イメージ

> > > > プレスリリース 2021 > 2021年度上期(4~9月) 通信機械生産・輸出入概況 ~新型コロナ禍の影響から回復しつつある中で、5G基地局投資が本格化して需要増加~

お知らせ

2021年度上期(4~9月) 通信機械生産・輸出入概況 ~新型コロナ禍の影響から回復しつつある中で、5G基地局投資が本格化して需要増加~

2021年12月16日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、2021年度上期(4-9月)の通信機械生産・輸出入の概況をまとめました。

I.概況

2021年4-9月の日本経済は、新型コロナ禍の緊急事態宣言や半導体不足による生産減の影響もあって、個人消費、設備投資や輸出がマイナスとなり、7-9月四半期の実質GDP成長率(改定値:12月8日)は年率マイナス3.6%減と2四半期ぶりのマイナスとなりましたが、この中で通信機器市場は、新型コロナ禍の影響による需要低迷や事業活動縮小から回復しつつあり、部品供給制約の影響で生産が減少している機種があるものの、5G時代に向けたスマートフォンや通信インフラの需要が増加しています。

(1)国内市場動向

4月~9月の国内市場金額(=国内生産金額-輸出金額+輸入金額:部品除く)は1兆4,634億円となり、前年同期比では25.6%増と増加しました。携帯電話の輸入増による影響です。

(2)国内生産動向

4月~9月の国内生産金額は2,240億円、前年同期比では0.6%増と増加しました。前年のネットワーク増強の反動減や部品供給制約の影響による生産減がありますが、5G基地局投資の増加によって国内生産は僅かに増加しました。

(3)輸出動向

4月~9月の輸出総額は1,634億円で、前年同期比9.9%増と2017年度下期以来の増加になりました。アジアの新興国でスマートフォン生産が回復しつつあり、その生産用部品の輸出が増加しました。その他の機種は海外景気の低迷から減少しました。

(4)輸入動向

4月~9月の輸入総額は1兆4,323億円となり、前年同期比27.8%増となりました。国内需要の上向きにより、携帯電話の輸入が前年の落ち込みと比べて大幅に伸びました。基地局やその他のデータ通信機器(伝送装置、通信装置、変復調装置等)も増加しました。

II.国内市場動向(生産動態統計と貿易統計からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表1-1、図表1-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。
生産動態統計と貿易統計から「国内市場規模=国内生産金額-輸出金額+輸入金額」として、国内市場規模を算出しています(海外メーカーの輸入額も含みます)。

①端末機器:9,573億円(前年同期比 41.8%増)
②ネットワーク関連機器:5,061億円(前年同期比 3.2%増)

図表1-1:国内市場(機種別、半期別
図表1-2 国内市場(機種別、四半期別)

III.国内生産動向(経済産業省「生産動態統計調査」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表2-1、図表2-2)

機種別の4月~9月の実績は以下の通りです。

①有線端末機器
167億円(前年同期比19.2%減)。うち電話機7億円(同17.4%減)、ボタン電話装置68億円(同2.8%増)、インターホン92億円(同30.3%減)となりました。ワクチン接種が進み営業活動が活発となって新型コロナ禍の影響から回復しつつありますが、インターホンなどは部品供給遅延から国内生産は減少しています。

②移動体端末機器
678億円(前年同期比10.4%減)。うち携帯電話475億円(同10.4%減)となりました。携帯電話や海上・航空移動通信装置も部品供給制約などの影響を受けて国内生産が減少しました。

③有線ネットワーク関連機器
649億円(前年同期比11.1%減)。うち交換機(局用と構内用)102億円(同14.9%減)、デジタル伝送装置300億円(同8.1%減)、その他の搬送装置247億円(同12.8%減)となりました。構内用交換機は、新型コロナ禍によるワークスタイルの変革も影響して減少が続き、さらに部品供給制約もあって国内生産が減少しました。デジタル伝送装置は、前年のGIGAスクール特需の反動減もあって国内生産が減少しました。

④無線ネットワーク関連機器
477億円(前年同期比71.2%増)。うち固定通信装置87億円(同17.6%減)、基地局通信装置390億円(同125.5%増)。固定通信装置は、官庁向け需要が低迷しているために国内生産が減少しましたが、基地局通信装置は、5G向け通信インフラ構築が本格化したことから国内生産が大幅に増加しています。

⑤ネットワーク接続機器
131億円(前年同期比2.1%減)。官庁や民間の企業向けの需要は増加していますが、部品供給制約などの影響もあって国内生産が減少しました。

⑥有線部品(有線機器用リレー、中継器用など)
138億円(前年同期比14.5%増)。海外で生産されるスマートフォン向けの部品輸出が回復しつつあるために、部品生産は増加しました。

図表2-1:生産総額(機種別、半期別)
図表2-2 生産総額(機種別、四半期別)

IV.輸出動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表3-1、図表3-2)

機種別の4月~9月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器91億円(前年同期比3.2%減)
内訳は、携帯電話68億円(同8.1%減)、コードレスホン0.4億円(同68.8%減)、その他22億円(同21.4%増)となりました。その他に含まれる簡易無線などが増加しました。

②ネットワーク関連機器605億円(同10.7%増)
内訳は、基地局99億円(同1215.2%増)、データ通信機器492億円(同5.9%減)、その他ネットワーク関連機器14億円(同12.5%減)となりました。基地局がグローバル展開で米国向けに大幅増加しました。

