す。
  ・ 人々の積極的参加 (Engagement of people):
     組織内のすべての階層にいる,力量があり,権限を与えられ,積極
     的に参加する人々が,価値を創造し提供する組織の実現能力を強化
     するために必須である。
  ・ プロセスアプローチ (Process approach):
     活動を,首尾一貫したシステムとして機能する相互に関連するプロ
     セスであると理解し,マネジメントすることによって,矛盾のない
     予測可能な結果が,より効果的かつ効率的に達成できる。
  ・ 改善 (Improvement):
     成功する組織は,改善に対して,継続して焦点を当てている。
  ・ 客観的事実に基づく意思決定(Evidence-based decision making):
     データ及び情報の分析及び評価に基づく意思決定によって,望む結
     果が得られる可能性が高まる。
  ・ 関係性管理(Relationship management):
     持続的成功のために,組織は,例えば提供者のような,密接に関連
     する利害関係者との関係をマネジメントする。

 最後に,基本概念及び原則を用いたQMSの構築・発展ですが,従来行われて
 いた“品質マネジメントシステムのアプローチ”,“品質方針及び品質目標”,
 “文書化”,“品質マネジメントシステムの評価”,“継続的改善”,“統
 計的手法の役割”の規範的な解説が大幅に圧縮されています。

 これは,細部を予め決定することは必ずしも適切でなく,組織の状況に応じ
 て動的に適応できる能力が重要という考えに基づいています。

 組織については,システム,プロセス,活動の3つに分けて説明しています
 が,前提として組織は学習する生きた社会有機体としての人間と多くの特
 性を共有しています。

 両者とも適応性を持ち,相互に作用するシステム,プロセス及び活動で構成
 されており,両者ともさまざまな状況に適応するために,変化する能力が必
 要であるとしています。

 一方,QMSのモデルは,すべてのシステム,プロセス及び活動を予め決定で
 きるとは限らないことがわかっており,組織の状況の複雑さの中で,柔軟性
 及び順応性を備えたものであることが必要であるとしています。

 また,QMSは,品質マネジメント活動のパフォーマンスを計画し,実行し,
 監視し,改善するための枠組みを提供するものですが,必ずしも複雑である
 必要はなく,むしろ組織のニーズを正確に反映している必要があるとしてい
 ます。

 そして,組織にとって重要なことは,計画の実施と,QMSのパフォーマンス
 の両方を,定期的に監視及び評価することとしています。

 監査はリスクを特定し,要求事項を明確にするために,QMSの有効性を評価
 する手段です。加えて,監査を有効なものにするために,有形及び無形の客
 観的事実を収集する必要があります。収集した客観的事実の分析に基づき,
 修正及び改善のために処置をとります。取得した知識が,QMSのパフォーマ
 ンスをより高いレベルに押し上げるとしてQMSの抑え所を明記しています。

 以上から,ISO 9000:2015では,これまでの延長上でなく,より現実的な分
 析の中で,将来にわたり持続可能性を持ったQMSが提供できるような内容に
 改められていることを強く感じています。ISO 9001:2015による移行を兼ね
 たQMSの見直しの設計に当たり,ISO 9000:2015により,今,考慮すべきQMS
 像をご理解することをこの場を借りてお勧めしたいと思います。


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●TL 9000コーナー  「TL 9000 セミナーのご案内」
          「クエストフォーラム ベストプラクティス」
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1. TL 9000 セミナーのご案内

 来る11月2日に「TL 9000 セミナー」をクエストフォーラム日本ハブ様と
 QMS委員会 TL 9000WGで共同開催いたします。

 TL 9000 要求事項及び測定法等について解説を行います。奮ってご参加いた
 だければと思います。

 講師:クエストフォーラム公認訓練機関(株)テクノファ 講師
    小林 真一 氏,吉崎 久博 氏

 セミナー内容:
    1. クエストフォーラム日本ハブの紹介
    2. TL 9000規格の基本説明
     1) TL 9000要求事項(R5.5)
     2) TL 9000測定法 (R5.0)

    3. TL 9000規格の最新動向と質疑応答
     1) 最新動向
       ISO 9001改正に対するTL 9000の対応
       NFVに対するTL 9000の対応
       測定法のキーポイント解説
     2) 質疑応答
       これまでに寄せられている質問への解説。質疑応答。

