メルマガ
HOMEメルマガ
HOMEメルマガ
━ CIAJ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」 QMS委員会 「2008年度も,QMS委員会は,価値ある情報発信を続けます!」 2008年3月31日発行 第24号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CIAJ ━ ≪ 第24号 目次 ≫ ・はじめに ・JAB/ISO 9001公開討論会報告 ・TL 9000コーナー「クエストフォーラム年次会議報告」 ・いつでもどこでも受講可能!QKM e-ラーニングのご紹介 ・ISO 9000 改訂動向 ・知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」 ・編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに ─────────────────────────────────── 東京では, この一週間で桜の花が一気に咲いて春の訪れを実感しております が,会員の皆様はいかがお過ごしでしょうか? 日本では衆参逆転国会, 値上げラッシュ,米国では金融不安, 中国ではチベッ トでの暴動発生など, 落ち着きの無い年度末となってしまいました。 そんな中ですが, QMS委員会は、安定した情報提供を継続します。 今回も役に立つ情報満載です。 それでは,メルマガ第24号をお楽しみください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●JAB/ISO 9001公開討論会報告 ─────────────────────────────────── 2008年3月17日にビッグサイトで開催された,第14回 JAB/ISO 9001公開討論会 に参加しましたので,その一部をご紹介します。 今年のテーマは「ISO 9001認証を考える」でした。 ISO 9001認証制度は発足して10年以上経過しました。 本制度を有効に活用している組織がある一方で,課題・問題点も多く,形骸化 していると言われています。 さらに,昨今の不祥事続きで,本制度に対する社会の目は非常に厳しくなって いると思われます。 このような背景のもと「ISO 9001認証を考える」というテーマは,認証制度が 大きな分岐点に差しかかっていると感じました。 ■基調講演<ISO 9001認証を考える> 東京大学教授 飯塚悦功 氏 ISO 9000には,以下の2つのQMS規格がある。このISO 9001を第三者機関が評 価しているが,認証制度について色々な課題がある。今回の狙いは,「現在の 認証制度が抱える根源的課題を明確にし今後どうすすむべきか」である。 (1)購入者のための品質保証 [ISO 9001:品質保証 + α(顧客満足, QMS有効性 改善)] ・確立した要求事項に適合する製品を提供できる能力があることを実証する ことによる信頼感の付与を基礎として,顧客要求事項を満たしている程度に 関する顧客の受け止め方と品質マネジメントシステムの有効性の改善。 (2)供給者のための品質マネジメントシステム ・ISO 9004:ISO 9001を超える品質マネジメントシステム ・継続的な顧客満足を通して,全ての関係者の利益を図る ・ビジネスエクセレンスを目指す品質マネジメントシステムモデル ■JAB/ISO 9001研究会報告(結果) WG1〜WG3が1年間かけてまとめた以下のテーマで報告がありました。 ・WG1:「信頼されるISO 9001認証制度」 ・WG2:「サプライチェーンにおけるISO 9001認証の活用」 ・WG3:「組織にとってのISO 9001認証の価値」 ■パネルディスカッション 組織のQMS基盤強化に苦労されている実態や,審査員機関の教育,力量不足 などについて討論されました。 ・良い企業は,外を向いている(顧客視点で考えている) ・JABは,来年度から審査機関などの情報を公開することを考えている (何をどこまでどのように公開するかは今後検討する) ・組織にとってのISO 9001認証の価値は,審査機関と審査員のスキルアップが キーとなる ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●TL 9000コーナー「クエストフォーラム年次会議報告」 ─────────────────────────────────── 2008年2月5日〜8日にクエストフォーラム年次会議が,米国ロサンゼルスにて, 開催されました。12ケ国,150名の参加でした。 今年で,年次会議創設10年となり,クエストフォーラム自身が大きな転換期を 迎えた年次会議でした。 1.クエストフォーラム自身の改革 従来の米国開催のクエストフォーラム年次会議/BPC会議は2008年度で廃止し, 2009年より,クエストフォーラムは米州,EMEA,APAC,3地域体制でそれぞれ 年次会議/BPC会議を開催する方針が発表されました。 