大規模災害時に公衆通信網が使用できない場合に、通信機能を搭載した車両(コネクテッド・カー)を用いてネットワークを構築することにより、情報共有や安否確認などのアプリケーションが利用できるようになります。また、自動車のバッテリーを用いて、重要施設や他車両への給電を行うことにより、救急救命活動に貢献することもできます。このようなシステムの自治体での導入、利活用促進のために、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)と情報通信技術委員会(TTC)では、共同で、「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)の利活用ガイドライン」を策定しました。
災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)とは
災害時の自動車を用いた情報通信システムを「V-HUB(Vehicle HUB)」と呼びます。
V-HUBでは、通信機能を搭載した車両同士、あるいは電柱などのインフラ間をつなぐことにより、災害で公衆網が使用できないような環境下において、安否確認や避難誘導支援などを行うことが可能になります。
V-HUBの仕様は、TTCからの提案によって2018年にアジア・太平洋電気通信共同体(Asia-Pacific Telecommunity(APT))の標準化活動プログラムであるアジア・太平洋電気通信標準化機関(APT Standardization Program(ASTAP))を通じてアジア・太平洋標準として勧告化*されました。
*[No. APT/ASTAP/REC-02, Edition: October 2018] https://www.apt.int/APTASTAP-OUTCOMES
なお、日本語版はTTCから技術レポートTR-1090として発行されています。
利活用ガイドラインの構成と概要
「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)の利活用ガイドライン」は、CIAJのコネクテッド・カー利活用推進委員会とTTCコネクテッド・カー専門委員会が共同で策定しました。
ガイドラインは、以下の2冊から構成しています。
- 「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)の利活用ガイドライン 車両活用防災システム 概要編」
(https://www.ciaj.or.jp/ciaj-wp/wp-content/uploads/2022/05/CES_0070_1.pdf)
概要編では、自動車に実装する通信や給電の機能および電柱などを用いたITSスマートポールの要件とユースケースを示しています。 - 「災害時の自動車を用いた情報通信システム(V-HUB)の利活用ガイドライン 車両活用防災システム 運用編」
(https://www.ciaj.or.jp/ciaj-wp/wp-content/uploads/2022/05/CES_0080_1.pdf)
運用編では、各自治体のヒアリングや公開情報を基に自動車での避難の基準や避難支援の考え方、防災訓練のシナリオを調査し、整理しています。
自動車を用いた防災訓練を推奨
災害時の自動車の活用については、自治体ごとに住民の事情や地理的特性によって基準が異なります。しかし、自動車で避難や避難支援、安否確認などが有効なケースを整理し、事前に準備することで被害を軽減することが可能になります。
本ガイドラインでは、平時から災害直前、災害発生から72時間程度の急性期、復旧期ごとに自動車活用のユースケースを整理し、準備すべき事項を示しています。
また、平時から自動車を用いた情報通信システムに慣れ親しんでおくために防災訓練のシナリオを立案し、実施を推奨しています。
尚、2022年6月に、CIAJとTTCが共同で、本ガイドラインに関するオンラインセミナーを開催する予定です。
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