概要
一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が事務局を担う「HATSフォーラム」の「PBXテレコムサーバ相互接続試験実施連絡会」では、近年PBXに収容する事業所用コードレスの分野で期待が高まっているsXGP端末について、異なるメーカのIP-PBXとsXGP方式機器の相互接続性を確保する目的で、各製品間での相互接続試験を実施しました。
この度は、より信頼性の高いsXGP機器利用環境の提供に向けて、sXGP機器のコアとなるEPCの冗長構成による故障時の運用継続性に関わる試験を「XGPフォーラム」と共催し、良好な結果を得られましたのでご報告いたします。
今回の試験結果により、現在PHSを中心としたモバイル端末をご利用されている大規模な企業や医療関係の業種を始めとした、信頼性の高い通信機器をご要望されるお客様に対して、安心してご利用頂けるsXGP端末の導入促進が期待できます。
1.試験実施月日
- EPC冗長構成による故障切り替え後の再通話試験
- 2023年11月6日(月)~ 11月8日(水)
2.参加企業(順不同)
- NECプラットフォームズ株式会社
- 沖電気工業株式会社(OKI)
3.試験実施場所
一般社団法人 電波産業会 第1A会議室
4.実施体制
XGPフォーラム内TWG-AdHoc 22 SWG for sXGP-TG for interconnectivityにおいて、参加企業を募り試験を実施いたしました。
5.試験方法
今回の接続試験は、「sXGPプロトコル仕様端末接続のためのPBXテレコムサーバ相互接続試験実施要領(HATS-P-104-V6.0)」、および同要領が参照する「IP-PBX – sXGP端末間接続試験実施要領 第6版(XGPフォーラムにて制定)」に従い、PBXとsXGP方式システム間での接続試験を実施いたしました。
<EPC冗長構成による故障切り替え後の再通話試験システム構成概要>
※EPC : Evolved Packet Core 高速通信規格「LTE」のアクセス網を収容するコアネットワーク
6.試験結果
以下のとおり、2社2機種のIP-PBXとsXGP対応機器の組合せでEPC冗長構成による故障切り替えの再通話試験1項目を行い、2社合格いたしました。
IP-PBXメーカ | 製品名 |
---|---|
NECプラットフォームズ株式会社 | UNIVERGE SV9500CT |
沖電気工業株式会社 | DISCOVERY neo2 |
IP-PBXメーカ | sXGP端末通話中 冗長構成EPC故障切り替え後の再通話 ※1 |
---|---|
NECプラットフォームズ株式会社 | ○ |
沖電気工業株式会社 | ○ |
※1:sXGP端末とIP-PBX内線通話中からEPC故障切り替え後に、正常に通話を開放し、新たにsXGP端末とIP-PBX内線端末で発着信確認
7.今後の予定
IP-PBXとsXGP方式の機器との接続試験はXGPフォーラムと共催し、2017年度から6年間に渡り、相互の機器における内線、外線発着信などの基本的な機能を始め、IP-PBXの付加サービスや、sXGP機器の故障・復旧などの実運用上で想定される試験などに加え、PHSシステムとの共存環境での運用を想定した電波干渉に関わる試験など、数々の試験を積み重ねて、良好な試験結果を得ることができました。
昨年度は大規模な企業を想定した、複数EPC設置条件における接続試験を行い、今回実施したEPC冗長構成環境においての良好な試験結果により、大規模な企業や医療関係の業種を始めとする信頼性の高い通信機器をご要望されるお客様に対して、安心してご利用頂けるsXGP端末を利用したIP-PBX環境の導入促進が期待できます。
HATSフォーラムでは、今後も異なるメーカ製品間の接続試験を継続して実施する予定であり、利用者にとって利便性の高い製品の供給に向けた支援/サポートを継続的に進めて参ります。
8.各団体について
HATSフォーラム
HATSフォーラム(高度通信システム相互接続推進会議)は、1988年に総務省(当時 郵政省)により設立され、異なるメーカの通信機器の相互接続性を向上するため、接続試験などを行うことにより、情報通信システムやサービス/ソリューションの円滑な普及を促進しています。
(議長・東京大学名誉教授 齊藤 忠夫、PBXテレコムサーバ相互接続試験実施連絡会 主査・沖電気工業株式会社 大坪 時子)
XGPフォーラム
XGP(eXtended Global Platform)フォーラムは、PHSの発展、普及を目的とした組織であったPHSMoUグループを2009年に発展的に改組した業界団体で、PHSの持つセル設計フリーの仕組みや高い周波数利用効率などの長所を取り入れると共に TD-LTEとも互換性のあるブロードバンド・ワイヤレスシステムの標準化及び普及などを推進してきました。また、近年は1.9GHz帯の「デジタルコードレス電話の無線局」にLTE方式を利用した新たな無線システム(sXGP方式)を導入する活動に積極的に取り組んでいます。(議長:岩田秀行)