米国一極集中を避け,各地域での参加し易さを狙った方針です。 クエストフォーラム自身の運営をベンチマークを行い,プロダクト開発,会 員増加専任ダイレクタを置くなど,体制,組織の改革を始めました。 2.講演 シスコ,AT&T,Verizon,Infosys,Huaweiなどから,「品質/TL9000」に関 する講演が行われました。 クエストフォーラム創立十周年の記念講演で,創始者のSteve Welch氏が, 歴史の紹介と将来へ向けて,価値を如何に高めていくかが課題とのコメント がありました。 3.作業グループ(WG) 年次会議後のWGでは,TL9000要求事項ハンドブックの改版R5.0版へ向けて の内容とスケジュールの議論が早くも開始されました。ISO 9001 2000年版 の追補が2008年月に発効予定のため,これを睨んで,現在2009年11月発行 を予定しているTL9000 R5.0改版の発行時期も,改めて検討していくことと なりました。 4.日本関連 2008年10月に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPANにおいて,クエスト フォーラムに講演をいただくことで調整していくこととなりました。 年次会議概要: http://www.questforum.org/events/event_2008_Annual_Main.html <補足> クエストフォーラムは,1998年に米国の通信プロバイダ,通信サブライヤが 設立した任意団体です。セクタ規格TL9000による品質システムの標準化と ベストプラクティスの共有による,通信業界の繁栄を目指しています。 会員数は140。AT&T,ベライゾン,BT,シスコ,モトローラ,ノーテルなど グローバルな通信キャリア,メーカはほとんど会員となっています。 <参考:クエストフォーラムURL> http://questforum.asq.org/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●いつでもどこでも受講可能!QKM e-ラーニングのご紹介 ─────────────────────────────────── 春の訪れがそこかしこに垣間見られるようになりました。 春といえば,新入社員や異動などで受入教育が必要になってくる時期ですね。 そこで,QMS委員会からいつでもどこでも受講可能な品質教育をご提案します。 既に会員の皆様ご存知のQKM(*)e-ラーニングシステムサービスです。 これは,通信業界のエキスパートが,知恵を絞って,オリジナルで作り上げた 教材ですので,会員の皆様に一人でも多く利用して頂きたいと思っています。 * Quality Knowledge Meister ◇QMS委員会『e-ラーニングサービス』のご案内 http://www.ciaj.or.jp/qms/7.html 下記のURLでコンテンツの構成・目次一覧をご覧になれます。 ◇QKM基礎講座 http://www.ciaj.or.jp/qms/pdf/mokuji-1.pdf ◇ISO9001 2000年版 規格解釈コース http://www.ciaj.or.jp/qms/pdf/mokuji-2.pdf 『e-ラーニングサービス』お問い合わせ先は下記の通りです。 QKMサテライトセンター QKM担当 e-Mail:qkm@sunsea-japan.co.jp QKM e-ラーニングサービスは,サービス開始以来,多くの方に受講頂き, 好評をいただいております。 もちろん!会員企業の皆さまは,無料で受講できます!! QMS委員の英知を結集し作成したコンテンツですので大変有益な内容です。 会員の皆様の積極的なご利用をお待ちしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ISO 9000 改訂動向 ─────────────────────────────────── 1.ISO 19011:2002; (品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針) ISO 19011:2002を改訂する動きが始まりました。 改訂のポイントとして品質及び環境以外のマネジメントシステム監査(財務 監査は除く)にも対象を拡大することが含まれています。 この中には,第三者認証監査に関する要求事項,サプライチェーンセキュリ ティマネジメントシステムの監査/認証機関に対する要求事項,食品安全 マネジメントシステムの監査/認証機関に対する要求事項,情報セキュリテ ィマネジメントシステムの監査/認証機関に対する要求事項など,現在ある さまざまなセクターの要求事項に共通に使えるものを目指しているようです。 現在は,スコープが妥当であるかを検討している段階です。 