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━ CIAJ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会

    2012年がスタート,今年も役立つ企画が満載です!

                      2012年1月31日発行 第47号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━
≪ 第47号 目次 ≫

 ・はじめに
 ・「QMSサロン」報告と予告
 ・異業種見学会「日産自動車 追浜工場」
 ・QMS戦略セミナー「ISO 19011活用で内部監査をいかす」報告
 ・ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
 ・TL 9000コーナー  「APACベストプラクティス会議から」
 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
 ・編集後記

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●はじめに
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大寒も過ぎ,暦の上では春の足音が聞こえてきますが,まだまだ寒い日が続い
ています。

今年度の取り組みとして開催致しました「QMSサロン」も2回目を開催し,
会員の皆様のご賛同を頂いています。第3回目の開催は,「 QMS におけるマネ
ジメントとは何か?」をテーマに2月17日(金)に開催予定です。本メルマガの
“知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」”をお
読み戴き,参加されてみては如何でしょうか?

3月8日(木)には,好評を頂いています異業種見学会「日産自動車 追浜工場」
を計画しています。見学を通じて,クルマづくりのプロセス・高品質で安全を
確保する取組みの一端を実感して頂ければと思います。


それでは,メルマガ47号をお届けいたします。


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●「QMSサロン」報告と予告
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第2回「QMSサロン」を12月6日(火)に開催いたしました。
QMS委員会の山本フェロー(学術博士(Ph.D.))をファシリテーターに迎え,
「内部監査と監査プログラム」をテーマに,強みをいかすための「監査プログ
ラム」とはどうあるべきか,可能性と課題について,各自の取り組みや悩みを
話しながら,一緒に考えて行きました。

今回は14名の参加で,第1回に引き続き,ご参加頂いている方は8名で,委員会
の取り組みにご賛同頂いているという感触を得ました。

イントロダクションで,監査の質を高めるためのバリュー監査,知識創造への
マネジメントなど,前回のサロンで得た内容をおさらいし,QMS監査の定義
(ISO 19011),監査プログラムのPDCAなどの基本事項の解説を前段で行い,
再度,監査とは何かの共通認識を持って頂いた上で活発な意見交換が行われま
した。

 ・監査は段取りが大事である(監査プログラムの目的設定の大切さの認識)
 ・監査プログラムの管理者に求められる力量とは
 ・外部監査と内部監査との違いとは
 ・内部監査の視点,目的分析(IWY分析(c)),監査の焦点とは
 ・内部監査行動を変えるために必要な要素とは何か
 ・トップの参画とリーダーシップについて
 ・内部監査を行うことにより,どのような点で組織行動を変えられるか
  (別な側面から,内部監査が組織行動を変えられない原因とは)
 ・内部監査から見るQMSの価値とは
 ・行動を変えるためのバリュー内部監査プログラムとは
  (バリュー監査は,弱みのあら捜しではなく強みさがしの監査)

最後に,山本様の下記の言葉で締めくくられました。
「経営者を含むマネジメント層のマインドセットを,内部監査を通して変えて
欲しい。心を変えないと行動は変わらない。」

参加者の気付きとして,
「IWY 分析で目的意識を持つことは使えると思った。バリュー監査プログラム
を作ってみたい。」,「 PLANは魂を入れる。いい加減な目標ではQMSに対して
意味はない。結果を見るときは品質向上につながっているかの適切性で見るこ
とが分かった。」などがあり,監査プログラムの重要性を理解して戴けたよう
でした。


第3回「QMSサロン」は2月17日(金)に開催予定です。

今回のテーマは,「 QMSにおけるマネジメントとは何か?」です。
QMS を通し,手続き化された作業とともに知識創造活動など手続き化できない
活動について,QMSの中でそのマネジメントとはどのようなことであるのかを,
参加者の皆さんとともに考えてみたいと思います。

 日時:2012年2月17日(金) 14:00 〜 17:00
 会場:東京・JEI浜松町ビル3階 CIAJ会議室(B会議室)

皆様のご参加をお待ちしております。


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● 異業種見学会「日産自動車 追浜工場」
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毎回好評を戴いております異業種見学ですが,今回は日産自動車株式会社追浜
工場の見学会を企画いたしました。

追浜工場は,わが国初の本格的乗用車工場として1961年に操業を開始し,1970
年には業界初の溶接ロボットを導入するなど,世界でも屈指の自動化の進んだ
乗用車組立工場です。