③部品(有線系・無線系の合計)938億円(同10.9%増)
海外でのスマートフォン生産が回復しつつあり、その生産用部品の輸出が増加しました。

図表3-1 輸出動向(機種別、半期別)
図表3-2 輸出動向(機種別、四半期別)

(2)地域別の詳細動向(参照:図表3-3、図表3-4)

地域別の4月~9月実績は、アジア向けが1,071億円(前年同期比11.2%増)、うち中国向けは553億円(同31.1%増)。北米向けが385億円(同21.1%増)、うち米国は377億円(同21.3%増)。欧州向けは146億円(同12.8%減)、うちEUは108億円(同3.7%減)となりました。

中国の景気回復に合わせて部品輸出が増加しました。また、基地局がグローバル展開で米国や欧州向けに増加しました。

(3)地域別構成比

1位 アジア 65.5% (前年同期比 +3.5%)
2位 北米 23.5% (同 -0.8%)
3位 欧州 8.9% (同 -1.9%)
その他地域 1.6% (同 -0.8%)
図表3-3 輸出動向(地域別、半期別)
図表3-4 輸出動向(地域別、四半期別)

Ⅴ.輸入動向(財務省「貿易統計」からCIAJにて纏め)

(1)機種別の詳細動向(参照:図表4-1、図表4-2)

機種別の4月~9月実績は以下の通りです。

①電話機及び端末機器8,819億円(前年同期比50.0%増)
内訳は、携帯電話8,773億円(同50.7%増)、コードレスホン20億円(同11.5%減)、その他26億円(同28.6%減)となりました。携帯電話は、前年同期と比べて需要が回復しつつあることと、スマートフォンの海外メーカー新製品の発売月が前年と異なったために前年同期比で大幅増加しました。

②ネットワーク関連機器4,408億円(同3.8%増)
内訳は、基地局498億円(同32.7%増)、データ通信機器3,805億円(同0.7%増)、その他ネットワーク関連機器106億円(同11.5%増)となりました。ネットワーク設備投資に向けて、データ通信機器のうち、その他(伝送装置、通信装置、変復調装置等)が継続して増加しました。

③部品(有線機器と無線機器用部品の合計)1,095億円(同1.4%増)

図表4-1 輸入動向(機種別、半期別)
図表4-2 輸入動向(機種別、四半期別

(2)地域別の詳細動向(参照:図表4-3、図表4-4)

地域別の4月~9月実績では、アジアからが1兆3,635億円(前年同期比30.6%増)、うち中国は1兆749億円(同39.2%増)。北米からは221億円(同22.3%減)、うち米国は202億円(同22.4%減)。欧州からは305億円(同1.6%減)、うちEUは293億円(同2.2%減)。

携帯電話の輸入が増えた以外は、海外での生産低迷により輸入が減少しています。

(3)地域別構成比

1位 アジア 95.2% (前年同期比 -0.4%)
2位 北米 1.5% (同 +0.1%)
3位 欧州 2.1% (同 +0.1%)
その他地域 1.1% (同 +0.2%)
図表4-3 輸入動向(地域別、半期別)
図表4-4 輸入動向(地域別、四半期別)

VI.受注・出荷動向(CIAJ自主統計「受注・出荷統計」より)

(1)2021年度上期(4-9月)の実績

4月~9月のCIAJ自主統計受注・出荷総額は6,702億円で前年同期比1.5%増となり、このうち、国内出荷は5,307億円の同比3.1%減、輸出が1,395億円の同比23.3%増となりました。
※CIAJ会員の受注・出荷額(国内メーカー)とは
国内メーカーの国内生産額+海外生産した輸入額=国内出荷+輸出額

(2)機種別動向

機種別の4月~9月実績は以下の通りです。

①有線端末機器 2,138億円(前年同期比2.0%減)
電話機、インターホンや事業所用コードレスは、新型コロナ禍の影響から回復しつつあり国内需要が増加しました。一方でパーソナルファクシミリ(複合機を含む)やビジネスファクシミリ(複合機を含む)も需要は上向きですが、半導体などの部品不足によって供給面で影響が出て回復が鈍化しています。このため有線端末機器全体では同比で減少しました。

②移動体端末機器 1,971億円(同比0.5%増)
携帯電話は、購入機会が増えて需要回復しつつありますが、端末の低価格化によって金額面では微増となっています。その他の移動端末機器は国内外で低迷しました。

③有線ネットワーク関連機器 899億円(同比18.9%減)
ボタン電話や構内用電子交換機などのビジネス機器は、ワクチン接種が進み営業活動が活発となって需要は回復しつつありますが、部品供給遅延などから減少しています。さらにデジタル伝送装置やPON/MCは、前年のGIGAスクールなど光ケーブル網の全国整備の反動などもあって減少しているため、有線ネットワーク関連機器全体では同比で減少しました。

④無線ネットワーク関連機器 1,337億円(同比25.7%増)
固定通信装置は、地上系の輸出や衛星系の民間向け以外での需要が減少していますが、5G携帯電話向け基地局通信装置への投資が本格化しているために国内と輸出ともに大きく増加して、無線ネットワーク関連機器全体では同比で増加しました。

⑤その他ネットワーク関連機器 173億円(同比4.8%増)
ルーター、LANスイッチは、データセンターなどの民間向けや、官庁向けで需要が増加しています。

⑥通信機器用部品 185億円(同46.1%増)

本リリース内容に関する問い合わせ先

市場調査部
TEL:03-5962-3451 FAX:03-5962-3455

広報に関する問い合わせ先

広報部
TEL:03-5962-3450 FAX:03-5962-3455