2.ISO 10018 WD1 (Participation and Competence of People in Management Systems); (マネジメントシステムにおける人々の参画と力量)(仮訳) ワーキングドラフト(WD)が次の段階に進められるかを含め検討されていま す。QMSへの「人々の参画」は品質マネジメントの8原則の一つですが, 人的資源を組み込むことの重要性とその力量について述べています。 3.ISO/CD3 9004 (Managing for Success - A quality management approach); (成功へのマネジメント−品質マネジメントアプローチ)(仮訳) 次のステップに進むべきか審議されています。 コミッティドラフトも3版となり集約が進みつつあるものの, 次の段階の ISに移行するか検討されています。 内容が経営を含めて非常に広範囲のため, まだまだ議論を呼びそうです。 4.ISO/CD2 10004 (Quality Management Customer satisfaction Guidelines for monitoring and measuring); (顧客満足−モニタリングと測定のガイドライン)(仮訳) 品質マネジメントの8原則である「顧客重視」の課題に関するガイドライン を作成していく活動です。企業活動にとって顧客満足を得ることは企業の 将来にとって常に重要な課題であり,そのためには顧客満足の状態をモニ タリングし,測定することから始まります。顧客の暗黙の期待を含め顧客 満足をどのように把握するかはなかなか難しい側面があります。 ガイドラインとしてどのようにまとめられてくるか注目していきたい内容 です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●知識活用型企業への道「QMSにおける知的資産運用への取り組み」 ─────────────────────────────────── 前回のメルマガでは人的資源をどのようにQMSに取り込むのかを,「手続き型の 業務」の段取りと「しつけ」など行動規範の側面から簡単に述べました。 手続き型業務は単純作業などと,あなどってはいけないと述べました。それは, 創発性の高い,例えば設計・ 開発業務においても, 基準や約束に従って行われ ている部分が多くあるからであり,分業を前提に多くの組織が関連しながら仕 事を進めていくためには,手続き型の作業が多く含まれるからです。 創発的な活動を主業務としている組織にとって, 手続き作業の合理化・単純化 は,組織活動の効率化を促進するだけでなく,余裕を改善活動や創発的な活動 に振り分けることができるからです。手続き型の業務を軽視し混乱していると, 常になんらかのコミュニケーション・エラーや行き違いなど本質的でない問題 が頻繁に発生し,それを処置するために多くの関係者の時間がとられてしまう のでは残念です。手続きや守るべき内容を明確にしていくことは業務効率的に も必要です。 さて, 創発的活動をどのようにQMSの中で扱うかは大きな課題です。もともと 本質的に創発はシステマティックに行われるわけではない要素が多くあり, QMSの中では扱いづらい要素です。QMSの中で創発活動の本質を述べるわけには いきません。しかし, 創発性を高めるために必要な職場環境や情報の共有化 など, それらを支える仕組みをQMSの中で明確にすることはできそうです。 必要な基準やノウハウ情報の明確化, また文書ではなかなか説明できない知識 のOJTなど実務を通してスキルの伝授する仕組みなどが考えられ, それをQMSに 組み込むことは可能です。 そのためには, 文書化する努力から始めて行かなければならないでしょう。 どこまでが文書化でき, どこが文書化できないのかを知ることは, 知的資産を 多く活用する組織にとって必要なことです。文書化は知識を見える形にするこ とですから(形式知化), できる限り文書化する努力が必要です。また,文書 化の過程を通して参加者が知識を整理し共有できることも大きな効果があると 見ています。 さまざまな見識を収集し個人的知識も含め文書として体系化していくことは 知的資産を作っていくことにつながります。監査のために最低必要な文書が あればいいという考えもあるかもしれませんが,文書化とはその企業の知的 資産を作ることにあると考えれば,企業内にあるいわゆる暗黙知やインタンジ ブルズといわれる「見えない資産」を見えるようにする活動につながり,得られ た知識は創発的活動につながっていきます。また, 監査目的だけで文書化する ならば監査のための作業という感覚になりやすくモチベーションもおきません。 知的資産を作っていくという視点を組み込めば, QMSへの創発的活動を主とし ている組織においてもモチベーションが出てきます。 一方で, 何でも文書化するということは現実的ではありませんし, 無理やり 文書化することを推し進めると形骸化したものとなり信憑性のないQMSとなり やすくなります。