イメージ

> > > > プレスリリース 2024 > 2024年度上期(4~9月) 通信機械生産・輸出入概況 ~スマートフォン輸入の増加により、国内市場金額は2期連続増加~

お知らせ

2024年度上期(4~9月) 通信機械生産・輸出入概況 ~スマートフォン輸入の増加により、国内市場金額は2期連続増加~

2024年12月12日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2024年度上期(4-9月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2024年度4月~9月の日本経済は、7~9月四半期の実質GDP成長率(2次速報値:12月9日)は年率1.2%増と2四半期連続のプラス成長となりました。個人消費は、所得の堅調な増加、自動車の販売増、台風や地震に対する備蓄需要の高まりなどにより順調に増加しました。一方、設備投資は、工場建設関連の支出が減少したほか、生産用機械や業務用機械向けの投資も不振だったため、0.1%減と2四半期ぶりに減少しました。外需は、金属製品や半導体関連の輸出が伸びた一方で、インバウンド(訪日客)消費の落ち込みや、医薬品や携帯電話機の輸入の増加が上回ったため、外需の寄与もマイナスとなりました。

この中で、2024年度4月~9月の通信機器市場では、円安や部材価格等の高騰により、機器の単価上昇、テレワークや動画配信サービスなどによる高速大容量データトラフィックの需要が増加している一方で、通信事業者の設備投資抑制が継続し、海外勢にも押されて国内生産は大きく減少しました。輸出も一部の品目では海外キャリアの投資抑制等で減少しましたが、海外メーカー製スマートフォンの輸入が大幅に増加したため、国内市場金額は半期で2期連続増加しました。

(1)国内市場動向

4月~9月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額:部品除く)は1兆7,598億円となり、前年同期比では18.7%増となりました。国内生産はほとんどの機種で減少しましたが、スマートフォンやデータ通信機器の輸入が増加したため、国内市場金額は増加しました。

(2)国内生産動向

4月~9月の国内生産金額は1,499億円、前年同期比では15.6%減となりました。通信インフラ投資が伸びず、端末機器、ネットワーク関連機器ともに大きく減少したため、国内生産金額は半期で3期連続減少しました。

(3)輸出動向

4月~9月の輸出総額は1,556億円、前年同期比では4.6%減となりました。海外キャリアの投資抑制等で基地局などの輸出が減少し、欧州経済の前年度からの減速が継続したこともあり、輸出額は減少しました。

(4)輸入動向

4月~9月の輸入総額は1兆7,738億円、前年同期比では18.5%増となりました。国内のスマートフォン需要が好調で、主要海外メーカー製の9月末新発売が後押しするなど、輸入額は半期で2期連続増加しました。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1、図表1-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。スマートフォン輸入が牽引し、端末機器、ネットワーク関連機器ともに増加したため、前年同期比で増加しました。

①端末機器:12,047億円(前年同期比 26.7%増)
②ネットワーク関連機器:5,551億円(前年同期比 4.3%増)

なお、生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。生産動態統計で携帯電話が秘匿となった期間(2021年度4Qから2022年度3Qまで)はCIAJ推定値を加算。

図表1-1:国内市場(機種別、半期別
図表1-2:国内市場(機種別、四半期別

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1、図表2-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
205億円(前年同期比12.0%減)。うち電話機5億円(同35.0%減)、ボタン電話装置57億円(同23.7%減)、インターホン143億円(同5.5%減)となりました。ボタン電話装置は、大容量のフルIP(クラウド)への代替といった新しい技術への移行期にあるため、台数、金額ともに減少しました。インターホンは、住宅やマンションのリニューアル需要などに伴い台数は増加しましたが、単価下落により国内生産の金額面では減少しました。

②移動体端末機器
373億円(前年同期比13.3%減)。うち陸上移動通信装置285億円(同15.2%減)、海上・航空移動通信装置88億円(同6.8%減)となりました。陸上移動通信装置は、4~5月までは年度末の陸上移動通信システム更新の反動などの影響が続いたため、国内生産が減少しました。携帯電話も、国内メーカーの前年度から続く出荷低迷と、6月新製品発売の単価上昇に伴う買い控えが影響し、国内生産は減少しました。