 場所: 株)テクノファ会議室 川崎市川崎区砂子1-10-2 ソシオ砂子ビル
       
 参加申し込みは,以下のWEBサイトからお願いいたします。

 <CIAJ>
 https://cp11.smp.ne.jp/ciaj/seminar


2.クエストフォーラム ベストプラクティス

 9月14日-16日,米国サンディエゴでクエストフォーラムのベストプラクティ
 ス会議が開催され,約 200名の参加がありました。

 今回の会議では,「革新と品質を通しての顧客体験の改善」をテーマとし,
 基調講演では,Causeit, Inc.創始者のMJ・ペトローニ氏が,
 「モノのインターネット」「全方位革命とディジタルビジネス戦略」につい
 て発表しました。

 上記のベストプラクティス会議の情報は,以下のWEBサイトをご参照ください。

 <クエストフォーラム>
 http://www.questforum.org/


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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長期にわたり QMS規格のISO 9001の見直しが行われてきましたが,いよいよ改
定案(DIS)から最終案(FDIS)へ移行し今年9月末までに正式発行されると公
表されておりました。

最終的にどのように修正されたかその細かな点は分かりませんが,日本適合性
認定協会(JAB)のホームページに「 ISO 9001改訂に関わる認定制度関係機関
向けセミナー資料の掲載について」(2015年 8月19日付)が開示されておりまし
たので,その様子を間接的に知ることができます。

その中で QMSの重要概念は“プロセスアプローチ”,“PDCAサイクル”,“リ
スクに基づく考え方”の三つであると報告されていましたので,それについて
今回は整理してみます。

さて,これら重要概念の中でも,最も重要な概念はなじみ深い“プロセスアプ
ローチ”とされています。それは「活動を,首尾一貫したシステムとして機能
する相互に関連するプロセスであると理解し,マネジメントすることによって,
矛盾のない予測可能な結果が,より効果的かつ効率的に達成できる。」とこれ
までの DISでは説明されております。

この説明によれば,QMSはプロセスの単なる集合体と異なり“首尾一貫したシ
ステム”(a coherent system) としてプロセスを機能させることであり,また
プロセス間の相互作用とその影響を包括的にマネジメントすることを求めてお
り,これまでと変わりはありません。

一方,昨今のように組織の外部・内部のコンテキストの変化が激しい中,プロ
セスを対応変化させるだけでなく,システム自体も変化することが求められて
きているようにも見えます。

その一方で,変化に対する柔軟性と首尾一貫性とをシステムとして両立させる
ことは矛盾する部分も出てくるため,それを調和させるには細心の注意が必要
となるでしょう。すなわち,企業の能力や個性に応じ QMSを変えていく必要性
が高まってきており,何を変えていくかを選択する時期に入ってきたと言える
でしょう。

その様な状況にあるものの,顧客の要求に応えるためには QMSとしては矛盾の
ない予測可能な結果(Consistent and predictable results)を得ることです
から,プロセスアプローチが QMSの最も重要な概念であることは,これまで同
様に理解できるもので,再確認したというところでしょう。

さて次の重要概念として,これまたなじみ深い“PDCAサイクル”があげられて
います。これまでも QMSでは,個々のプロセスの改善とシステムの改善という
両面からPDCAサイクルをまわしてきたかと思います。本来 QMSは,その品質方
針とそれに準じた品質目標を達成することを目指しているものですから,品質
目標がそれぞれのプロセスの機能に応じ目標展開された後,それを実現するこ
とによりシステム全体の目的を達成する構造になっています。

その品質目標を達成するにはプロセスとシステムは何らかの改善が常に必要で
すから,PDCAサイクルがプロセスアプローチの実現に不可欠な概念であること
は従来どおり理解できるものです。

ここであらためて確認しておきたい点は,PDCAサイクルはプロセスアプローチ
概念の下位概念に位置付けられている点です。すなわちプロセスアプローチを
行うための重要なエンジンです。システムの一部であることを忘れ個別のPDCA
サイクルだけに注目するのは,その改善ベクトルもバラバラになりがちですか
ら,QMSを効果的かつ効率的なものにするには,全体として何らかの調整され
たPDCAサイクルがさらに期待されます。

さて,最後の重要概念とされているのが今回の改定で追加された“リスクに基
づく考え方”です。ご案内のようにビジネスに限らずこの世界で確かなことは
ごく少なく,リスクの対象になる事柄は無限にあります。
それゆえこの概念は,“パンドラの箱”を開けたようなものになるかもしれな
いと,漠然とした懸念を感じるものです。
もちろん,その様にならないように規格制定組織,審査機関ともに細心の注意
を払ってきていると感じるのですが,リスクに基づく考え方が独り歩きしない
ように被審査組織である企業側も注目しておかなければなりません。

