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   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

     「収穫の秋,QMSの情報満載です!」


                      2014年 9月30日発行 第63号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第63号 目次 ≫

 ・はじめに                           
 ・異業種見学会報告                       
 ・吉川先生によるBSCセミナー・・・今年度は1月下旬に開催予定 
 ・ISO 9001関連の最新動向                                         
 ・TL 9000コーナー「ベストプラクティス会議」           
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」   
 ・編集後記                           

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●はじめに
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QMS委員会会員の皆様,こんにちは。

今年は残暑の影響が少なく,すっかり秋の到来を感じる今日この頃です。
振り返れば,不順な天候に加え,「これまでに経験したことのない」という冠
がついたものが多く各地で自然災害が発生したのもこの夏の特徴と言えましょ
う。地球温暖化が叫ばれ,3.11の大震災以降では自然の箍(たが)が外れ
てしまったような局面を経験しています。そして,このような状況下では,
「想定外だった」をなくす努力が必要と言われています。

企業レベルではBCM/BCPなどの備えがされていることと思いますが,個人レベル
での様々な災害等への備えや正しい知識を身につけることはできていますか。

7月の異業種見学会では,JAMSTEC様より究極の現場の安全管理に関する講演が
ありました。これが社会生活の中で出くわす様々な出来事に役立つものとは言
えませんが,気付きが,認識や感性を改めることは可能で良い機会でありまし
た。

QMS委員会では,企画の立案にはテーマとねらいを明確にした上で,具体化
をしています。明日から10月。今年度も後半戦になりますが,皆さんのお役に
立てるイベントが提供できるよう計画を進めておりますのでご期待ください。

それでは,メルマガ63号をお届けいたします。


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● 異業種見学会報告
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晴天に恵まれ真夏日となった7月31日,JAMSTEC 独立行政法人海洋研究開発機
構を訪問し,見学会を実施しました。

当日は,「独立行政法人海洋研究開発機構 安全管理の仕組みについて」と題
し,JAMSTECにおける船舶や海洋における安全管理の仕組みや事例について講
演を戴いたあと,「しんかい6500」の実物をはじめ「高圧実験水槽」や展示室
を巡りました。

講演では,安全衛生環境管理システム(HSEMS: Health, Safety and
Environment Management System)に準拠した安全管理の仕組み,1988年に発
生した石油生産プラットフォーム「パイパー・アルファ」の爆発炎上事故の事
例,安全確保の15原則,Risk ManagementとCrisis Managementの違い,安全訓
練(洋上生存訓練)などについて,写真やビデオを使って具体的な説明を戴き
ました。

見学では,運よくメンテナンスのために陸揚げされた「しんかい6500」の実物
を至近距離で見ることができました。また,海底15000mの水圧を発生させるこ
とができる「高圧実験水槽」では頑丈な鉄球が粉々に潰れたサンプルなどの展
示があり,その迫力に圧倒されました。また展示室には,さまざまな海洋・海
底調査船,乗船体験ができる「しんかい6500」のモックアップ,様々な研究成
果などが展示され,大変充実した内容でした。

今回の見学会を通してJAMSTECの調査・研究活動の一端を理解する良い機会と
なりました。

参加者のアンケートからも多数の好評とご意見を戴きました。これを参考に今
後も異業種見学の企画を検討していきたいと思います。


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●吉川先生によるBSCセミナー・・・今年度は1月下旬に開催予定  
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毎年,秋〜初冬にかけて開催している QMS戦略セミナー「バランススコア
カード(BSC)の基礎から構築まで」は,今年度は,都合により1月下旬に
開催すべく講師の横浜国立大学吉川名誉教授と企画の調整を行っています。

今年もケーススタディの時間配分を多くして,BSCの国内第一人者である
吉川先生の直接指導による小人数定員制2日間コースのセミナーとして,会員
の皆様にとって役立つ内容を網羅して開催致します。

詳細は,11月末に発行の次回のメルマガにてご案内の予定です。
乞うご期待!!