③有線ネットワーク関連機器
535億円(前年同期比13.6%減)。うち交換機48億円(同11.0%減)、デジタル伝送装置164億円(同18.2%減)、その他の搬送装置322億円(同11.4%減)となりました。デジタル伝送装置は、7月以降は民需(通信事業者、その他民間)向けが伸長して回復の兆しがありましたが、PONなどを含む「その他の搬送装置」も減少し、国内生産は減少しました。

④無線ネットワーク関連機器
142億円(前年同期比37.7%減)。うち固定通信装置71億円(同15.5%増)、基地局通信装置71億円(同57.4%減)。固定通信装置は、地上系で防災関連の需要増によって、国内生産は増加しました。一方で、基地局通信装置は、通信事業者によるSub6やミリ波などの新たな周波数への設備投資が進まないことから、国内生産は大幅に減少しました。

⑤ネットワーク接続機器
114億円(前年同期比20.0%減)。ルーター、スイッチともに多くの割合を占める民需の設備投資が進まず、国内生産は減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
131億円(前年同期比6.6%増)。有線部品の国内生産は増加しました。

図表2-1:生産総額(機種別、半期別)
図表2-2:生産総額(機種別、四半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1、図表3-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。

① 電話機及び端末機器79億円(前年同期比11.9%減
内訳は、携帯電話63億円(同0.1%減)、コードレスホン1.2億円(同49.0%増)、その他15億円(同42.5%減)となりました。携帯電話は、アジア向けのスマートフォンが増加しましたが、アジア・北米向けのその他の電話機及び端末機器が減少しました。

② ② ネットワーク関連機器765億円(同8.9%減)
内訳は、基地局9億円(同88.6%減)、データ通信機器740億円(同0.7%増)、その他ネットワーク関連機器16億円(同31.0%減)となりました。基地局は、すべての地域で大幅に減少しました。データ通信機器は、高速大容量トラフィック増の需要を取り込み、アジア・米国向けが伸長した反面、欧州向けが大幅に減少したため、全体では微増となりました。

③ 部品(有線系・無線系の合計)712億円(同1.6%増)
内訳は、アンテナ9億円(同31.2%減)、その他の部品702億円(同2.2%増)となりました。7月以降、主に中国向け携帯電話生産用部品の輸出が増加しました。

図表3-1 輸出動向(機種別、半期別)
図表3-2 輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-3、図表3-4)

地域別の4月~9月の実績は、アジア向けが792億円(前年同期比2.2%増)、うち中国向けは308億円(同5.5%増)。北米向けが507億円(同1.1%増)、うち米国は486億円(同0.4%増)。欧州向けが180億円(同36.8%減)、うちEUは142億円(同39.4%減)となりました。欧州向けの輸出は、欧州経済が減速している影響を受けて、基地局やデータ通信機器などが大きく減少しました。一方で、アジア向けのスマートフォン、アジア・北米向けのデータ通信機器の輸出は増加しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 50.9% (前年同期比 +3.4%)
2位 北米 32.6% (同 +31.8%)
3位 欧州 11.6% (同 -5.9%)
その他地域 5.0% (同 +0.7%)
図表3-3 輸出動向(地域別、半期別)
図表3-4 輸出動向(地域別、四半期別)

Ⅴ.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1、図表4-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。

① 電話機及び端末機器1兆1,548億円(前年同期比29.3%増
内訳は、携帯電話1兆1,495億円(同29.6%増)、コードレスホン19億円(同24.9%減)、その他33億円(同8.7%減)となりました。9月後半の主要海外メーカー製の新発売に伴い、海外で生産されたスマートフォンの輸入が大幅に増加しました。

② ネットワーク関連機器5,526億円(同6.8%増
内訳は、基地局98億円(同52.9%減)、データ通信機器5,283億円(同9.5%増)、その他ネットワーク関連機器145億円(同1.8%増)となりました。データ通信機器のうち、スイッチング機器及びルーティング機器2,168億円(同3.8%減)、その他のデータ通信機器(伝送装置、通信装置、変復調装置等)3,114億円(同21.2%増)となりました。その他のデータ通信機器は、光ケーブルなどのネットワーク設備の増強により、輸入が大幅に増加しました。