本見学会は一般向け見学コースのため,日産自動車様との交流会の設定はあり
ませんが,見学を通じてクルマづくりのプロセスだけでなく,高品質で安全を
確保する同社の取組みの一端を実感いただければと考えております。

 訪問先:日産自動車株式会社 追浜工場
  住所:神奈川県横須賀市夏島町1 (TEL 046-867-5013)
  案内: http://www.nissan.co.jp/INFO/FACTORY/OPPAMA/access.html
 実施年月日:2012年3月8日(木)(雨天でも決行いたします)
 募集定員:40名(限定)
 当日の工程:13:30〜15:00 (約90分)
  ① ビデオ上映,説明
  ② 組立・検査ライン
  ③ 専用埠頭見学

申込締切は 2月16日(木) です。

詳しくは 1月20日に通知しました参加募集の案内をご参照ください。


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● QMS戦略セミナー「ISO 19011活用で内部監査をいかす」報告
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2012年 1月10日 14:00-16:40「ISO 19011 活用で内部監査をいかす」を
テーマにセミナーを開催いたしましたのでご報告いたします。

 1.『QMS内部監査への問題提起』

  講師:山本 正 様(QMS委員会フェロー)
     品質マネジメントシステム規格国内委員会(TC176)委員
     ISO 19011対応WG委員

  講演概要:

   問題提起の背景は,企業を取り巻くビジネス環境の変化に応じ業務活動
   の見直しが必要であろうが,定期的な業務の棚卸には,内部監査は有効
   な手段になり得る一方,QMS が形骸化し内部監査もマンネリ化が進んで
   いるものと見えることである。主なポイントは以下の通り。

   1) 内部監査への期待と懸念
    経営目的に対し,QMS の弱みを是正し,さらに強みに替えていく機会
    の提供が期待されるが,現状では企業にとって有益な結果が導けない
    のではと懸念される。

   2) 文書化ベースの課題
    知的活用型企業では,“見えない知識”がQMS の重要な役割を担うと
    すれば,文書類だけでは,QMSの実態を示すことは出来ない(仮説)
    企業活動=構造的要素(見えるもの)+ 非構造要素(見えないもの)

   3) 外部監査と内部監査の違い
    外部監査(第三者認証審査;JIS Q 17021)は,規格要求事項への適合
    監査を目的とする。

    内部監査(ISO 19011(2011)→2012年にJIS化)は,企業が必要と判断
    した監査目的への有効性監査を目的とする。
    特徴は,業務実態に精通した監査員による監査,立入り制限が少ない,
    適合/不適合だけでなく有益かどうかも評価が可能。

   4) 内部監査の意味の確認(IWY(c)分析例)
     QMS 内部監査は "私:I","我々:We","あなた:You"にとって何か。

   5) 内部監査に求められるバリュー監査
    QMS 軸:  客観的評価軸(要求事項への適合)に対し,
    バリュー軸:主観的評価軸(満足ー不満足)の視点が求められるので
    はないかと提言したい。

   6) 内部監査への期待
    実態と文書で示されたものとの乖離の把握。重要な役割を担う活動へ
    の注目。内部監査をとおした教育。

   問題提起
    ・知識活用型企業のQMS 内部監査への問い
     内部監査は,どこまで監査できるのか?
    (監査限界の視点)

    ・QMS 内部監査による組織的学習への問い
     被監査組織や監査員は何を学んでいるのか?
    (組織的学習の視点)

    ・QMS 内部監査の役割への問い
     内部監査は,企業にとってどのような価値を生み出しているのか?
    (価値抽出の視点)


  2.『改正版ISO 19011の活用 〜有効な内部監査の実施にむけて〜』

   講師:亀山 嘉和 様
      元 公益財団法人 日本適合性認定協会 認定センター 審議役
      ISO 19011作成WG 日本代表エキスパート

   講演概要:
    改正の意図は有効な内部監査の実現へ向けて役立つことである。
    主な改正ポイントは以下の通り。

   1) 対象
    今回の改版では第一者,二者に主眼をおき,規制当局による第三者
    監査も対象とし,認証審査は対象外と明確にし,かつ,MS
    (マネジメントシステム)に限るとした。(例: 会計監査は含まない。)

   2) 監査に係るリスクを考慮
    例えば,監査プロセスがその目的を達成しないというリスク。
    監査が被監査者の活動及びプロセスを妨げる可能性を考慮した。