文書化の程度はその組織の業務特性に合わせて変化するもの です。文書化できない事柄で組織活動に不可欠なものは,訓練で補うことに なるでしょう。 さて,企業内における創発的活動は企業の目的に沿って行われるべき内容で すから,個人の生活の中で行われるものとは違いがあるでしょう。また, 企業内の 制度や職場環境,企業文化などの影響を受けるところです。企業によっては 新しいものへチャレンジすることが企業文化になっている企業もあれば, 決められた品質をしっかりと達成することを特徴とした信頼感ある企業もあり ます。もちろん両者を兼ね備えられれば理想的です。 少なくともQMSの中で企業目的にあわせた創発しやすい環境を作り上げていか なければ, せっかくの特徴や成長の種も消えてしまうかもしれません。 企業が備える創発的環境といえば,ナレッジマネジメントデータベースやLAN やインターネットなどの情報を流通させるパイプラインなどの設備に目が行き やすくなります。さらにはERP(Enterprise Resource Planning)など企業全 体の経営資源の有効活用を総合管理するソフトウェアを導入すれば知的資産の 活用や経営効率が上手くいくと手放しに導入し,結果が出ない企業の話をも 聞きます。 これは,企業の実態に即していない表面的IT化からでる課題のように見えます。 現場の人々がこれらをうまく活用して初めて効果がでるものばかりです。 人的資源の参画と活用が無ければ意味がありません。いかに最先端のナレッジ マネジメントシステムを導入し知識情報を蓄積しても,その情報を知識へと変 換して再利用し新たな知識を生み出すのは人的資源しかありません。人的資源 にその情報を読み解くだけのリテラシー(言語により読み書きできる能力)が無 ければ設備や道具をいくら整えても意味がありません。 リテラシーには体験知,経験知など見えない資産とでもいえるインタンジブル ズが必要となります。例えば似たような経験したことがあれば,新たな情報を 得たとしてもその情報のもつ表面的な記述情報だけでなく,その行間にある情 報や記述されていない意味までも見抜くことが可能となることもあります。 そこから新たな知識を創発する可能性があります。 このように創発性を高めるためには. 設備の充実と人的資源のリテラシーを高 めるための仕組みが必要となるでしょう。例えば「場」と呼ばれる「経験が共有 できる場所」の提供などがあります。次回は,この知的資産を読み解き,理解 し活用するためのリテラシーという側面から考えてみたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記 ─────────────────────────────────── 春は卒業,入学の季節です。 ついこの間,我が家の長男も無事小学校の課程を修了し卒業を迎えました。 卒業式スタイルも私の頃とはだいぶ様変わりし,おしゃれになりました。 卒業生のお別れのことば,在校生のお別れのことばは,昔からある涙を誘う 呼びかけスタイルですが,合間に卒業にピッタリな今どきの歌を歌うのです。 (ミュージカルスタイル!?タイミングが絶妙!) それにしても,かなり練習したのだろうという印象でした。 呼びかけの合間に,卒業生,在校生一緒に歌う場面もありました。 来賓の方,保護者の方には大変見栄えの良いものですが,練習しすぎている? 児童たちは涙も出ないのでは…と思ったのは私だけでしょうか? (私たちの卒業の時より,泣いている子が少なかったような気がします。) ともかく無事人生の節目を迎えた我が子ですが,自身を振り返ると私も未熟 ながら親として人生の節目を迎えたわけです。 子育ては,親としての経験知を上げる行為ですが,自分自身を振り返ると, 親の経験を蓄積しても,自分の意識下では,親としての自覚とか自信は さっぱり発揮されません。 それどころか,いつもオロオロし,ボケをかましてサザエさん状態です。 それに比べて,よそのお宅の親はとても立派に見えます。 隣の芝生は青く見えるのか…?それとも本当に青いのか…! 最後までお読み下さいましてありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──「QMSを経営に活かしたいあなたに贈る」── * 配信追加は下記にお知らせください。 mailto:qmsmelg@ciaj.or.jp * 発行:情報通信ネットワーク産業協会 QMS委員会メルマガ編集部 http://www.ciaj.or.jp/top.html http://www.ciaj.or.jp/qms/(QMS委員会ホームページ) * 発行責任者:QMS委員会メルマガ編集部事務局(菅野 清裕) * 皆様のご意見・ご要望をどしどしお寄せください! qmsmelg@ciaj.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C)2004-2008 CIAJ QMS committee All rights reserved.