③ 部品(有線機器と無線機器用部品の合計)665億円(同23.4%減
内訳は、アンテナ63億円(同19.1%減)、その他の部品602億円(同23.8%減)となりました。

図表4-1 輸入動向(機種別、半期別)
図表4-2 輸入動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-3、図表4-4)

地域別の4月~9月の実績では、アジアからが1兆6,621億円(前年同期比18.3%増)、うち中国は1兆2,220億円(同18.9%増)。北米からは470億円(同37.2%増)、うち米国は452億円(同51.9%増)。欧州からは321億円(同5.5%減)、うちEUは298億円(同7.7%減)となりました。アジア・欧州からの基地局の輸入が減少した一方で、北米・中南米(メキシコ)からのデータ通信機器、アジアからのスマートフォンの輸入が大幅に増加しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 93.7% (前年同期比 -0.1%)
2位 北米 2.6% (同 +0.4%)
3位 欧州 1.8% (同 -0.5%)
その他地域 1.8% (同 +0.2%)
図表4-3 輸入動向(地域別、半期別)
図表4-4 輸入動向(地域別、四半期別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ受注・出荷統計より)

(1)2024年度4月~9月の実績

CIAJ会員の国内メーカーによる受注出荷の4月~9月の実績は5,329億円で、前年同期比7.3%減となりました。このうち、国内出荷は4,027億円の同比10.9%減、輸出は1,302億円の同比6.0%増となりました。

国内出荷では、有線ネットワーク関連機器が増加した一方で、移動体端末や無線ネットワーク関連機器が減少したため、前年同期比で減少しました。輸出では、デジタル伝送装置などの有線ネットワーク関連機器が牽引し、前年同期比で大幅に増加しました。
※CIAJ受注・出荷統計=CIAJ会員の国内メーカーの受注・出荷額
(=国内出荷額+輸出額 =国内生産額+海外生産した輸入額)

(2)機種別動向

国内出荷と輸出を合わせた機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。

① 有線端末機器 2,285億円(前年同期比1.9%減
インターホンは、マンション等のリニューアル需要を中心に、業務用IPネットワーク対応などのニーズが増えて、需要が増加しました。一方で、ファクシミリ(複合機を含む)は、台数は国内需要、輸出ともに増加しましたが、金額が輸出の単価下落の影響で減少しました。このため、有線端末機器全体では同比で減少しました。

② 移動体端末機器 1,040億円(同比16.8%減
携帯電話は、スマートフォンの6月以降の各社キャンペーン効果により、第2四半期は一時的に需要が回復しましたが、9月に主要海外メーカー製の新製品発売などの影響により、5G以上、4Gモデルともに前年同期比で減少し、移動体端末機器全体では同比で減少しました。

③ 有線ネットワーク関連機器 1,219億円(同比12.7%増
ボタン電話は、官庁と通信事業者向け需要が大幅に減少したため、減少しました。一方で、光アクセス機器は横ばいでしたが、デジタル伝送装置は、輸出も含めて、国内の通信事業者、その他民需向けともに出荷が回復傾向にあり増加しました。このため、有線ネットワーク関連機器全体では同比で増加しました。

④ 無線ネットワーク関連機器 564億円(同比31.4%減
固定通信装置は、地上系が国内需要、輸出ともに防災関連の需要増により大幅に増加しました。一方で、基地局通信装置は、通信事業者による設備投資抑制等の影響を受けて、大幅に減少しました。このため、無線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

⑤ その他ネットワーク関連機器 207億円(同比5.4%増
LANスイッチは、高速大容量データトラフィック増により、データセンターなどに向けた需要増に加えて、中央官庁向けの出荷が大幅に増加したため、その他ネットワーク関連機器全体では同比で増加しました。

⑥ 通信機器用部品 15億円(同79.3%減

お問い合わせ