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● ISO 9001関連の最新動向
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ISO/DIS 9001の発行より,にわかにセミナーや説明会が行われて,教育機関,
認証機関,組織では日に日に盛り上がりを見せておりますが,TC176国内委員会
では,いよいよISO/DIS 9000:2014,ISO/DIS 9001:2014への日本としてのコメ
ントおよび投票に向けての最終作業段階であり,今回は国内委員会からの情報
発信はありません。

TC176 SC2/WG23(コミュニケーション及び製品支援)では,2015年のISO 9001
の改正に向けて様々な支援文書を作成していますが,ISO/DIS 9001の発行後,
6月のバーミンガム会議での検討を経て,新たに「リスク」,「移行計画」,
「新旧箇条比較(ISO 9001:2008とISO/DIS 9001:2014)」の3つの支援文書が
公開されましたので紹介します。
いずれも英文の資料で,本日現在,日本規格協会からの日本語化された資料は
掲載されておりません。

ISO TC/176/SC2 Home Page
  http://isotc.iso.org/livelink/livelink/open/tc176SC2public

  <リスク> 
   ・N1222 Risk in ISO 9001:2015
  <移行計画>
   ・N1223 Draft Transition Planning Guidance for ISO 9001:2015
  <新旧箇条比較>
   ・N1224  Correlation matrices between ISO 9001:2008 
        and ISO/DIS 9001


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●TL 9000コーナー「ベストプラクティス会議」           
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9月9日〜10日,米国フロリダでクエストフォーラムのベストプラクティス会議
が開催され,約200名の参加がありました。

 クエストフォーラム副会長で Telmar Network Technology社の
 スティーブ・ピケット氏が開会の挨拶を行いました。

 初日の基調講演では,
 クエストフォーラム副会長でAT&T社のティム・ハーディン氏が
 「未来の品質とパフォーマンスの形成」

 エグゼクティブセッションでは, Nokia社のデープティ・アローラ氏が
 「ICT業界に対し低品質によるコストを撲滅」

 二日目の基調講演ではNew Lisbon Telephone 社のジョン・グリーン氏が
 「クエストフォーラムとティア3サービスプロバイダー初年度の教訓」

  について発表しました。

 上記米国でのベストプラクティス会議の情報はクエストフォーラムのウェブ
 ページ:http://www.questforum.org/ をご参照ください。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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前回は,クリティカル・シンキングで使われている「事実主張」と「価値主張」
をご紹介いたしました。これを意識してみると企業でも家庭でも何の気なしに
多くの価値主張が行われていることに気付かされます。

前回の繰り返しにはなりますが,例えば,“昨日は晴天で,気温も27度以上あ
りました。”という事実主張は客観的な主張(報告)です。一方,例えば,
“昨日は晴天で暑かった。“という主張(意見)は,暑かったかどうかは人に
より異なる主観的な価値主張です。意見,報告の中には,このように二種類の
主張があることをお話しました。

価値主張に属する意見は,個々の価値観や信念に依存するためそれが正いかど
うかを議論してもあまり意味がなく,その価値主張がどのような結果を導くの
かを考えることが重要であるとお話しました。そして,個々の主張の中から妥
当性が高いものを選択することになるのではないかとお話しました。この価値
主張への考察は一種のリスクマネジメントにつながるお話です。

さて,QMS に話を転じれば業務の手順化,規格・標準類などは,いわば客観的
な事実主張で構成されています。それでは QMSの中では価値主張は不要なのか
といえばそうでもありません。QMS の中の代表的な価値主張は,品質方針や品
質目標でしょう。そこに示されたものは企業が求めている価値主張と見ること
ができます。そして,これらの価値主張は QMSの中にある文書類に何らかの意
味(価値)を与えるものなのです。

逆に,QMS 活動を精緻に文書化したとしても,それが何の意味があるのかが伝
わらなければ,時間の経過とともに文書化した意図や動機は薄れていき,結果
的に作業だけが残ってしまい形骸化を助長します。ゆえに,文書類の価値を意
味付けしていく価値主張が常に必要となります。

価値主張の働きは QMSの文書化過程でも発生します。業務に従事する人々の価
値主張は経験や知識量により多様です。それゆえ,人が変われば結果も変わる
といった業務内容になりがちです。それゆえ安定した組織活動をするためには,
様々な価値主張を整理し選択し,文書化して事実主張に変換することが求めら
れます。すなわち,文書化は価値主張によりまずは起動されることが重要です。
この場合,重要な価値主張を見逃すと他の文書類も効果が無くなってしまうこ
とが考えられますので,スローガンではなく,よくよく価値主張を吟味しリス
クの発生を抑えていかなければならないでしょう。

もうひとつ考えておきたいことは,文書化したルールだけで業務ができるかど
うかです。実際のところ現場では文書類だけでは対応できないことが日々起き
ます。例えば,対人サービスをしている組織ではマニュアルだけでは対応でき
ないことが少なからず起きますし,創発的な仕事でも同じことが言えます。対
人業務や創発的な業務は人間でしかできない部分がありマニュアルやルールだ
けでは対応できません。人間的行動と組織的な行動を連結させる働きが価値主
張にはあるのではないでしょうか。