そのためにはまず QMSにおけるリスクとは,どの範囲なのかあらかじめ限定し
ておかなければなりませんが,QMSの品質方針と品質目標の達成に影響を与え
る不確実性の影響を QMSのリスク対象と考えるのが妥当でしょう。

なぜリスクの範囲を限定しなければならないかというと,何でもかんでも予防
処置の対象とすることは QMSとして現実的でないばかりか,完全ではないにし
てもこれまで苦労し構築してきたシステムをさらに混乱させ,うまく機能しな
くなるだけでなく新たなリスクを生み出す危険があるからです。

これは基礎体力が弱まっている患者に,根本的な治療を行わず予防注射ばかり
打つ愚行にもつながるものですから,まずは QMSの基礎体力をPDCAサイクルに
て向上させ,その上で想定されるリスクに備えることが肝要です。

“リスクに基づく考え方”という概念も,プロセスアプローチの下位概念に位
置付けられていますので,プロセスアプローチの概念を超えるようなところま
でリスクを拡張しないことを示しています。これを心に留めておくことも肝要
だと思っています。

これまでも,PDCAサイクルの Pの計画段階で,予測されるリスクへの準備とし
て,懸念事項およびその対応計画が含まれているでしょうから,従来のシステ
ム上で起こり得るリスクの多くはすでに対応されていると思います。それゆえ
“リスクに基づく考え方”も,特に目新しい考え方ではありませんから,この
概念を必要以上に強調し過大解釈を招かないように注意したいものです。

その昔,文書化への要求事項により重箱の隅をつつくような審査が行われ,そ
の結果,誰も使わない文書類が山積みされ,放置され,さらに現場からは無駄
な作業をやらされたとクレームがつき,結果として QMSの形骸化の誘因の一つ
として話されることを良く耳にしましたが,リスクに基づく考え方もこの二の
舞にならないようにしたいものです。

若干話がそれますが,個人的には文書化要求事項に問題があったとは見ていま
せん。これまでもお話をしてきたように文書化は,知識を客観化し,明文化さ
れた知識を組織として共有していく過程なのです。また,文書化する過程で思
考が深化し新たな気付きやアイディアなどを生み出しますから知識創造の観点
からもとても重要です。

しかし, QMSの運用上で文書化の要求事項が不評であったのは,“文書化でき
ない知識”,いわゆるインタンジブルズの存在への配慮が不足したまま文書化
を形式的に求めた点,また“文書化してはいけない事柄”すなわち文化的な要
素や創造性が求められるものまでも無理やり文書化しようとしてきた点に,形
骸化の原因の一つがあるように見ています。今回の改定では遅まきながらも人
間系の要素も含めインタンジブルズにも配慮したものになってきていますので,
より現実的なものとなってきていると見ています。

さて,“リスクに基づく考え方”の話題に戻りますが,例えば EMSなど環境に
関連したリスクは数十年,数百年という長期間のサイクルなので,PDCAサイク
ルをまわすことは難しいものです。また不都合な結果が起きてから手を打った
のでは間に合いませんので,リスク予測に基づき行動することの重要性を強く
感じるものです。

しかし,企業活動は長期事業計画でもせいぜい五年ですし,所属する業種によ
ってビジネスサイクルが異なるとしても,概ね数年または数カ月でビジネスサ
イクルが回るものです。また,環境リスクと異なりビジネスリスクは刻々とめ
まぐるしく変化しますので,環境問題リスクとはスタンスが異なるのが当たり
前です。状況が異なるのでこれを混同しては考えてはいけません。

QMSとしてリスクに対応するには,短期間にPDCAサイクルをまわし循環回数を
多くすることが重要な点です。それが結果的に変化への対応力をつけることに
つながると個人的には見ています。

日々変化するビジネス環境や顧客要求に対応するには,できる限り短期間に
PDCAサイクルをまわし,それにより企業の経験知を素早く積み上げ学習サイク
ルを数多くまわすことが,本当の意味のリスク対応だと思っています。

そもそもリスク認識とは,それを認識する人の経験や知識・情報量などから影
響を受けた主観的主張に基づくものですから,いかに精密にインパクト評価し
たとしてもバラつきが大きくその評価の妥当性を確保することは難しいもので
す。

