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通信機器中期需要予測[2020-2025年度]を発刊 ~新型コロナ禍等で低迷が続き、5G新サービスに対応した端末や基地局が拡大する2023年度に回復の見込み~

2020年12月16日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、このたび、「通信機器中期需要予測[2020年度~2025年度]」を発刊いたしました。第5世代移動通信システム(5G)商用サービスが開始されたことによって、ますます増大するネットワークトラフィックに対応するために整備が必要となる通信インフラ機器や、新たなサービスに対応した端末機器について需要予測と技術サービス動向を解説しています。

I.概 要

2019年度の日本経済は穏やかな回復基調のなか、年度末の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発生によって減速しました。個人消費は消費税増税による落ち込みが回復する前に外出自粛による減少、設備投資は年度後半から建設工事や機械生産の低迷から先送りによる減少、輸出は世界景気悪化などから低調となりました。この中で通信機器市場では、第5世代移動通信システム(以下5G)向け通信インフラ構築や光ケーブル網の全国整備に合わせたネットワーク設備投資は増加しましたが、需要額で大きな割合を占めるモバイル通信端末が、従来型フィーチャーフォンからの買替が進んだものの、新型コロナ感染拡大による購入意欲の低下や5G端末発売を前にした買い控えなどを背景に需要減少しました。さらに海外景気低迷によってほとんどの機器が輸出で減少したため、需要総額は3兆2,068億円(前年度比7.1%減)となりました。

2020年度の日本経済は、11月時点の民間研究機関の経済見通しでは実質GDP成長率は年率5.6%減となる見通しであり、感染再拡大から自粛要請のリスクもあって、感染拡大防止と経済活動の両立を図る中では個人消費の意欲低下や設備投資の減少が続くことから、経済の伸びは大幅に鈍化する可能性があります。この状況下で、通信インフラ関連の需要は増加していますが、新型コロナ禍の影響による事業活動縮小や需要低迷からコンシューマやビジネス関連機器の需要が減少しているために通信機器市場全体は低調に推移して、2020年度の通信機器需要総額は需要総額は3兆584億円(前年度比4.6%減)になると予測しています。

2021年度以降は、ICT分野が、新型コロナ禍の下で、自宅でのテレワーク推進や業務のリモート化を始めとした働き方改革やオンライン授業などを推進するための通信インフラ分野の整備・強化を継続するとともに、5GやAIといった新たな技術や新製品開発を推進し、社会のデジタル変革を進めて、日本の経済再生や社会的課題の解決に貢献していきます。この中で、国内の通信機器市場は2025年に向けて拡大し、2025年度の通信機器市場の需要総額は、3兆4,382億円(2019年度比7.2%増)になると予測しています。

図表① 通信機器市場の予測結果

II.2020年度の見通し

2020年度の通信機器の需要総額は3兆584億円(前年度比4.6%減)、国内は2兆8,079億円(同3.0%減)、輸出は2,504億円(同19.6%減)と予測しました。

2019年度と比較し増加が予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)
【2020年度見通し】 【対2019年度増加額】 【増加率】
デジタル伝送装置 1,728億円 126億円 7.9%
固定通信装置 1,684億円 87億円 5.4%
光アクセス機器 253億円 23億円 10.0%
LANスイッチ 1,786億円 23億円 1.3%
ルーター 1,031億円 0億円 0.0%

(1)コンシューマ関連機器の需要総額:1兆6,666億円(2019年度比5.1%減)

  • モバイル通信端末は、2019年10月の電気通信事業法改正に伴って値引きの上限が2万円に制限されたことによる端末代金の上昇や、新型コロナ禍による販売店での購入機会の減少などから、買い替えサイクルの長期化が生じたうえに、新料金プラン発表や5G新端末発売を前にした買い控えなどを背景に需要が減少しています。
  • コードレスホン・パーソナルファクシミリ(複合機を含む)は、高付加価値化として液晶の大型化、停電時の通話機能やデータベースを利用する「迷惑ブロックサービス」の提供等を進め、高齢者層などの需要層を維持していますが、下降傾向は続くと見込んでいます。