これは一見すると,組織的活動を行うにはルール等の規律や標準が必要である
とした主張と矛盾するように見えますが,対人業務や創発的業務はつまるとこ
ろ個人的活動あり,組織活動の範囲を超える部分を多く含んでいます。それゆ
え,その部分に目を向けないまま手続き化を進めてもあまり有効とは見えませ
ん。そのため,個々人の能力に応じた教育訓練が QMSの中でも求められるでし
ょうし,自由な価値主張を行えるイノベーティブな場の提供も必要になるので
はないでしょうか。

このように QMSの中には,事実主張と価値主張が補完的なものとして存在する
必要があり,また規範性と柔軟性,二つの相反する特質をも求められるもので
す。それらのバランスの中で QMSは機能するものなので,そのバランスを確認
するには内部性価値主張だけでなく外部性価値主張の双方から QMSは支持され
ていなければなりません。

仮に,取引先,顧客,法的規制など組織の外側から求められるものを,外部性
価値主張としましょう。顧客要求事項は当然としても,例えば法的要求事項,
ISO 9001の要求事項,審査機関からの推奨事項などは外部性価値主張に属しま
す。一方,個々のプロセスや組織の必要性に応じたものは,内部性価値主張と
言えます。そこには組織自身の必要性から起動した価値主張だけでなく,内部
監査による指摘事項なども内部性価値主張と見ることができます。いずれにせ
よ,双方の主張はともに QMSに意味を与えてくれる点に注目したいものです。

また,前段階の組織からのインプット類は,次組織にとっては外部性の事実主
張と価値主張と見なすこともできます。同様に,その組織から産出されるアウ
トプット類は,次組織への事実主張と価値主張となるわけです。このように事
実主張と価値主張を介しプロセスアプローチを見れば,まさに価値連鎖プロセ
スです。あるプロセスの存在価値と問うとすれば価値連鎖の中でそのプロセス
または組織がどのような価値を生み出すのかが重要であり,そのプロセスや組
織だけの都合による価値観で評価されるのではありません。顧客満足の原則な
ど外部性価値主張にQMSは起点を置いているのはその意味だと思います。

さて,話が長くなりましたが,“QMS とは質に焦点を置いた外部性価値主張を
満たすためのバリューチェーン”であり,プロセスの価値連鎖の中でその価値
を生み出していくものなのでしょう。少し面倒な解説になってしまいましたが,
バリューチェーンの中でプロセスの価値主張をうまく導くためには,いくつか
の基礎的な要素があるのではないかと思っています。ここでは紙面の関係でご
紹介できませんが,別途機会を得て,皆さんと一緒に考えて見たいと思います。


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●編集後記
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仁川アジア大会,日本勢は熱戦を繰り広げていますね。
スポーツ観戦好きな私は,テレビの前で大盛り上がり中です。

画面を通して観る選手は,緊張の中にもいい顔付きをしています。
練習不足であれば顔に不安の色が浮かぶでしょうが,引き締まった顔は日頃の
練習成果を,本番で発揮出来るプロフェッショナルの顔です。

スポーツの話題に関連して,面白いことを知りました。
スポーツをすると体が鍛えられるのは勿論ですが,実は,脳のトレーニングに
なっていることを皆さんご存知ですか?

先日,スポーツ番組を観ていたところ,脳科学の分野からスポーツ上達させる
アプローチが放映されていました。
脳の働きは,Xシステムと,Cシステムに分かれているそうです。
 Xシステム:「反射」reflex
 Cシステム:「意識」conscious

Xシステムの例では,熱いものに触ると思わず手を離すなどは,無意識ですが,
学習して身につけるXシステムは,習熟度が高ければ高いほど,無意識に判断
出来るようになるため,繰り替し反復活動は有効なようです。
(脳科学の世界では,Xシステムのシナプスが新たに形成されるとか。)

スポーツ選手が,繰り替し反復練習をする意味合いとして,レベルアップは
勿論ですが,本番に緊張しないため,チームプレイの連携の確認など様々あり,
プレーの習熟度を高める作業をしているのですね。

例えばサッカーで考えますと,空間認知能力,状況判断力,予測能力などを
駆使して最善の選択(パス,ドリブル,シュートなど)をしたときに,チーム
パフォーマンスは高まります。そして,その選択がXシステムで行なわれると,
よりスピードが増します。

スポーツ選手たちは,実は凄い脳トレをしていると思うと,スポーツ観戦で
日本選手の活躍に一喜一憂するだけではなく,選手の動きを良く観るという
観戦の楽しみも沸いてきます。

そして,私のような普通の人間でも“継続は力なり”の言葉を信じて,
スポーツ脳トレに勤しめば,Xシステムが使える時が来るかもしれません!?

最後までお読み戴き,ありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
    QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
 qmsmelg@ciaj.or.jp
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