また,予想もできない軽微な事柄から大きなリスクを招くこともあります。
それゆえ,予測に基づく行動は,それ自体にリスクを持つものなので,新たな
リスクを生み出し負の連鎖を引き起こす可能性も否定できませんから注意が必
要です。

ここで申し上げたい点は,“リスクに基づく考え方”自体は必要なものですが,
そこから導かれる予測に基づく行動は,事実に基づき行動するPDCAサイクルお
よびその結果から導かれる組織的学習とは根本的に異なるものだということで
す。うまく使い分けたいものです。

さて,今回は ISO 9001:2015の正式発行の時期をむかえ,その重要概念につい
て簡単な考察をしてみました。詳細は正式版が出てからということになります。
今回のJAB資料にも明記されておりますが “企業の状況に応じ企業の主体性を
尊重した適切な審査”が行われることを期待し,今回のお話を閉じたいと思い
ます。


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●コラム「読書法」
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読書の秋がやってきました。読む速さに着目すると速読と遅読があります。

速読の方法は各種ありますが,筆者が実践しているのは「フォトリーディング」
と呼ばれる方法です。

写真の様に本のページを一瞬に理解して読破するなどという奇跡の方法では全
くありません。事前に読み取り内容を頭に叩き込み,集中して読むことです。

本屋で見つけた本をその場で買うか買わないか決断が必要なことがあると思い
ます。この場合の集中に似ています。そして読み飛ばしを恐れないでどんどん
頁を進めるのがコツです。

そして思わぬ副産物として読むスピードが早くなることで,読書以外のインプ
ットも早くなります。さらに人間の脳は不器用なせいか,インプットだけ早く
することはできず,アウトプット,即ち書くことや思考の速度も早くなってし
まうので,随分得をした気分になります。(1)

一方,反多読,反速読の「遅読のすすめ」という本があります。この本は速読,
多読のことも十分に認識したエッセイに近い本で,著者の知識と教養の深さに
驚かされます。

夏目漱石がtheをザと読んだかゼと読んだかの議論があり,
「ずうずうしいぜおい」と「どうゆうしーいぜぼい」Do you see the boy?」
のかけ言葉からゼが適切ではないかという推論を紹介しています。

著者はとても速読はできないと謙遜していますが,膨大な書を綿密に読んでい
ることは本文からも明らかで実は「多読の薦め」が本題ではないかと疑ってし
まう程です。(2)

速読不要論を正面から取り上げている本もあり,以下の手法を紹介しています。
・即読:直ぐに読む。
・追読:一人の作家を追いかけて読む。
・縁読:なんでも読む。
・喧嘩読書:反論を考えて読む。
・浮気読書:発想を広げて読む
・同時並行読書:五冊の本を同時並行で読む。

速読にとらわれず,読んで何を生み出すかが大切と説き,他人事で読んでも無
意味で,知的生産を引き出すことに狙いとしています。(3)

今話題のISO 9001:2015のような規格については,本文のみならず解説書の読み
比べを行い,できれば原文(英語)の真意も把握しておきたいものです。例え
ば2015年版のFDIS邦訳「組織の状況」の「状況」は,原文は‘Context’で,
訳語には文脈,脈絡,背景,前後関係などもあり,組織に係る背景や前後関係
も含めた‘状況’であることと理解できます。

そして,上述の読書法を総動員して規格の意図を汲み取っていきたいと思って
います。

参考図書
(1)あなたもいままでの10倍速く本が読めるポール・R・シーリィ著神田正典訳
(2)遅読のすすめ            山村 修著
(3)インテリジェンス読書術       中嶋 孝著


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●編集後記
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日中はまだ少し暑い日がありますが,朝晩は涼しく過ごしやすい季節になって
きました。

夜ともなると心地よい風が流れ,網戸越しに,虫たちの鳴き声で気持ちが穏や
かになり大好きな季節です。
虫たちのシンフォニーは,まさに,自然のセラピストです。

虫の鳴き声を文字にするのは難しいですが,聴こえた(意識してきく)音を
あえて文字にしてみます。

♪リーンリーン,リィリィリィ,スイッチョン(ギッチョン),ジィジィジィ,
 チチチチ(チンチンチン),ジジジジ,コロコロコロ♪

いかがでしょう,紙面で秋をお伝えすることができましたか?

秋の夜長,スマホもPCも持たずに自然とのコミュニケーションをすると新たな
発見があるかもしれませんね。

最後までお読みいただき,ありがとうございました。


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