(2)ビジネス関連機器の需要総額:3,994億円(2019年度比14.2%減)

  • ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンは、リプレイス中心の減少傾向の中で、新型コロナ禍によるワークスタイルの変革があり、固定電話の利用機会の減少や在宅勤務によるオフィスの縮小などよってマイナスに影響しています。
  • ビジネスファクシミリ(複合機を含む)は、海外でのシェアが高いため、新型コロナ禍の影響を受けた海外景気の低迷によって、輸出が大幅に減少しています。

(3)インフラ関連機器の需要総額:5,258億円(2019年度比4.1%増)

  • 5G向け通信インフラ構築や光ケーブル網の全国整備に合わせて、バックボーンとなるネットワーク設備としてデジタル伝送装置は継続して需要が増加しますが、基地局通信装置の需要は横ばいと見込んでいます。
  • 民間での設備投資は低迷していますが、近年増加している災害への対策やバックボーンとなる設備として固定通信装置の需要増を見込んでいます。

(4)インターネット関連機器の需要総額:3,070億円(2019年度比1.5%増)

  • ルーター、LANスイッチ、光アクセス機器は、新型コロナ禍の影響でテレワークやオンライン会議によるネットワークトラフィックが増加し、通信事業者や官庁向けの需要が好調なことから需要増を見込んでいます。

(5)その他1~その他4と通信機器用部品の需要総額:1,595億円(2019年度比10.0%減)

III.中期展望

2025年度の国内の通信機器の需要総額は3兆4,382億円(2019年度比7.2%増)、国内金額3兆2,214億円(同11.3%増)、輸出金額2,167億円(同30.4%減)と予測しました。

2019年度と比較し伸びが予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)
【2025年度予測】 【対2019年度増加額】 【増加率】
モバイル通信端末(公衆回線付) 19,974億円 2,800億円 16.3%
基地局通信装置 2,508億円 663億円 35.9%
固定通信装置 1,748億円 150億円 9.4%
LANスイッチ 1,905億円 142億円 8.1%
デジタル伝送装置 1,705億円 102億円 6.4%
光アクセス機器 278億円 48億円 20.9%

(1)コンシューマ関連機器の需要総額:2兆214億円(2019年度比15.1%増)

  • 国内のモバイル通信端末は、新たな5Gサービスに対応した端末の販売増、IoTの普及によるM2M(Machine to Machine)モジュールの拡大等のプラス要因が見込まれることから、需要は大きく増加すると予測します。(図表②)。
  • 世界の携帯電話(スマートフォン含む)市場は、5G商用サービスが開始されたことから需要が拡大し、2024年の売上は4,213億米ドル(CAGR 3.3%増)になると見込んでいます。通信方式別スマートフォンの販売台数では、2020年に新型コロナ禍の影響で減少するものの、2021年以降は反動増と5G端末への買い替え需要が進み、増加傾向と予測します。(図表③)
  • コードレスホン、パーソナルファクシミリ(複合機を含む)は、高齢者向け付加価値によって一定の需要層を維持しつつも、使用機会の減少に伴ってファクシミリなどの設置を取りやめる消費者も現れていることから、需要は減少傾向が継続すると予測します。(図表④)
図表② モバイル通信端末の国内金額 図表③ 世界の通信方式別スマートフォン販売台数
図表④ コードレスホン・パーソナルファクシミリ等の需要総額 図表⑤ ビジネス関連機器の国内金額

(2)ビジネス関連機器の需要総額:3,371億円(2019年度比27.6%減)

  • ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンは、新型コロナ禍がワークスタイル変革を推進する機会となり、大企業を中心に音声コミュニケーション基盤の再構築が検討され、どこでもコミュニケーションできる環境を整備するために、クラウドとの連携、スマートフォンの内線アプリの利用など固定電話を利用しない方向から、減少傾向が続くと予測します。
  • ビジネスファクシミリ(複合機を含む)は、電子メール等他の情報伝達手段の浸透による利用頻度の低下からの買い替えサイクルの長期化、ワークスタイル変革によるオフィス内業務の縮小、それに伴う事業所の縮小等により、国内需要は減少すると予測します。(図表⑤)

(3)インフラ関連機器の需要総額: 5,963億円(2019年度比18.0%増)

  • 5Gの商用サービスなどに向けた設備投資では、新型コロナ禍によるテレワークなどの利用で増加したデータトラフィックに対して増強されてきたネットワーク系のデジタル伝送装置や地上系固定通信装置の需要が一巡する一方で、基地局通信装置の需要は2022年度以降に同時多接続や低遅延という新たな5Gの特徴を活かしたサービス拡大が期待され、これに対応した投資が大幅に増加すると予測します。(図表⑥)
  • 衛星系固定通信装置は、衛星打ち上げ計画から、一定の官公庁需要が見込まれます。
図表⑥ インフラ関連機器の国内金額 図表⑦ インターネット関連機器の国内金額

(4)インターネット関連機器の需要総額: 3,205億円(2019年度比6.0%増)

  • ルーターは、5Gネットワークの構築、新型コロナを契機に注目されたワークスタイル変更に伴うデジタル化の進展、高速化やセキュリティの高機能化による設備更新・増強に伴った需要増が見込まれる一方で、価格競争激化による単価の下落や機器の集約化、汎用サーバーを活用した仮想化による市場縮小も影響することから、需要金額は微減になると予測します。
  • LANスイッチは、IoT/M2Mの進展によってネットワークに接続される端末が増大し、データトラフィックが増加することから、通信キャリア向け設備やデータセンター向け設備が増加し、さらに5Gの商用サービスに合わせて増設やリプレイスが見込まれることから、需要金額は増加すると予測します。
  • 光アクセス機器市場は、映像サービスなどの大容量コンテンツの需要拡大に伴う高速サービス利用の増加や、スマートフォンの動画アプリの利用拡大によるモバイルデータのオフロード需要の増加に加え、老朽化した機器のリプレイス需要も見込まれることから、需要金額は増加すると予測します。(図表⑦)

(5)その他1~その他4と部品の需要総額:1,629億円(2019年度比8.1%減)

IV.情報通信産業関連市場の動向

(1)5Gとローカル5Gの動向

  • 省庁や通信キャリアの新たな動向では、4G用の周波数帯の5Gへの転用を認定して、4G基地局を活用した5Gエリア拡大や、基地局装置のオープン化(O-RANアライアンス)の動きが見られます。

(2)IOWNの最新動向

  • 光通信を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能にする、端末を含んだネットワーク・情報処理基盤からなり、2024年の仕様確定から2030年の実用化を目指すIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想が発表されています。
  • IOWN構想は大きく3つの技術分野、「オールフォトニクス・ネットワーク」、「デジタルツインコンピューティング」、「コグニティブ・ファウンデーション」から構成されています。

(3)新型コロナ禍後のニューノーマルにおけるICT利活用

  • 新型コロナ禍は、人々のワークスタイル、ライフスタイルを変容させるきっかけとなっています。3密(密閉空間、密集場所、密接場面)からの回避は、感染拡大を防止するためには必須とされており、それを推進するために「ワーク・ライフスタイル」、「産業、企業」、「行政」の面でICT利活用が活発化しています。
【予測手法】
  • 国内市場予測では、CIAJの自主統計実績をベースにし、同統計だけで捉えられない実態は、(株)情報通信総合研究所の協力を頂き、CIAJ会員へのヒアリング等を実施して推定しています。
  • グローバル市場予測では、調査会社Omdiaのデータと動向解説を引用し、㈱情報通信総合研究所に協力を頂き、動向分析を行っています。
【予測対象機種】
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