   3) ICTを活用した新たな審査方法を考慮
    リモート監査。

   4) トップマネジメントの役割重視
    少なくともトップに顔を向けてもらう,トップを巻き込むべく記述内
    容を改訂した。

   5) 監査プログラムの管理者と監査チームが実施すべきことを第5章と
    第6章に明確に分離
   「トップマネジメントが監査目的を決める。」と書きたかった。
    しかし,ISO 9001でも「目的を確実にする。」の表現のため,
   「〜を確実にすることが望ましい。」の記述にとどめた。
    内部監査は何のためにやっているのか,少なくともトップは理解して,
    指示して欲しい意図で,5.2項に於いて明確にした。

   6) 力量の定義及び考え方を明確化
    2002年版の例示のレベルが独り歩きしてしまった反省があり,単に
    講習を受けた時間数ではなく,評価を実施して初めて必要な力量が
    あるかを判断するとしている。

 3. パネルディスカッション『内部監査はどうあるべきか』

  モデレーター:  山本 正 様
  ゲストパネリスト:亀山 嘉和 様
  パネリスト:   QMS委員会委員3名

  1時間という短い時間でしたが,山本様の下記の問いかけに対し,
  亀山様は,規格開発者としての意図や企業への要望等を,パネラーは,
  自社の実施状況や日々考えている事などを中心に意見を述べました。
   ・内部監査が生み出さなければならない価値
   ・マネジメントレビュー等でのフィードバックに対する経営者の反応
   ・経営者は内部監査にどれくらい関与してくれるのか
   ・監査計画/プログラム作成における工夫について
   ・監査リスクをどのように考え対応しているか
   ・現状,内部監査が実際に生み出している価値
   ・監査プログラムのポイントは何か

 【アンケート】

  参加者61名中55名の方から回答を頂きました。講演については 93%の方
  が「よかった」または「ややよかった」,パネルディスカッションにつ
  いては 92%の方が「よかった」または「ややよかった」,セミナー全体
  として 91%の方が「満足」または「やや満足」と多くの方から好評を戴
  きました。

  また,本セミナーによって ISO 19011に対する理解度は 98%の方が「増
  した」または「やや増した」,ISO 19011 を活用して内部監査を見直そ
  うと思いますかの質問に対しては 89%の方が「そう思う」または「やや
  そう思う」という結果になりました。少なからず ISO 19011を活用する
  きっかけをご提供できたと思います。

  パネルディスカッションに対しては,各社の工夫が聞けたとする一方で,
  やや時間が短い,もう少し具体論に踏み込んで欲しいなど率直なご意見
  を多数頂戴いたしました。アンケート結果は次回企画にフィードバック
  して参ります。
  受講者アンケートの結果は,以下の会員専用サイトからご覧戴けます。

  <会員専用サイト(ID,PWが必要です)>
   http://www.ciaj.or.jp/qms_m/pdf/120110.pdf


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●ISO 9000の改訂動向「ISO規格類の妥当性確認情報と今後の動きについて」
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2005年に発行されたISO 9000「品質マネジメント−基本及び用語」の改正が検
討されています。

その背景として,ISO 9004,ISO 19011を含めさまざまなガイドラインが発行/
改正され,その中で用語・定義の追加/修正されている点,および品質マネジ
メントの原則 (QMP)の改正検討が進んでいる点などがあります。
これにともない改正版QMPをQMSモデルに整合する形でISO 9000の強化を狙って
います。

その中でも原則として,
 ①価値の側面に関する原則,
 ②マネジメントの側面に関する原則,
 ③人の側面に関する側面
など,従来にもまして組織活動の基本的な強化を目指していると見えます。

今後の動きとして改正への投票が行われ,その結果改正が必要となるとなった
場合,具体的な検討に入り予定では開発期間は 2年,2015年の発行を狙ってい
ます。


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●TL 9000コーナー「APACベストプラクティス会議から」
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11月8日-10日に中国・北京でAPACベストプラクティス会議が開催されました。
(参加人数 143名,参加企業 55社)

オープニングでは,クエストフォーラム会長でもあるAT&Tのティム・ハーデン
氏の講演がありました。AT&Tは,4G LTEの導入やクラウドサービスに向けてセ
キュリティ強化と大幅なモバイルデータサービスの増加を進めていることを強
調していました。その中でも特にセキュリティ強化を中心としたチャレンジが
キーとなることをアピールしていました。
ネットワークは様々な規模のベンダーが集まって複雑な体制で構築されるよう
になる。AT&TではMatrixをベンダー各社の評価に使用しており,TL 9000 を共
通定義として活用していると発表しました。

基調講演では,Huaweiのジョン・ウー氏がHuaweiにおけるグリーン活動を紹介
しました。事業所内の省エネ(クリーンエネルギーの利用とグリーン活動)と
製品のグリーン化について紹介されました。

クエストフォーラムの今後の会議予定などは,クエストフォーラムのウェブペ
ージ:http://www.questforum.org/ をご参照ください。


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●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」
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前回は,内部監査の質に影響を与える「監査プログラム」についてお話ししま
した。また先月開催された QMSサロンでは,QMS のバリューについて参加者の
皆さんと具体的に話し合いました。

その話題の一つは,監査者,企業,そして各組織にとって“QMS 内部監査はど
のような意味や価値を持つのか”とするものでした。

二つ目の話題は,内部監査の結果として文書類が変更されるだけでなく,企業
活動として何らかの行動変化がなければ内部監査の効果がないのではないかと
いうものでした。

組織行動を変えるためには自らの弱みを認識し,弱みを強みに変える努力が進
歩を促すと話が進みました。そして組織行動を変えるには規格要求事項への適
合の確認とともに,QMS が生み出すバリューについても確認が必要であり,
「 QMSが重要だと考えている価値」と「 QMSが実際に生み出している価値」を
対比し考えていく必要があります。そのためには弱みを見つけ出すだけの監査
ではなく“強み”を見つけ出す監査も必要ではないか話し合われました。

そこで今回は,“弱みを強みに変えていく”ことについて具体的に考えてみた
いと思います。

弱みを強みに変えていくには単に不具合を処置するだけでなく,そこに何らか
のプラスアルファーの部分を加える必要があります。そのためには,まず適切
な現状認識が必要となります。

それはまず,その企業のQMS がもつ「本質」的な課題を浮き上がらせることか
ら始まります。不具合処置に見られるような表面的な課題対応とは異なり
「本質」的な課題の根は深く,かつ包括的な理解が求められます。
すなわち,不具合を導いた「原因」とともに,その背景にある「理由」を探し
出さなければなりません。これはさまざまな要素が重なり合いながら発生する
ものなので,探し出し理解するのは容易ではありません。
ここでは,混乱を避けるために「原因」とは因果律がある場合に使うこととし,
「理由」とは直接的な因果律がない場合に使う語彙として識別します。

ともすると内部監査では,摘出された不具合だけに注目し「原因」が追求され
処置されますが,一方でそれを生み出す本質である「理由」について追求され
ることは稀です。個別対応に終始し組織行動について問うことは少ないと思い
ます。しかし,本質が変わらなければ同じような不具合が形を変え次々と表出
化すると見ることができます。

本来,組織行動とは“手続き化できない部分に個性がでる”ことが多く,その
個性的な行動を導く「理由」を知ることから始めなければなりません。
手続き化が難しい例として,その場で判断し行動しなければならない対人業務,
管理者の意思決定や知識創造活動などが考えられますが,これらは人的資源が
軸となる組織活動と言えます。これらの活動は個人的資質が基盤であり,本質
の部分は手続き化することが困難です。

しかし,これらの要素は実際には組織活動の中に深く浸透しており,手続きを
中心に構成されるQMSでもこれを無視することはできません。すなわちQMSには,
手順化されたプロセスを「構造的行動」とすれば,個人的資質に基づく行動で
ある「非構造的行動」も含まれます。
このように考えると実際のQMS は「構造的行動」と「非構造的行動」が渾然一
体となって行われていると考えるのが妥当でしょう。

手順類などが示す構造的行動は,それを皆が順守するかどうかが組織行動のポ
イントとなりますが,非構造的行動である知識活動や,意思決定,対人業務な
どは,何をポイントに組織行動とすればよいのでしょうか。

そこで非構造的行動を,どのようにQMSの中でマネジメントすればよいのかに
ついて話を進めたいと思います。そのためにまず,“マネジメントとは何か“
に触れてみたいと思います。
ISO 9001の歴史を振り返れば,ご存じのようにその1980年代の当初はQS
(Quality System)規格,すなわち“品質システム”としてスタートしたわ
けですその後2000年に大改訂が行われ現在の QMS規格となり,その表題に
“マネジメント”という言葉が挿入されたという経過があります。

この“マネジメント”という言葉は広範囲な概念であり,また漠然としたもの
なので,ここではQMS におけるマネジメントに限定し,お話しを進めたいと思
います。QMS の中で行われるマネジメントと表される行動には,三つの形態が
あると私は見ています。すなわち,①制御・調整(コントロール),②支援
(サポート),および③意思決定(マネジメント)に分けることができると見
ています。

まず,“コントロール”というものは原因と結果がある程度見極められる活動
が前提で,結果を導く要素を制御することです。例えば,QC活動などに見る
データを見ながら制御する行動です。これは構造化された作業であり,段取り
化や自動化できる部分が多くあります。これは上述した品質コントロールの部
分に該当します。

一方,人間が中心となる知識活動などは因果関係が明確にできないものであり,
 同じインプットでも,その結果はバラバラになるものです。
(ここで細かな話になりますが,「インプット・アウトプットモデル」とは,
インプットされるものとアウトプットされるものが同質のものである場合に使
います。すなわち,情報をインプットすればアウトプットは情報であります。
一方,インプットを情報としアウトプットを行動とした場合,インプットと違
うものがアウトプットされます。このような状況は「投入・産出モデル」と考
える方が妥当なような気がします。)

これは因果律がないため直接コントロールするのは困難であり,結果的に試行
錯誤の連続と個別対応が必要になります。このように因果律が明らかにならな
い活動への対応は,コントロールではなく間接的に支援することしかできずサ
ポート活動で対応する必要があります。例えば,知識活動を支援する情報の共
有化の促進とか,CAD,CAMなどの設計・開発支援設備の導入や,創発的な職場
環境の提供,教育・訓練の提供などさまざまなサポートが考えられます。

このような非構造的行動にかかわる支援活動の成果は,個々人の資質と能力に
依存するため必然的に曖昧なものとなります。経営層や管理職の皆さんには長
期的な視点と我慢が求められる部分です。しかし,企業の特徴と戦略的な優位
性,または劣位性はこの非構造的行動から生まれて来るものです。

最後に,答えがない問題に対する意思決定行動があります。答えが見えている
ものは誰でも判断できます。現実は正解が見えない中でも何らかの決定をしな
ければならない場面に日々管理者層の皆さんは直面していると思います。この
部分はその個人の知識,経験,価値観に立脚した意思決定の資質に依存します。

このように,“マネジメント”と表されている内容も,①制御,②支援,およ
び③意思決定とする三つに分類することにより具体的に把握できます。これら
を整理すれば,「原因」によるマネジメントと,「理由」を動機とするマネジ
メントがあると考えることができます。

このように QMSを使い組織行動を変えていくには,これら三つの要素から QMS
を見ていかなければなりませんが,いつもの通り紙面制限があります。

そこで,この話題は第3回の QMSサロンの中で皆さんと一緒に検討していきた
いと思います。第1回,2回と QMSサロンを進めてきましたが,いよいよ QMSの
核心につながる部分に入ります。

具体的には,マネジメントの三要素,それを駆動するイネーブラー,および
「行為目的」から導く「本質」と「構造」に展開し将来に目を向けた「構想」
に関連づける方法について,私なりの目的展開手法を参考的にご紹介したいと
思います。


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●編集後記
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年が明けて新年だと思っていたら,いつのまにか 1ヶ月が経ってしまいました。
子供のころは 1年は長いと感じたものですが,今では直ぐのような気がします。

それにしても今年の冬は特に寒い印象です。冬型気圧配置で首都圏は異常乾燥
注意報が記録的に続き, 先日は数センチの積雪で交通ダイヤが大幅に乱れ,車
通勤の私も大渋滞に巻き込まれ,いつもの倍以上の時間がかかってしまい都会
の脆さを露呈しました。

まだまだ寒い日が続きそうですが,エコ対策・エネルギー節減が叫ばれている
昨今,私に何かできないかと考え,家ではなるべく厚着し,エアコンの設定温
度を下げるように心がけています。エアコンが家になかった子供のころを思え
ば,慣れれば特に問題ないし,「やればできる」ですね。

みなさんも何か自分にできるエコ対策を考えてみてはいかがでしょうか。

最後までお読み戴き,ありがとうございました。


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──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」──

* 配信追加は下記にお知らせください。
 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp
* 発行:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会
    QMS委員会メルマガ編集部
 http://www.ciaj.or.jp/top.html
 http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ)
* 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕)
* 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください!
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